第十五部
タブレットだとはいえ携帯で打つのは疲れるなぁ。
電池も物凄く消費するからなぁ。
と言うのを言い訳にいつものようにこの分量。
それでは読者の皆様、また、「なろう」の同志に感謝を込めつつ
第十五部更新いたしました。
お楽しみいただけたら幸いです。
リュックサックを部屋の隅にぽそっと置く。部屋は一般的なホテルと一緒だ。ベットがあり浴室があり冷蔵庫があり金庫がありテレビがあり机がある。金庫はなるべく使わない方がいい。大切なものは全て持ち運ぶ。こういうホテルはシーツ交換などで日に何度か人が入ってくるものだ。一応我々からすると敵地までいかないもののアウェイではある。金庫にだって信用は置けない。
この職業のいいところは旅慣れするところだ。荷物が洗練され少なくなっていく。旅先で必要なものが出てきたら使い捨てできるものを買い足せばいい。レシートをとっておいて調査用ノートに分類別に整理して張り付けておけば、依頼人に必要経費として請求すればいい。
さてと建前通り観光に行くことにする。リュックサックから小さな肩掛けのバックを出す。いざというときこれだけは必要というものは分かりやすく別にして簡単に持ち出せるようにしておく。というのも大切な心がけだ。机の上のパンフレットを片手に扉を開けるとさっきの兎が待っていた。
「さてさて冒険の準備はいいかにゃ~ん。一事が万事準備万端なあなたにとっておきをプレゼントン♪ここおこの招待者にだけ贈られる金のプラチナカードだぴょんぴょん、ぴょぴょんがぴょん。これで素敵な冒険にレッツらゴリラ.
ちゃんと首にかけておいてポン」
最後のポンは狸として判断しておく。
取り敢えずテーマパーク内を蹂躙するが如く設置されているジェットコースターに乗ってみる。乗り口と降り口に股がるように並ぶ人の列がとても異様だ。ジェットコースターとはここまでおっちゃん達の心を捕まえるものなのだろうか。
かかお顔色の悪い者まで列に加わり途切れることはない。
それなら仕方がない。今度機会があったら乗ることも選択肢の中に入れてみることもやぶさかではではない。と、ブースを離れようとしたところで列の一人が有り難くない鶴の一声をあげる。
「新しい御客人が来たぞ。場所を空けて挙げなくてはならん。誰か前を譲るものはいないか?」
別の者が声をあげる。
「私の前に入れてあげるのはいいがそれだと私の後ろのものにも迷惑がかかる。私は一時の善行でジェットコースターに乗ることができる幸せ以上に幸せを得ることができるが、他のものに不幸を与えるかもしれないのでそれはできない」
「「「右に同じ」」」
皆が声を合わせて賛同の声をあげる。
そこでもう一人。
「だが皆の幸せを優先することにより、この方に幸せを分けずに我々が幸せを独占することは罪であろう」
「「「左に同じ」」」
「さてさてどうしよう」
「「「どうしよう」」」
そこで私に一番近い男が目敏くありがた迷惑な発見をする。
「なんとこのお方は金のプラチナチケットを持っておられる」
「「「なんと、なんと」」」
「なぜそれを真っ先に出さないのですか?金のプラチナチケットの君。真っ先に乗りたまえ。一番前に座りたまえ」
十五分後、便器に顔を突っ込まんばかりに顔を蒼くした私がいた。