再構刻ノ刻(中)
焦げたような硝煙と、土の臭い。
重く淀んだ空気がトワの肺を焼きつける。
身体は、自分のものじゃないようだった。
なのに、異常なまでの力が、どこかから、噴き出している。
「はあっ……はあっ……! なんだ……これ……!」
敵はすでに絶命していた。
“それ”は、再構築されたナイフではなく、手のひらに現れた“光”が貫いた。
透明な刃のような光。それは何かの“意思”を伴うように現れて、敵の中心を貫いたのだ。
『……目覚めたか。ようやく、か。』
トワの後方で、低く、どこか無機質でありながら威厳を帯びた声が響いた。
振り向くと、そこにはあのマネキンが立っていた。
真っ白な身体。無表情。だが、その瞳の奥には確かな“知性”が宿っている気がした。
「……お前、喋った……? いや、どうして……!?」
『今の“力”、それはお前に与えられた【再構刻】の第一段階だ。』
『選ばれし者だけが使える、“壊れた世界”を“刻み直す”異能。』
「刻み直す……?」
『そう。触れたものに、可能性を宿す。滅んだものに、意味を与える。無から、有を呼び戻す力。』
『お前は、その再構者だ。』
トワは、息を呑んだ。
まるで夢を聞かされているかのような内容。けれど、その声は明確に彼の意識に・・・