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よんほんめっ!

「…はっ、レイは!?つぅ…。」

ガバっと起き上がり、周りを見渡そうとして体を捻るが節々が痛い。筋肉痛みたいな感じだ。

「落ち着きなさい。わたくしならこの通り、無事ですわ。」

背後で声がする。座り込んだまま後ろを振り向くと、レイが血だらけの服を纏って正座していた。しかし、顔色はよく声にも覇気がある。

「あぁ、よかった。無事だったんだな。」

「シェリーさんのおかげですわ。」

「マスターの魔力のおかげでもあるんですけどね。」

シェリーの声も聞こえる。よかった、本当によかった。シェリーに治癒魔法教えてなかったら…。

「…皆無事だな、よかった。」

周りを見渡すと、申し訳なさそうなティスカ公、心配そうなクラウ夫人、凛とした顔の銀。よし、皆揃ってる。

「何言ってるんですか、マスターが一番重傷だったんですよ?」

「え?俺攻撃くらった覚えはないんだけど…。」

無我夢中だったのでよく覚えてはいないが確か攻撃はくらってないはず。

「多分、自分の力の反動でしょうね。」

「えぇ、自爆…?…うん、多分そうだ。」

みんなには言ってなかったが俺は全力で戦えない。いや、戦えるんだが体がついてこない。

魔法などはほぼ全力で使うことは出来るのだが肉弾戦はそうもいかない。

能力がいくら高くても体は子供なのだ。別に体全体が筋肉で出来てるわけじゃない。軽トラにF1のエンジン積んでフルアクセルですっ飛ばすようなもんだ。

だから毎回体が耐え切れる限界、それを本気として戦っていたんだが…。今回は頭のネジが吹っ飛んでてそんな事考えてなかった。

「うわ、かっこわる…。」

「何言ってるんですか、相手は中級魔族らしいので相当強かったんですよ?銀ちゃんも企みがうまく行ったので戦えたって言ってましたし。」

シェリーに体を起こされる。何故かレイが名残惜しいような顔をしていた。

「そうなのか?…まぁ、ちょっと立ちっぱは辛い。座ろう。」

そういいながら全員分の椅子を作り上げる。うん、魔法は問題なく使える。体の筋肉痛だけだな。


「すまない!!!俺が悪かった!!」

座った途端にティスカ公が頭を下げて謝る。

「ふあっ!?何なの?急に…。」

「…実は言ってないことがあったんだ。」

急に大声で喋られたからびっくりした。しかし、びっくりしてるのは俺だけみたいでシェリーは厳しい顔をしてるし、クラウ夫人は神妙な顔をしている。

「え?」

「…今回、無理言ってでもついて来てもらったのはある噂があったからなんだ。」

「噂?今回のと関係してんの?」

「あぁ…。魔王が復活した、そう言う噂が各国の中で流れていてな。」

「あん?魔王っていなかったん?」

「封印されていたんだ。それが解けたらしい。あくまで噂だったんだけどな…。」

「てことはさっきの奴らは…。」

「十中八九魔王の手下だろうな。各地で魔族の動きが活発になっていると話があったがまさかここまで来てるとは…。」

「ふーん。…なるほどな。」

今回の迷宮は別に並の魔法使いでもよかったんだろう。

それでも俺を選んだのは。俺以上の魔法使いが存在しないこと、そしてその噂があったから。ってことか。

それなら先に言ってくれればよかったのに。そうすればレイに危険な状態になるのを防げたかもしれない。…いや結果論か、不運な連続ってことだな。

「まぁ、俺はいいんだけどさ。…レイに謝った?」

「地面が割るくらい頭を下げられましたわ。お父様としてもここまでは想定してなかったでしょうし、仕方ないことですわ。それにわたくしはこうして無事ですわ。」

「それならいいな。」

「本当にすまなかったな…。」

「ティスカ公のせいじゃねぇよ。不確定な噂を信じろってのが無理な話だし、こうして俺を連れてくるって対策しただけでも十分だろ。」

「そう言ってもらうと助かる…。」

クラウ夫人も申し訳なさそうな顔をしている。

多分知ってたのはこの二人だけだろう、レイも知らなかったみたいだし。

その情報を流して信じろって方が無理な話だ。そうなったらいくらでも危険な状態を作れる。

「レイが許したならこの話は終わりっと。…それでどうすんだ?」

「流石に一旦帰ろうと思う。みんな心配してると思うからな。」

「確かににゃ!!??そういえば中継!!やばい忘れてた!!!」

慌てて周りを見渡す、目玉の魔物は…、いない。どこだ。

「安心しろ。最初の一発でどこかに吹っ飛んだみたいでな。中継はされてない。それも含めて帰ろうって話だ。」

「あぁ、よかった…。それなら帰って無事だってことを証明した方がいいな。」

あれ中継されてたら終わってたな。

「それにしても、中級魔族を倒すなんてな…。」

「あぁ、それそれ。中級ってことは上級とかもいるの?」

正直ステータスみるの忘れてた。とりあえず突っ込んで倒すことしか考えてなかったしな。

「しらんかったのか。下級、中級、上級魔族といてな。それぞれで強さがわかれてるんだが…。中級ともなれば国の全勢力で立ち向かってやっとってとこだな。」

「ほうほう。てことは多分あの最初のやつは下級だな。銀が相手してやつは魔族じゃなくて竜だったし。」

「あの者も相当強かったです。うまく隙を作れたから一撃が入りましたが…、あのままだと長引いてた可能性がありました。」

「まぁ、銀に限って負けるとは思わんけど。…てことは下級、竜、中級の順番に強かったってことかな?あー、わかんね。まぁいいか。」

神眼使っとけばこんなことには…。

「あ、そういえば俺の剣…。」

「ここにありますよ。」

そういってシェリーが折れた剣を差し出す。

「…まぁ、ついてこいってのが無理な話だよな。」

それを受け取り宝物庫にしまう。トールに謝らなくちゃな。

最初のシーンですが、ガバっと起きたリードの背後にレイが座ってる、そして名残惜しそうな顔=…あとはわかるな?

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