表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイペースな世界で。  作者: 亜孤
プロローグ
2/8

転入生とのろま少年


お昼のチャイムが教室いっぱいに鳴り響く。

それを合図に周りの生徒達はガタガタと立ち上がり、各自自分たちがご飯を食べるところへ移動していく。

ほとんどの生徒が立ち上がっていく中、一人だけ椅子に座ったまま何かを書いている少年がいた。


「なあなあ、何してんだ?」


一人の男子生徒が気になったのか、その少年にそう尋ねてきた。

少年は何かを書いていた手を止め、ゆっくりと顔を上げてその男子生徒を見る。


「さっきの、数学のプリント、解いてる」


ゆっくりと途切れ途切れにそう言って、少年はまた目線を下に戻した。


「さっきの数学のプリントって・・・、終わる五分前に配られたやつ?簡単だからこの時間でやっとけって言われた・・・」


男子生徒の言葉に無言で少年は頷いた。

それを見て、男子生徒は目を丸くし、わざとらしく驚いた仕草をした。


「えっ!お前、まだできてねーの!?」


少年はまたゆっくりと頷いた。

その様子を見て男子生徒はふと思い出した。

そういえば、こいつのろまで有名な奴だったっけ?

だれかがそう言っていたような気が・・・。

そう思いながら、男子生徒は少年の前にある椅子に座ってそのまま少年の方を向いた。

少年はまた顔を上げて、不思議そうな顔で男子生徒を見る。

そんな少年の顔を見て、男子生徒は二カッと笑ってこう言った。


「俺、今日はお前と昼飯食う!!」


お前なんかおもしろいし!という言葉は言わないでさっきまで手に持っていた弁当を少年の机に置いた。

男子生徒の名前は井野竹広。竹広は今日転入してきたばかりの生徒だった。


「なな!いいだろ?」


竹広が少年をまっすぐ見て聞いた。

少年は最初は少し驚いていたが、やがてプリントをしまって小さく笑って頷いた。


「ああ」


少年の名前は河村良介。学校内でも有名なのろま少年。でも、頭はいいらしい。

今の時間はちょうど十二時十分。

遅かれ早かれ、二人のランチタイムはスタートした。

そして、二人の友情もここからスタートした・・・らしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ