第五部
うむむ。これで主要な登場人物は全部出しました。
シリーズ化させようかなと思ったので当初の予定にこれをぶちこんだのでわたわたしてますがお願いします。
はっきりさせますがあくまで助手でラブコメに発展することはありません。
再び響くノックの音
磨りガラスから透けて見える影は小柄な女性のものであった。
足元から伸びる影を引きずりつつ扉を開ける。
新規のお客さんはなかなか自分から入ってくることは少ない。
開けた先にいたのは大人びた高校生か幼い大学生かといったところであった。こういうときは若い方を選択するのが正しい。当たってる間違ってるではなく正しいのだ。男性であれば反対になるのだが。
大人びた高校生は爪先を見ていた。時々思い出したように肩を震わせている。
この世の中で面倒なものベスト3の中に確実にランクインするのが泣いている女性だ。
いるだけで僕は自分が悪いことをしたのではないかと真剣に悩むことになる。
「どうした、のかな?ここは事務所なんだけど」
「お父さんがいなくなってしまったんです」
「えーっと、依頼ってことかな」
「朝起きたらいないんです」
「お母さんはなんて言ったのかな?」
「あなたには最初からいないでしょうって」
嫌な汗が背中を流れ落ちる。
さっき飲んでいたコーヒーがしわくちゃなワイシャツを染めているような気がする。いつ爆発するのか、それは遠くない未来で不可避だと感じたがどうしようもない。
「探してくれないんですか」
鼻を啜る回数が徐々に増えていく。
「そうはいってない」
少し収まってきた。
「でも一回お母さんに相談してみないと」
「お母さんは気にするなって」
「それなら僕はちょっと····」
もちろん噴火寸前へ
これは少し楽しいとも言ってはいられない。
「お母さんが良いって言ったら探してくれる?」
「そりゃ他に報酬さえ合意できればね」
「なら私ではどうでしょうか?」
「はぁ・・・はぁ?」
「私がここで住み込みで働きます」
「まずお母さんから同意をとろうね」
どうせこの一手ですごすごと帰って行くことだろう。
「絶対?」
「ああ、それがなければ絶対に動かん」
「それがあれば絶対に動く?」
「うむ、喜んで解決して見せよう」
あれ?この子泣いてない?
「おばさーん」
不意に開く扉
「言質はとれたかい」
大家のおばさまの登場
「ばっちし」
「そういうことだからうちの姪っこをよろしく。まぁ断ったら60年変えていなかった家賃をここいらの相場まで値上げするからね」
「よろしくお願いします。手を出したら舌を噛みきって死ぬからね」
「近所のおばちゃんたちが監視しているから気を付けるこったね」
このあとの展開に特に語ることばはない




