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約束〜父親の会社が倒産したので家事代行のバイトを始めたら、アイドルとお近づきになりました。  作者: 蓮太郎


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6/19

6.家事代行は自粛。

「おはようございます!」

健人は、次の日も授業が無いのでシフトを入れていた。

会社のドアを開けると、何やらガヤガヤと騒がしい。

「健人くーん!!大変だ!大変だ!」


「店長、今度はどうされました?」


「あれだよ!あれ!」

店長は、休憩所に置かれたテレビを指さす。

「ん?・・・はぁーーー!!!!」

健人は驚愕の叫びを上げる。

テレビのワイドショーでは、スーパーアイドル中條詩音。熱愛報道!

の見出しが大きく標示され、コメンテーターが興奮気味に話ている。

それだけなら健人は温かく見守れただろう。

ただ、証拠の写真と言うのが問題だった。

「こ、こ、こ、この、男の方、健人くんだよね?」

店長は、僅かな望みにすがるように、健人に詰め寄る。

「顔にモザイクはかかっていますが、これは・・・。」


「これは?」

店長は涙目だ。


「俺ですね。」


「あぁーーー!!!!終わった。終わったーーーー!!!!」

店長は、涙ながらに叫ぶ。


「て、店長、何で終わりなんですか?」


「うちみたいな弱小企業、芸能事務所に目を付けられたら終わりだよ!

大事な人材に熱愛報道・・・賠償金・・・億?・・・兆か?」

店長はフラフラしている。


「待って下さいよ店長!熱愛なんか無いですし、俺達は、杏子さんのお見舞いに行っただけなんですよ!」


「そうか・・・その線で交渉するしかないな。」


プルプルプルプル。

「わぁ!」

突然会社の電話が鳴り、店長がビクつく。


他の従業員が電話を取り対応している。

「店長、詩音ちゃんの事務所からです。」


「わぁーーー!!おわたーー!!!」

店長は床に崩れ、小さくなって震えている。


「店長、早く出て下さい。」


「はいー。」

店長は、恐る恐る受話器をとる。

「お、お電話変わりました。店長をさせて頂いております」


「はい。」

「はい。」


店長は、少し安堵した様子で、受話器を置いた。


「あ〜。首が繋がった〜。」

店長は、横に置かれたイスに座った。


「店長、すいません。俺のせいで。」

健人は、疲れ果てた様子の店長に申し訳無さそうに声をかけた。

「いや、今回のは仕方ない。まぁ、向こうも詩音ちゃんには事情を確認済の様で、とりあえず、ほとぼりが冷めるまで、1ヶ月程は家事代行をお休みしたいと言う電話だったよ。」


「そうですか。杏子さんも復帰しないし、俺が行くとまた写真撮られそうだし。心配ですが、仕方無いですね。」


「そ、それなんだが。」


「はい?」


「どうやら、1ヶ月後に様子を見て、家事代行を再会したいそうなんだが、詩音ちゃんは、杏子さんではなく、健人くんを指定して来てるんだよ。」


「えっ?俺?」


「なんか、言いたい事があるとか。

仕事もできるし、ご飯も美味しかったから、復帰初日は健人くんに来て欲しいそうだ。」


「そ、そうですか。」

言いたい事・・・・あっ。下着の事か?怒ってる?

「ははっ。」


健人は、プンプン怒る詩音を想像して笑った。


「よし!色々騒いでしまったが、仕事、仕事!みんな今日も頼むよー!」


「はぁーい!」


従業員達は、それぞれの現場へと出発していく。


健人も、詩音を心配しながらも、切り替えて現場に向かった。

詩音の部屋を経験した健人は、実力がぐんぐんと上がり、この短期間で他のお客さんからも指名される程に成長していた。


独り立ちした健人は、今日も指名されたお客さんに感謝され、帰路についていた。


「あ〜今日も働いたな。」

独り言をいいながら健人は下を向きながらポツポツと歩く。

「健人くん?」

誰かに呼ばれて健人が、顔を上げると、パーカーのフードわーかぶり、サングラスにマスクという怪しい姿で人が立っていた。

「か、カツアゲ?」

健人は、身構えた。


「あはははっ。私よ、私。」

怪しい人物は、サングラスを少しずらして目を見せる様に、健人を見つめる。


「あぁ!詩音か!」


「しっ!」

詩音は辺りを気にしている。


「こんな時間に何してんの?暗いし危ないぞ?」

健人は心配そうにする。


「私、もうすぐ成人よ?大丈夫よ。

健人くんに来てもらえなくなるから、洗濯洗剤とか色々買いに行ってたの。

ためるとどうしていいか分からなくなるから、こまめにがんばろうと思って。」


「あぁ。なんかごめん。」


「私も。ちゃんと警戒するべきだった。」


「暗いし、送ろうか?荷物も重そうだし。」


「いや、いい。また写真撮られたら大変だから。今日はもう行くね。」


「そうだな。気をつけて。」


「うん。ありがとう。」


健人は、送りたかったなと思いながらも、詩音の後ろ姿を見送った。

「あれ?何で俺、送りたかったと?」

小さく呟くと、健人は、自宅へと歩みを進めた。

「あっ、言いたい事って何だったんだろ?」

ポツポツと歩きながら、健人は呟く。

健人は、詩音ともっと話したい、一緒にいたい、そう思う様になっていた。

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