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料理美味いです。

なんと手直し途中で固まり、消えました……。

ちょっと変なところがあるかもしれません。


近い内に修正します……。

 目が覚めてからすぐ、美女と茶老人の謝罪を受けた。

 最初は理由がわからなかったが、どうやら美女に抱きつかれた拍子に倒れてしまい、後頭部をぶつけて意識を失ったらしい。

 美女の失礼な態度より、抱きつかれた喜びの方が大きかった俺はすぐ許した。

 茶老人エムナイルと話している時は体が見えなかったのでわからなかったが、よく見ると美女は結構な巨乳なのだ。

 巨乳とは言っても大き過ぎるわけではなくて、ちょうど顔が埋まる位で重力にもまけなそうなハリのある素晴らしい乳。

 そんな物を両腕でむぎゅっとしながら涙目で謝られてしまったら許さざるを得ないのが男ってものだ。爺はゆるさないけどな!

 しかし、どうやら昨日の出来事は夢ではなかったようだ。美女と茶老人の俺への接し方を見ると、誘拐犯には到底思えない。謝罪してくれてるし。

 だが、実際にどこかに連れ去られているので、良い人とは言えないしな。

 それに早く帰らないと、姉ちゃんや母ちゃんが心配しているだろうし……。

 ひとまず、二人から現在地と家に帰してもらえないかをそこはかとなく聞く事にしたのだが……。

 彼らの謝罪が終ってすぐ、メイドのような格好をした女性が何人か現れて朝食を用意し始めた。慌ただしく動くメイド達のせいで中々話を切り出す事ができない。

 結局、朝食が準備できてしまったので食べてから話す事にした。考えて見ればお腹が減っている。もし、彼らが誘拐犯で逃げる羽目になったとした時、腹が減って走れませんではお話にならない。

 もし、誘拐犯だったとしたら、この先、食事が出る事がなくなるかもしれないし。なんか言い訳がましくなったけど、とにかく今は食べよう!

 メイド達が用意した朝食は豪華? 実際お金持ちの食べている物を知らないので、なんともいえないのだが、すべての料理は豪華というよりおいしそうだった。食べた感想は……一言、こんなうまい物は食べた事がない。

 食欲を促す出来たての匂いを放つふっくらとしたパンは、マーガリンやジャムをつけていないのに甘みがあり、何個でも食べれた。卵焼きもおいしい卵を使っているのか、砂糖のバランスがいいのかわからないが、甘めに作られていてうまかった。

 そして、なんといっても肉! 最初見た時は、朝から肉って……なんて思ったが食べた瞬間謝った。一切れ一切れがどっしりとした存在感を出しているのに、あっさりと噛み千切れる程柔らかい。噛めば噛むほど、得たいの知れない旨みが溢れだす。臭みもまったくなく、高級な牛の肉を想像させた。

 俺は結局、出された料理を残さず平らげていた。

「お気にめされましたかな?」

 俺の食事を呆然と見ていた茶老人……いや、エムナイル様が若干引き気味に聞いてきた。

「すごく美味しかったです」

 いやもう本当エムナイル様とお呼びさせてください。こんな美味しい料理が食べれるなら……んっ? 待てよ。わかった。この茶老人、美味しい料理を食べさせて、俺が帰りたくならない様にしているのではないか、と。それとも、この料理代を吹っかけてくるのかもしれない。

 くそ! 空腹を利用した詐欺ではないか。さっきまで幸せな時間だったのに、彼らの思惑を想像して一気に気分が落ち込む。あまり警戒せずに食べた自分も悪いのはわかっているが、それでも空腹を利用するのはずるい。

「それはよかったです……それでですね」

 来た! 何が目的なのか、自分から話してくれるとはな。かと言って料理を食べてしまった俺は不利だ。しかし、こういう時は弱気になってはいけない。俺は何も悪くねえよ? という雰囲気を前面に押し出していけば、相手がそれに飲まれる可能性がある。

 演技力の見せ所か……。

「は、ははははい! な、なななんでしょうか?」

 全然駄目でした。演技とかした事ないし、てか弱気にも程があるだろ俺。あー、やってしまった。どんな無理な要求をされるのか……。そう考えている時点で、俺が相手に呑まれていると言う事だが、思わない様にする。ただでさえKO寸前なのに、それを容認してしまったらなすがままになってしまう。もう、絶対的な不利な状況だが、諦めたくはなかった。

「この世界の事なのですが」

 しかし、茶老人は脅迫も無理難題もしてこなかった。その代わり、意味不明な事を口走った。この世界? どういう意味だろうか。

「この世界は魔王がおります。しかも彼らは十年に一度生まれるのです」

 魔王? 生まれる? 何を言っているのだろうか。こんな作り話、子供はまだしも高校生である俺に通用するはずがない。

「その魔王を倒していただくために、我が秘術によってあなたをこの世界に召喚しました。勝手に呼び出してしまい誠に申し訳ない」

 茶老人エムナイルが深々と頭を下げているが、どうでもよかった。そんな事よりも彼の言った事が理解できない。整理しようとすればするほど、こんがらがってしまう。

「言っている意味がよくわからないのですが」

 そう言うしかなかった。誘拐犯の方がまだよかったのかもしれない。この茶老人は恐らく気が触れているのだ。だから、理由がわからない事をしているのだ。そうに違いない。

「いきなりこのような事を言われて動揺するのも無理はないと思います。あなたの名前は何と言うのですか?」

 俺が理解できていないのが悪いとでも言いたいのだろうか、この気が触れた老人は。俺はボケ老人の質問を無視し、隣に座っている美女に目を向けた。この爺としゃべっていたら話が終らない。

「あの……この人は何を言っているのですか?」

 なんとも失礼な言い方だが、ボケ老人の事だ。俺が言った事も理解できないだろう。美女は一瞬頬を赤らめ、顔を伏せようとしたが、首を振った後、深呼吸して俺を真っすぐ見つめてきた。

 最初の奇行を見てこの女の子も気が触れているのかも知れないと思ったが、どうやら大丈夫のようだ。てか凄く可愛い。

「私は、アウォル国王女のシルヴァリナ=アウォルと申します。お兄……あなたのお名前を聞かせていただけますか?」

 王女と名乗った美女は途中、また若干顔が赤らんでいた。駄目だ。この美女もおかしくなっている。折角美女に生れて来たのにもったいない。

 しかし、はいそうですかと納得する事はできない。シルヴァリナ? アウォル国? 名前はともかく、国名は聞いた事がないし、寝ている間に外国に連れてきたとでも言いたいのだろうか? さすがの俺もそんな長時間寝ないっての。

「僕の名前は神沼栄太(カミヌマ エイタ)と言いますが……ここは日本ですよね? 違うと言うならどこですか? 海外とでも言いたいのでしょうか? 僕が寝たまま海外に連れられたとでも? そんなの空港で止められますよ。寝たまま飛行機に乗れるなんて子供ぐらいです」

「エイタ様……」

 自称王女様は俺の名前を復唱して、より顔を赤らめる。多分後半の話は耳に入っていないに違いない。……重症である。

「あなたが何を言っておられるのかは私共ではわかりかねますが、私共が言っている事は真実なのです」

 赤い顔のまま呆然としている自称王女様の代わりにエムナイルが答えてくれた。が、これだけ言っているのに頑として現実を受け入れられないらしい。真実とまでぬかしやがる。

 穏便に済ませよう(失礼な事を言った気もするが)としていたが、さすがに苛立ってきた。

「では、ここは俺が住んでいた世界とは違って、この世界には魔王がいて、それを倒す為に俺が呼ばれた……それを信じろと?」

「そうでございます」

「はっ!? 馬鹿馬鹿しい。何が目的かわかりませんが、帰していただけますか?」

 これ以上話しても堂々巡りだろう。そう思った俺は席を立った。ふと自称王女に目をやると、顔の赤みが収まっていた。途中で我に返って話を聞いていたのか、悲しそうに俺を見つめていた。

 むう……可愛い。これが正常な娘だったら文句がないのだが……考えても仕方がない。

「残念ながら帰る術はありません。しかし――」

「あー、もう良いです。帰ります。殺したければ殺せば良い。こんな話を延々と聞かされるなら死んだ方がマシだ」

 エムナイルの言葉を遮り、部屋を出ようとする。本当に殺されてはたまらないので、そそくさと。

「お待ちください!」

「エイタ様!」

 二人が同時に声をかける。しつこいにも限度があるだろ。

「もう、話す事は何もないです。さようなら、美しい王女様。もう二度と会う事は無いでしょう。お元気で」

 そう言い放ち、なにやら言っている二人を無視し、俺は部屋を出た。

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