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その後は適当に暇を潰しながら休憩をした。
それなりに疲れてるレイはさておき、俺とかティスカ公は余裕なので遊んでた。
それでも周囲の気配に気を配る辺り流石ティスカ公だな。俺も配ってるけどそれなりによく勘づく。
「…、大丈夫か。」
「そうやな、こっちにはこないな。」
こんなやり取りを何回かしたが結局こちらに魔物が来ることはなかった。
そのおかげでゆっくり休められた感じだな。
「そろそろ行くか!」
「そうですわね。レイも休めたでしょうし。」
ティスカ公達が準備を始める。
「…もう大丈夫ですわ。」
そういってレイも立ち上がる。うん、大丈夫そうだな。
「シェリーも余裕だよな?」
「もちろん、むしろ手加減してる方が辛いですので。」
「それもそうか。」
訊いた俺がバカだったな。
そのあともすんなりと言うかまぁ予定通りと言うか、あの罠のせいで時間を取られたのが丸分かりのくらいあっさりと転送石についた。
途中で戦闘もあったがワンパターンでKOである。
ネトゲとかでよくある本当に雑魚狩りのパターン化に成功してしまってる。
自分で言うのもなんだけど俺いなくていい。でもシェリーも援護がうまくなってきてる気がする。
味方の動きをよく見て最適な強さで最適な場所に魔法を撃つようになってる気がする。
あくまで気がするのは俺が真剣に見てないからだけども。
「ふぅ、…ようやく転送石についたな。予定通りここで一泊するが…、何かすることあるか?」
ティスカ公が大きく開かれた場所にある転送石の近くまで行きこちらに振り向きそう言った。
「まぁ、ないですわね。」
「わたくしもですわ。」
そう言いながら二人共武器を外してくつろげる格好になる。
「まぁ、なかなかに楽しめますね。…マスター、土魔法で机と椅子でも作ったらどうです?」
「…一応口パクしておけよ?」
そう言いながら要望通り人数分の椅子を作り出し、机も大きいのを一つ作り上げる。
「本当に便利だな、リードは。」
「まぁ、ここまでくるまでに何もしてないからこれくらいはね?座り心地は保証出来んけどな、なにせ土だからな。」
それでも座る部分は柔らかい土にしただけ俺は配慮をしたと思う。
「…なかなかにいいですわよ?」
「せやろ?」
レイが早速座って感想を言ってくれる。
それを合図にしてかみんな座り始める。
「リードのことだからなんかあると思ったけど…、考えすぎたか。」
「どんだけ信用ねぇんだよ、俺はよ。」
確かに色々やるけど、あんまり面白くないことはしないぞ。多分。
「今日はここで寝るってことでいいのか?寝るときも中継されんの?」
「あー、それなら大丈夫だ。一応向こうで中継は止められるようになってるからな。ダンに止めるようにマーカスが指示を出すはずだ。」
生放送でCMが入るようなもんだな。まぁ俺は別段気にしてないけど、寝顔とか見られたら嫌だもんな。
「まぁ、ここについたから多分もう中継とめてんだろ。見てみ、目が閉じてるだろ?あれがその合図だな。」
ティスカ公に言われてカメコの魔物を見ると確かに目が閉じられていた。てことは今は中継されてないのか。
「…なぁ、銀?」
「あっ、悪い顔してますわ。」
「黙らっしゃい。レイには言ってないだろ。」
「なんですか?主様。」
レイのジト目を尻目に銀に話しかける。
「ちょっと暴れてこない?俺らも倒したくない?」
「…主様がそうおっしゃるなら。」
やれやれという感じだがしっぽがフリフリ、バレてんぞ。
「…まぁいいけどな。リード一人でも大丈夫だろ。あっ、ついでに人数分のベッドも作ってくれ。」
「注文多すぎ、…まぁ俺も欲しいから作るけどさ。」
今なら見られてないからおおっぴらに魔法が使えるな。どっちにしろ普通の人にはわかんないんだけどさ。
5人+一匹のベッドを作る。ついでに二人がけのソファーも作っておく。
「…便利すぎるだろ、魔法…。」
「まぁ俺だから出来ることだけどな。多分普通の土魔法使いだとさっきの椅子人数分作ったらすぐ息切れするぜ?」
「間違えたわ、…便利すぎるだろ、リード…。」
「わざわざ全て真似して言わんでもいいわ。…さて、ちょっくら全滅させてくるわ。」
「あっ、せっかくだから俺も見に行く。リードの戦ってるとこそういや見たことないわ。」
「それなら私もいきますわ。」
「あー、なら銀にのって行くか。銀。」
「はい、主様。」
その一言で一瞬で元の姿に戻る銀。