別れの火──そして、共に歩む者
焚き火が消えて数日が経った。
──朝焼け。
トアと8人は、互いに視線を交わしながら静かに頷いた。
誰からともなく、背を向けて歩き出す。
「再会の時には、立派な男になってるさ。……きっとな」
そう言い残して、落ち着いた声の男は、
小さな金属片をトアの手に握らせた。
「これは……?」
「“鍵”だよ。俺たちの在処へのな」
そしてそのまま、彼は火のように背を向けて歩いて行った。
7人が続いていく──
──だが。
最後のひとり──銀の髪の女だけがその場に立ち止まった。
そのまま、前に行った7人の仲間たちと、何かを話し始める。
トアは、何気なく見守っていた。
──5分後。
彼女は、振り向いた。
そして、突然駆け出してきた。
「……私、やっぱり行かないことにしたの」
そう告げるその瞳には、決意が宿っていた。
「また再会した時に合流するって、みんなにも伝えてある。
私は──今は、あなたと行きたいの」
トアは一瞬、言葉を失う。
「……どこへ、行くかなんて、俺にもまだわからないよ」
「それでもいい。どこだっていいの。
…あんたと一緒なら、そこが私の進む場所になるから」
しばし沈黙。
そして──トアは、ふと笑った。
「……ああ。じゃあ、行こうか」
こうして、トアの旅は──
ただただ付いてくる“沈黙を貫き通すマネキン”、
そして名も知らぬ彼女と共に、歩み出すことになった