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「はぅあぁあ!!!」

朝起きて朝飯の準備をしていたらティスカ公がいきなり叫びだした。

「なんだ、おっさん。いつものことだが奇声なんて発して…。」

「いや、なんでもないぞ。本当になんでもないからな。ただ、ちょっと思い出しただけだ…。」

「…ふーん、まぁ俺に関係ないならいいけどさ。」

「ソレガチョットカンケイアルカモナンテ…。」

ティスカ公の声が小さくて全然聞こえんかったがまぁいいか。大したことじゃねぇだろ。

「うるさいですわね…。」

まだベッドに寝転がってたレイが顔をこすりながら起きてくる。

俺や銀はそれなりに早起きだ。銀もちゃんと休んでいたようで魔物の襲撃はなかったと思われる。

その後にティスカ公が起きて、次にクラウ夫人。ついでシェリー、最後にレイって順番だ。

「朝弱いんだな。」

「…リードが元気すぎるだけですわ。」

朝の体操の屈伸運動をしながら横目でまだ寝ぼけ眼なレイをちらりと見る。

「まぁ、朝から元気が俺のモットーだからな。」

「毎日やってますからね、主様とこの運動は。」

銀と一緒に運動を繰り返し行う。これこそ強くなる秘訣なのかも。

「リードの事だからもっとハードな事してると思ったら案外普通だな。」

「そりゃ準備体操みたいなもんだしな。一緒にやるか?それなりにいい運動になるぜ?」

「せっかくだしやるか!」

ティスカ公も交えて運動をする。同じような動きだが体の隅々までうまく伸ばす。

「よし、じゃぁティスカ公も交えていつものやつやるか!」

「そうですね!」

「え?何何?なんなの?うわっ!あぶなっ!」

突然始まる組手、ティスカ公に足払いを仕掛けにいったが躱された。不意をついたのにやるな。

そこに銀が飛びかかる、俺に。

ゴロゴロと避けてティスカ公を盾にしようとティスカ公の懐に潜り込もうとする。

「…なるほどなっと!!」

それを踏みつけて止めようとするティスカ公、それをがっしりと両手で受け止める。…痛い。

「俺の足はどうだ?」

「…俺に気を取られてるとな。」

ティスカ公に銀が飛びかかる。俺が足を持ってるので流石に避けられないだろう。

「甘い甘い!」

なんと、銀の勢いを利用して両手で受け流した。しかし、流石に足にまで注意はいかないようでその隙に抜け出す。

「やっぱやるなぁ、ティスカ公。」

「まだまだ技術じゃ負けられんからな!」

「まさかこんな簡単に投げられるなんて…。」

銀が軽くショックを受けている。まぁ、確かにあのみのこなしは熟練の技だ。

じりじりと三人共間合いを詰めていく。ちょうど三角形になりつつ、自分の間合いになるまで詰める。

「…よっと!」

「流石に当たらんぞ!」

「今ですね!」

「危なっ!」

三人共かなり近い間合いでの技の掛け合い。

俺がフェイントでジャブを繰り出すふりをしてのローキック。それをティスカ公が躱し、銀が俺にタックル、それを体を回転させて避ける。

銀の着地に合わせてティスカ公が前蹴り。それを見越して片足になっているティスカ公に俺が足払い。

銀がティスカ公の足に両足を揃えて突き出しその反動で間合いを取る、ティスカ公がモロに俺の足払いを受けるが倒れない。むしろ蹴った俺が痛い。

仕切り直しだ。それぞれ間合いを取り直し、またじりじりと間合いを詰める。

今度はティスカ公が動いた。

俺に向かってタックル、大雑把な動きだったので軽くジャブで応戦。しかし、片手でいなされる。

しかし足止めにはなっているので効果はあったようだ。その隙に銀が俺の足元に潜り込もうとする。

ここはわざとティスカ公のタックルをくらって間合いを離そう、そう考えてタックルを受けようとする。

しかし捕まったらそれで終わりそうなので別の手を考える。ティスカ公はそのままこちらに突っ込んできたので勢いを利用して転ばそうとしゃがみこんで蹴りを入れる。

ティスカ公がくらう、と思った瞬間に身を引く。完全に当てられると思っていたので蹴りの体勢のまま体が泳ぐ、そこに銀がバッと飛び出してきて俺にタックルをくらわせる。

流石に避けられない、せめてもと自分からも少し身をよじって勢いを殺す。

また大きく間合いが開いてしまったので仕切り直し。

「…よく飽きないですよね。」

「まぁ、男の人はああいうのが好きなんですわ。」

「あの人のあの動きかなり本気ですわ、流石にリード相手に手は抜けないですわね。」

「まぁ、組手でしょうし。やりすぎるって事はないでしょうが…。」

「それにしても何回あぁやって近づいては離れてを繰り返すんでしょうか?」

「レイはまだまだね、三人でとなると戦い方が変わってきますわ。必要以上に攻めないようにすると自然とあぁやって間合いをはかるものですわ。」

「そうなのですか?あのレベルの戦いとなるとやっぱり違うんですわね。」

「マスターがやや不利ですかねぇ、リーチもないですし。純粋な体術勝負となると少し分が悪いですね。」

「それでも武人と言われたあの人の組手についていけるだけ凄いですわ。」

「銀ちゃんはうまく攻撃躱してますね、この中だと一番ダメージ食らってないですわね。」

「それでも一番攻撃の機会が少ないのも確かですわね、二人の攻撃の隙を狙ってうまく打撃をしてるって感じですわ。」

「銀ちゃんはあまり攻撃の手段が多くないですから、組手となると更に減りますから。」

「…それにしてもこれいつまで続くんですの?かれこれ十数回近づいたり離れたり。」

「流石に長いので止めましょうか。」


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