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約束〜父親の会社が倒産したので家事代行のバイトを始めたら、アイドルとお近づきになりました。  作者: 蓮太郎


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3/19

3.不思議体験。

「ただいま〜。」

健人は、疲れた体を引きずる様に、誰もいない暗い部屋に帰宅した。


廊下からリビング入るドアを開けると、ソファーに誰かが座っている。


「えっ?!」

健人は身構える。

「ど、泥棒か!」

健人は叫ぶ。


ソファーに座る人影は、ゆっくりと振り向いた。

健人が目を凝らすと、暗闇に目が慣れてきたのか、人影の顔がぼんやりと見えた。

「なんだ、詩音か。」

健人は胸をなで下ろした。

が、「いやいや!なんで?」

たちまち、健人は驚く。


「なんで?なんで、私の名前知ってるの?」


「え?さっき会ってたし、君の部屋、片付けてただろ?」

健人は不思議そうにしながら、詩音に近づく。


「ちょっと!近づくの禁止!」

詩音は、健人を警戒している様子で、近づく健人を見ながら、ソファーから立ち上がる。

「キャッ!」

詩音は、足をからませて、健人の方に倒れ込む。


「危ない!」

健人は、詩音を受け止めようと手を伸ばした。


スー。

詩音は、健人の手をすり抜け、床に倒れた。

「え!?」

健人は、驚きながらも悟る。

「あっ!昨日の幽霊の方か。」


詩音は、立ち上がりながら不満気に健人を見つめる。

「まったく。いきなり近いてこないでよ。」


「いや、疲れたし、ソファーに座りたいんだよ。と、言うか、ふふっ。」


「何笑ってんのよ?」


「いや、ドジな幽霊って。」


「ムカつくー!」


「悪い、悪い。」


「まぁいいわ。ところで、幽霊の方とは?」


「・・・。」


「いや、黙るな。」

詩音は、不快そうに健人を見る。


「いや、俺も理解が追いついてない。

君・・・も、詩音なのか?」


「えぇ、詩音よ?も(・)とは?」


「君にそっくりな人に今日会った。

その子も詩音だ。」


「あら、珍しい事もあるのね。」


「そうだな。色々と整理したい。

君、いや、詩音は、何でここに?

あと、幽霊で間違い無いのか?

あと、」


「待って!一つづつ!」


「あぁ、ごめん。興奮した。」


「それは私に?」


「・・・まぁ、ある意味?」


「はぃはぃ。冗談も通じない堅物のようね。」


「失礼な奴だ。」


「む〜。」

詩音は、不満気に健人を睨む。


「で?とりあえず、詩音は幽霊?」


「分からない。」


「分からんのかい!」


「おぉ!突っ込んできた。」


「茶化すなよ。」


「本当に分からない。私が幽霊なのか、なんなのか。気づくと、いつもここにいる。

今まで、色々な人がここに住んだけど、みんな私が現れると、怖がってすぐに出ていった。

私に話しかけてきたのはあなただけよ?しかも抱きついてくるとか。」


「そうか。あ、俺は芦田健人。健人でいいよ。」


「都合の悪いところは流すのね。

まぁいいわ。

じゃぁ、健人くん。健人くんは、私が怖くないの?」


「そうだな、声だけのときは怖かった。目をあけて詩音を見たら、可愛いから怖くなくなった。」


「口説いてる?」


「幽霊を口説く趣味は無い。」


「そっ。」

詩音は不満そうにする。


「つまり、なぜここにいるのかも、何も分からないと言う事か?」


「そう。」

詩音は、考え込む様に顔を伏せた。


「と、言うか。驚きすぎて電気付けるの忘れてたわ〜。」

健人は、立ち上がりながら言うと、照明のスイッチに手を伸ばした。


「待って!」


カチッ。

詩音の叫ぶ声と共に、照明が部屋を照らした。


「えっ?」

健人が照明をつけて振り返ると、詩音の姿が無い。

「あっ。・・・幽霊だし明るいと消えるのか?」

健人は、焦った様子でもう一度、照明を消したが、詩音がその日、現れる事は無かった。


「あ〜。もう少し話したかったな〜。」

健人は、日課の勉強をしながら、たまに詩音を思い出しては、小さく呟いた。

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