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にほんめ!

「えっと、成り行き?」

「成り行き?…まぁ、いっか。こっちついて来て。」

そう言って街の隅の方に向かって歩き出す。向こうは確か俗に言うスラム街の方か。

どんな街にもそういった人たちはいる。ここも例外ではなかった。

だけど俺たちは行ったことがなかったな。正直行く気にはならんかったしな。

ゴロツキ共がうようよいそうで怖いしな。

「あんたの名前聞いてもいい?僕はハーピー、ハピって呼んでくれていいよ。」

「あぁ、俺はリードだけど。…好きに呼んでくれて構わんよ。」

「んじゃ、リードって呼ぶね!それで成り行きって言ってたけどお城の中にいたんでしょ?ていうことはお城の関係者だったりするの?そうだよね?」

「おっ、おう。」

自己紹介した途端にこのマシンガントーク。こいつ、馬鹿だな。そして若干ウザイ系だな。

「やっぱり?そうだよね、やった!一応目標は達成した!」

若干スキップしながらルンルン気分なハピ。こいつに出し抜かれた兵士たちが哀れになってきた。そういえばそっち方面の訓練はしてないしな。…俺のせいじゃないな。

「目標って何?」

一応訊いておこう。こいつ馬鹿だから話してくれるかもしれん。

「教えて欲しい?そっかー、教えて欲しいんだー。んっとね、少し前に城にバトルウルフを招き入れたって話知ってる?」

やっぱこいつ馬鹿だ。

「あー、確かにいたね。うん。」

「なんで過去形?まぁ、いいけど。それでね、それについて知ってる人を探してたんだ。」

「なんで?飼い主でも攫ってバトルウルフでも使いたいのか?」

「え?なんでわかったの?リードって意外と鋭いのね。…正確にはバトルウルフを使える盗賊団ってのになりたかったんだけどねー。」

マジかよ、こいつ案外すごいんじゃない?完全に目標達成してるやん。飼い主攫うってとこまでは。

「へー、なんでそんなことしようとしてんの?」

「フイ盗賊団って知らない?…知ってるわけないよね。昔はこの辺りで活動してた義賊なんだけどね。その首領が捕まっちゃってね、それで殺されちゃって…。そのまま仲間は散り散りに、捕まった人もいれば逃げた人もいるんだけど。」

「なるほど、その盗賊団を復活させたいと。」

「そうそう!そういうこと!リードって頭いいんだね、惚れちゃうかも。」

「うわっ、ちょっとウザイ。」

「えー!なんでよ!こんな美少女あんまりいないよ?有望株だよ?」

「あっ、やっぱり一応女なのか。んで話の続きは?」

「え?それってかなりひどくない?…まぁ、話の続きなんだけどね?その首領ってのが僕のお父さんで、それで次期首領が僕なんだけど。一発大きなことやって名をあげようってことでバトルウルフを狙ってたわけ。」

よくもこうペラペラと喋ってくれるな。初対面だぞ?流石に警戒心なさすぎだろ。

「ふーん、その盗賊団ってのはハピ一人なの?」

「違うよー、今仲間のとこに向かってるんだけど全部で4人かな?爺とヒューイとロイとメルだね。」

「まぁ、名前言われてもわかんねぇんだけどな。」

「あははー、そうだよね。あっ、こっちだよ。…それでね、今回の作戦に爺達は反対してたんだけど。やっぱりやってよかったんだよね、こうやってリードを捕まえられたし。」

「え?俺捕まってんの?」

初耳なんだけどどうやら俺は捕まってるらしい、一秒かけないで逃げられる自信があるんだけど。

「そうだよー。ほら、捕まえてるじゃん。」

そう言って手を掲げる。…そういえば引っ張られたままだったから手つないだままだったな。

「離してもいい?」

「それはダメ。ほら、もうつくからね。」

さっきから路地裏を行ったり来たりしてるので既にどこがどこだかわからん。そして、目立たないようになってる扉の前でハピが止まった。

「ここだよ。さっ、入って入ってー。」

そう言ってハピは扉を開けて中に入っていく、こんなんが首領でいいんだろうか…。


「お嬢!どこにいってたんですか!心配してたんですよ…。」

「城に忍び込むって言ったじゃん!聞いてなかったの?」

「本当にやったんですか!?何やってるんですか!怪我はないようですがもしものことがあったら先代になんていえば…。」

「だから大丈夫だって言ったじゃん。それにね、聞いて聞いて、知ってる人見つけてきたから!」

入りづらい、これは入りづらいぞ。

「おじゃまします?」

扉を潜って中に入る。小さな部屋にハピと爺と呼ばれてた人の影が見える。

伊達に爺とは呼ばれてはないようで見た目の年齢はマーカスの上をいってるな。

「…失礼ですが、あなたは?」

それでも油断なくこちらを見る目にはギラリとしたものがある。年齢相当の実力は持ってそうだ。

「リードっていうんだって、バトルウルフの事知ってるらしいよ?」

別に俺は知ってるなんて一言も言ってないしな。

「…お嬢、まだそんなことを言っていたんですか…、あれは私たちの手におえるものじゃないと何回いったら…。」

「それでも一番手っ取り早いのがそれでしょ?それならやるしかないでしょ!」

「あのー、帰りたいんですけど…。」

そう言ってみるが爺がこちらに寄ってきて扉が締められる。まぁ予想はしてたけどね?

「…すまんな、君がどこまで聞いたのか知らないが返すわけにはいかなくなった。」

「ですよねー。」

「え?なんで?リードはもう仲間だよ?」

「おかしい、おかしい。それはちょっとおかしい。」

こいつ頭の中お花畑かよ。どこに仲間になる描写があったよ。

「だって捕まえたんだよ?そこから説得して仲間になるのは当然でしょ?」

「説得も何もされてないんですが、それは…。」

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