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さんぼんめっ!

「くそ、くそくそくそ!!!なんだてめぇは!?」

怒りに体を震わせながら血走った目で俺を睨みつける。それと同時に渾身の力で斧を振り下ろしてくる。

「怒ってんのはこっちなんだよ!!!」

全身の力を使い、それを氷の剣で受け止める。そして、念じる。【ドラゴンツイスト】

合計9体の小型の水の竜を産み出し、筋肉にぶつける様に突撃させる。

「ガッ、グッ、カハッ。」

竜たちは思い思いに筋肉を喰らいつくしていく。腹を、腕を、目を、足を。

竜が通り過ぎた後にはボロボロになった筋肉が立っていた。もう斧に力もこもっていない。しかし、体の三分の一程を失ってもなお立っていた。

「ヒュー、ヒュー…。」

筋肉の喉から、息が漏れる。

「さっさと死ね。」

斧をかち上げ、頭上から氷の剣を振り下ろす。

途中で刃が止まってしまったので体に、【メテオシャワー】を叩き込む。これで終わりだ。

銀の方をちらりと見ると、そちらも竜が消えていったのが見えたので終わったのだろう。

体の違和感がどんどん広がっていく、レイが心配だ。そっちに早く戻らなきゃ。

2、3歩歩いたとこで体が前のめりに倒れた。あれ?体が動かない、意識が遠くなっていく。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「レイさん!?大丈夫ですか!?」

「…。」

レイに近寄り声をかけるが返事はない、かなり危ない状態だ。マスターが治癒魔法で止血してくれたみたいだけど、元々の傷が深くてまだ完全に治ってない。

「くっ、全力でいかないと!」

集中して魔力を込める、マスターと銀ちゃんが敵はどうにかしてくれる。私はこっちに集中すればいいだけだ。しかし…。

「レイ、大丈夫か!?」

「触らないで!ティスカ公も怪我してるんですから、じっとしててください!」

「…そうか、従おう。」

「あぁ、レイ…。」

クラウ夫人がレイの手を握る。

「治せるよな?大丈夫だよな?」

「大丈夫です、もう傷はふさがっていますので。」

実際もう大丈夫だ、マスターのふざけた魔力を受け継いでる私なら問題はない。だけど、生命力までは戻せない。

後はレイの回復を待つだけだ。

「さ、ティスカ公も傷を見せてください。」

「レイはもう大丈夫なのか!?俺より先にレイを!!」

「もうレイさんは大丈夫ですよ、後は本人次第です。」

「そうか、…よかった。」

「レイ…、無事でよかったわ…。」

ティスカ公とクラウ夫人がほっとしたような顔になる。それなりにひどい傷を負ってるはずなのに打たれ強い人だ。

「…。リードは大丈夫か?」

「マスターなら心配はいらないですが…。」

「…どうした?それにしては顔色が悪いが…。」

「こんな事態初めてですからね。それに…、マスターのあんな顔初めて見ました。」

ティスカ公の治療を終えて、マスターが向かった方に目を向ける。既にマスターは敵を一人倒してるみたいだった。銀ちゃんも押し気味だ。

「確かに、リード滅茶苦茶怒ってたな。」

「あんなに怒ってるのは初めてです、無茶しなきゃいいんですが。」

ついでにクラウ夫人も無傷とはいかないでの治癒魔法をかける、次は自分だ。

「…あんなに強い口調で命令されたのも初めてです。」

「…まぁ、仕方ないだろう。状況が状況だしな…。」

「それで、ティスカ公。何か知ってますね。さっき口走りましたよね?」

「…、そうだな。すまなかった。まさかこんなことになるとは思ってなかった。リードがいれば防げると思ってたんだが…。」

「一番の被害者はレイさんですよ。私に謝られても困ります。」

つい責めるような口調になってしまう。泣きそうな顔になってるティスカ公がいた。

「あなた…。こればっかりは…。」

「わかっている!だが…、こんなひどいことになるとは…。」

ティスカ公がレイの顔を覗き込む、呼吸も落ち着いて一見すると寝ているようだが周りは血だまりである。

「…追及するのはマスターが来てからでもいいですね。」

そう呟いてマスターの方を見る。もう一人と戦っているその姿はどこか違和感を覚えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

走る。主様があれだけ強い口調で下さった命令だ。こんな事は初めてだ。

実際我は何も出来なかった。我は無事だった。それは自分で避けたからだ。主様は自分の事だけじゃなく、他の皆の事も考えて行動していた。

もしもあの時、我も同じように魔法を使っていたら…。よそう、たらればの話は。

今は命じられた事を果たすのみ。走りながら元の姿に戻る。

「やはりな!俺が相手をしよう!」

都合がいいのか標的の竜がこちらに向かってくるようだ。それをただ全力で倒せばいいだけだ。

走りながらブレスを吐く、まずは様子見だ。

「面白い!我ら竜種にブレスで対抗するか!」

竜も口を開け、炎を吐いてくる。

ブレスを吐きつつ走る。二つのブレスが重なり、衝突する。余波が辺りに広がる。衝撃がこちらまで来るが足は止めない。

サッとブレスを吐くのをやめ、横に移動する。そのままの速度で竜に接近戦を挑む。

「ブレスで互角とはな!ますますもって面白いぞ!」

「我は面白くないがな。…強敵と戦えるのはいいのだが状況が状況だ。」

竜もブレスを止め、そのまま突っ込んでくる我を迎え撃つように口をこちらに向ける。

このままでは噛み付かれるのは容易に想像出来る。主様に教えてもらったように体を左右に振る。

噛み付きを躱し、飛びつく。まずは狙いは足だ。しかし、横からしっぽが飛び出してくる。慌てて、それを飛び越える。…厄介な。

「恐ろしいスピードだな…。」

間合いを図りながら、竜の周りを回る。後ろからいこうにもあのしっぽが邪魔だ。まずはあのしっぽから切り落とそう。

「フンっ、見え見えなんだよ!」

竜がしっぽで牽制しながら翼を広げる。空に逃げるつもりか。

「惜しかったな。空じゃ、自慢のスピードも使えまい。」

そのまま空中に飛び、ブレスを吐いてくる。このまま空中から遠距離で仕留めるつもりだろう。

「そうか、空に飛ぶのか。」

こちらもブレスを吐き、真っ向から受け止める。しかし、こいつはわかってない。それを待っていたのだと。

ブレスを吐きながら魔力を練る。狙いはあの翼。ずたずたに引き裂くための風魔法。それを放つ。

「何!?魔法だと!?」

翼がブチブチと音を立てて切り裂かれる、バランスを崩して竜が地面に落下していく。竜はブレスを吐くのをやめ、着地に意識を向けるだろう。

「くっ。」

「惜しかったな。空から落ちたらただのとかげだな。」

すぐにブレスを吐くのをやめ、着地に合わせて喉元に食らいつく。

勝負ありだ。喉を噛み千切り、頭を跳ね飛ばす。ゴロゴロと頭部が転がっていき、光となって竜が消えていった。

「よし、…主様は?…主様!!!??」

周りを見渡し、主様が戦っていた方向を見る。ちょうど倒して帰ろうとしていたのだろう。主様が皆の場所に戻ろうと足を進めたその瞬間。

どさりと主様が倒れた。

後半はシェリー視点、銀視点となっています。

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