表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/317

100

「…まぁ皆楽しんでるのでよしとしましょうか。」

「人生あきらめが肝心ですよ。」

「マスターは後で覚えといてくださいね。」

他にももっと魔法使ってやろうと思ったがやめておこう。

普通はそんな連発したら怪しまれるし、今のもかなりの規模だったからな。迷宮に入る人がやることじゃないわ。


広場に着くとダンが転送石の前で待っていた。

昨日はなかったはずなのでどうやらダンが作り出したんだろう。普通に作るよりも簡単なのかな。

「お待ちしておりました!これが今回の入口です!中で少し魔物が暴れてますが基本的に問題はないです!」

そういってダンがティスカ公に頭を下げる。

「うむ。ここから俺たちは入る訳だが…。まぁ詳しい話は中でするか。」

確かにな。俺たち迷宮初心者に説明するのも変だしな。

特にシェリーに説明はまずい。普通に民衆は歴戦の魔法使いだと思ってるだろうからな。

「まぁ、こんなとこで立ち尽くすのもなんだし。入るとするか。」

そう言ってティスカ公が転送石に手をかける。

ティスカ公、クラウ夫人、レイ、シェリー、俺、銀の順番に手を繋いでいく。

「これより我々は迷宮に入る!見事制覇して汝らの安心と、汝らの信頼を得てみよう!!…トラベルワープ!」

演説のようにティスカ公が声をあげ、トラベルワープを唱える。

前と同じような感覚に包まれて目の前が真っ暗になった。


次の瞬間、見覚えのあるような景色が目の前に広がる。ここは街か、そういえば街をモチーフにしてるって言ってたな。

「…よし、皆いるな。リード、あれが俺らの姿を水晶に映す奴だ。」

そう言ってティスカ公は少し離れたとこにフワフワと浮いている目玉みたいな魔物を指差す。

「あー、なるほど。…声は聞こえないんですよね?」

「そうだな。だから銀も喋っていいぞ。」

「ここが迷宮ですか、…あまり強そうな魔物の気配はないですね。」

「そりゃ銀の強さを超える奴いたら俺達はともかく公爵達だけなら全滅するだろ。」

ザッと気配を探ってみる。確かにそこらじゅうにいるようだがそんな強そうな気配はないな。

「うん、見える範囲には魔物いねぇな。」

「まぁ、転送石の傍には魔物が近寄れねぇようになってるからな。」

「それを早く言えよ駄公爵、警戒して損したわ。」

「声聞こえないからって言いすぎだろ…。」

罵りつつも警戒を緩める。確かに飛んだ瞬間魔物が襲ってきました、なんてことになったら全滅しちまうしな。

「よし、一通りの説明をするぞ。」

「まず迷宮は大体転送石を利用して何階層かに分かれていますわ。」

「それで今回の迷宮ですが、あまり時間をかけてないのでよくて5階層くらいでしょうか。そのくらいだと思いますわ。」

「俺の仕事…。」

ティスカ公が何か言う前にクラウ夫人とレイが先に説明をする。

「ふむ、それで他には?」

「他にはな!」

「当然罠などもありますわ。落とし穴とか壁から槍が突き出してくるなど、レパートリーは豊富ですわ。」

「最後の階層にはボスがいますからね。それを倒して帰還すれば制覇ですわ。」

「ねぇ、なんで俺の仕事取るの?ねぇ、なんで?リード、他に聞きたいことないか?シェリーでもいいぞ!」

「おっさん必死すぎ、俺は特にないな。」

「私もないです。見つけた魔物をやり過ぎないように援護すればいいのでしょう?簡単ですね。」

「俺の…。」

哀れなティスカ公。

「そんで陣形はどうすんの?俺らは後衛だろうけど…。」

「俺は前衛だな。」

「わたしもですわ。」

「もちろんわたくしも。」

「そういやこいつら脳筋だったわ…。」

ティスカ公は両手剣を、クラウ夫人は小型のダガーと小型の盾を、レイは手甲を、皆構えるようにして見せてくる。

「あぁ、それがトールの親父さんが作った武器か。…うん、いいものだな。」

「お?知ってるのか?…そういえばあいつには息子がいたな。才能ないっぽいから見向きもしてなかったわ。」

「後悔するぜ?なんせ俺が手を加えてるからな。今に化けるぜ?」

「待った、その話聞いてない!トールとか言ったか?スカウトするしかねぇだろ!」

よし、トールの巻き込み成功。

ティスカ公の武器についてだが。パッと見はただのダマスカス鋼の大剣だが、【熱情のダマカス鋼の大剣】と言うらしく。本人のテンションによって威力が増すそうだ。合いすぎワロタ。

クラウ夫人のもダマスカス鋼のダガーとバックラーだな。【風神のダガー】【雷神のバックラー】か、前者は切り口を更に広げるように風魔法がかかり、後者は磁石のように金属貼り付けることが出来るっぽいな。なるほど、中堅アタッカーだな。

そしてレイは俺が手を加えた鉄の手甲だな。使いこなしてる感があるので鉄でも大丈夫だろう。

そして俺ら。

シェリーはなにもなし、俺は訓練用のショートソード、銀もなし。

…しょぼい、ひたすらにしょぼい。

服装もティスカ公とか鎧付けてるしさ、クラウ夫人もレイも革の鎧みたいなのつけてるしさ。

俺ら。

旅人の服。

この差、ついでに言うとティスカ公の鎧とか衝撃緩和する効果ついてるよ。クラウ夫人とレイのも軽くなる効果ついてるよ。

ただの旅人の服。

この差。

…うん、やっぱり実力云々よりも装備にも金かけていこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ