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「少し、休憩したい、ですわ。」

よろよろとしたレイがそう言葉をひねり出す。

「だらしねぇなー。」

「誰のせいだと!…怒るのも、疲れますわ。」

そう言って戦闘で壊れた家の瓦礫に座り込むレイ。

その言葉でみんな座り込む。…俺に一人で降りろって?

あたりの気配を探りつつ、えっちらおっちらと屋根から降りる。飛び降りたらおかしいからな。

「周りに魔物はもういねぇな、しばらくは休めるぞ。」

「あれだけ倒したからな。どうせ近い奴から転移させる罠だったんだろ。」

「あぁ、そうだな。押してる最中気配が消えて近くに現れるって感じだったからな。」

「わかってんなら途中でやめろよ!なんかお前がすごい足踏みしてると思ったら…。」

ティスカ公もそれなりに疲れてるのかツッコミにキレがないな。

俺は皆の前に立ちつつ説明しようとする。

「まぁ、俺なりに一応理由があるんだよ。…聞きたい?」

「どうせしょうもないことですよ、これは。」

「まぁ、十中八九そうですわね。」

「ちゃうわい!いいから聞けって。」

「最初から話せばいいのに…。」

それじゃあ面白くないだろうに、聞きたいって言われたら言うってのがいいんだろ。まぁ、聞かれなくてもしゃべるけど。

「ほら、いつも俺ら狩りしてるじゃん?」

「まぁ、してますね。主に銀ちゃんが走り回って私とマスターが魔法撃ってるだけですけど。」

シェリーも座りながら話を聞いてる。全然疲れてないだろうけど。

「それである程度わかったんだけどさ。魔物は数狩ってなんぼってことよ。」

「…どういう意味ですの?」

クラウ夫人もすぐに動ける体勢になりつつも座って話を聞いてくれてる。

「なんつったらいいのかな。強敵を何人で倒すよりも、雑魚を一人で倒したほうが効率がいいっていうかな。…まぁ、例外もあるけど。」

「興味深いな。もう少し詳しく説明してくれ。」

ドカッと座り込んでいるティスカ公がこちらに身を乗り出すように聞き入る。

「んー、俺らにステータスってあるだろ?あれの上がり方なんだけどさ。例えば、100ポイント溜まったら能力があがるとしよう。」

「ふんふん。」

「強敵を倒すと20ポイント、でも複数人で倒すとなると一人当たりの受けるポイントはその分減る。一方雑魚敵を倒すと2ポイントしかもらえないがその分丸々入ってくる。」

「ちょっと、わかりにくいですわね。」

「まぁ、レイは例外になってるから深く考えんでいいぞ。」

「最近レイが詠唱なしで魔法唱えてると思ったらやっぱりお前の仕業かよ!!…俺にも教えてくれない?」

「ティスカ公今でも十分強いじゃん。…それで話戻すけどな。一撃で倒せるなら時間効率で考えれば後者が圧倒的に有利だよな?」

「教えてくれないのか…。」

「まぁそうですわね。でもそれだと少しおかしくなりませんこと?ゴブリンをひたすら倒して一流になった人なんて聞いたことないですわ。」

クラウ夫人が鋭いとこをついてくる。

「そこだよなー、ちょっと今そこのへんを調べてるからさっきの罠連打したんだけどさ。未だに計算式がわからんのよねー。」

レイのステータスを眺めてたんだが、よくわからんかった。能力が変なタイミングで上がったりしてたのでどの行動でどう経験値が入るのかさっぱりだ。

「そんなことやってたんですか?マスターらしいと言うかなんと言うか。」

「まぁ暇だしな。まぁ、結論から言うと。時間をかけずに狩れる魔物をひたすら倒した方が強くなるってことだな。」

「んん、待て待て。…ということは敵を倒さなければ強くなれないってことか?」

「いや、違うな。正しくは敵を倒したほうが強くなるってことだな。」

「ふむ。兵士たちの訓練を見直すか…。」

「まだ詳しくはわからんけどね。俺の経験上ただ剣を振るよりはそれで魔物傷つけたほうが上達が早いってことだな。」

「ふむ…、それはそれとして。レイにどんな事したんだ?場合によっちゃ婿になってもらうぞ?」

「お父様…。」

疲れてるのか声に覇気がないレイ。

「あー、別になんもしちゃいねぇよ。少し能力わけただけだ。」

「その少しが凄いってこと自覚しましょうね、マスター。」

「えー、俺も欲しい俺も欲しい!!」

ティスカ公が駄々っ子の様に地面を転がり回る。おい、中継されてんぞ。

「そうほいほい、あげられるかっての。微々たるもんだけど俺にも影響あるんだからな。」

「やっぱりあったんですの…。本当によかったんですの?」

「まぁ、今更キャンセルはできんしな。…言うの忘れてたけど、これ他言無用だからな。もし誰かに喋ったとしたら。…わかってるよな?特にティスカ公。」

「えー、くれないな、クッ…。」

思いっきり魔力を込めて威圧してやった。

「ちょ、言わない、から、止めて。」

「わかればいいんだよ、わかれば。」

体をガクガクさせながら潰れたカエルみたいになってたティスカ公を解放してやる。

「はぁ…、死ぬかと思った…。」

「…こればっかりは擁護できませんわ。」

そう言いながらもクラウ夫人はティスカ公を起こしに行く。

「そういえば、今こうやって休憩してるけど寝るときとかどうすんだ?見張りとか立てるのか?」

「大抵転送石のとこで寝ますわよ?ここでは別に気にしなくていいですが、他の迷宮だと他の冒険者もくるので見張りは必要ですけど。」

「あぁ、そうなるのか。んで今日はどこまでいくの?」

「…とりあえずは最初の転送石までだな。ここまで来るのにそれなりに消耗してるからな。…誰かさんのせいで。」

とりあえず口笛吹きながらごまかしておこう。

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