マイペース少女、現る
とある街に学校のチャイムが鳴り響く。
お日様は空の真上。
どうやら、お昼のチャイムのようだ。
普通なら学校でご飯を食べる時間。
しかし、この少女だけは違った。
「んー?あれま、もうこんな時間どすかー・・・」
少し変わった口調で喋るこの少女。
時間を確認するためにゆっくりと時計の方へと顔を向けた。
時間は十二時。それを見た瞬間、少女は口に銜えていた箸をポロッと落とした。
そして、血相を変えて椅子から立ち上がり、下に置いていたカバンを掴んで外へ飛び出した。
「朝ではないんですかあああ!!!」
と叫びながら。
少女の名前は都嶋裕子。
ちょっと不思議ちゃんでかなりマイペースな高校一年生。
今の時間は十二時をちょっと過ぎたあたり。
たった今、朝食の途中だったけれど自宅から学校へ登校中。
もちろんこれは日常茶飯事。
「うー・・・。これで入学式以外ずっと遅刻でござんす・・・」
半泣き状態で走りながら裕子は言った。
その速さが五十メートル走でいうと六秒台の速さであるとは、彼女は気付いていない。
「いやぁー!遅刻してまいますううう!!」
もうしているのだが、そう叫ぶ裕子の声は町中に響いていった。