第八部
視点を変えました。
女の子のホール建築家のお父さんです
書いていて大変なことに気がつきました
気が付かなきゃ良かった
全然名前が決まってネェェェェェ!!!
作品を書くにあたり一番悩むことはキャラクターの名前を決めること
どうしよう?
誰かいい名前教えてくれないかなぁ?(可愛く)
歌っていたときの僕にとって、音楽を極めるということは自分の声から不純物を取り除き、純粋な響きだけを抽出することだと考えていた。
そのために何千何万という発声法を試みその都度、悪いものを見つけ改良してきた。
良いものを集めるとは正反対。悪いものを収集しそれを排除するという形で上を目指していた。
自分の芯には絶対的なものが存在していると一片も疑ったことはなかった。
汚濁にまみれたこの蛹から孵れば自分一人だけの足場が見つかると思っていた。
だが今の僕がここにいる。
長年貧しく音楽を勉強していたが疑いが生まれてきてからは声がでなくなった。
自分では自身を見ることはできない。
蛹の中にある純粋な歌声がただの私の偶像だと気づいたとき、僕の音楽家としての道は荒野へと延びるアスファルトに変わっていったのだ。
だが気づいて良かったと思う。
今となっては疑ったから道が消えたのか、疑う前から道はなかったのか、その判別すらできない。
しかし、あのままだったら今の生活はしていなかっただろう。
最近、やっと人の歌を聴くのが苦痛ではなくなってきた。
以前は自分の声の方がきれい、とかこんな声に騙される消費者はどれだけ馬鹿なんだろうと考えていたから音楽をほとんど聞かなかった。
音叉を耳元でならしその純粋でよく響く音を鑑賞していた。
純粋な響きとは即ち人の声でなくなるということだ。
純粋とはとても冷酷だ。人を殺すものだ。何て言ったって純粋なものはただ純粋というだけでその絶対な力の行使が許される。
さっき僕が蛹の存在が信じられなくなったと書いたがこういい変えてもいいかもしれない。僕は自分が純粋さを手にいれることを恐れたと。
いいホールとは歌い手が不安になるホールである。
いいホールであればあるほど歌い手に不信という牙を突き立てる。
ホールとは暴力的なのだ。歌い手が出した声をホールにいる観客全員に届けるため音を暴力的に奪い取っていく。声を出しても耳には聞こえてこない。自分の声が出ているのか、挙げ句の果てには自分の存在さえも揺らがされてしまう。
まぁいいホールを作るというのは僕が尻尾を巻いて逃げ出した音楽の世界に貢献すると共に僕のホールで歌を歌う全ての者たちへの復讐と応援とでも言えるものなのだろう。