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傀儡怪人、恋をする  作者: 橋比呂コー
バイパラス出撃
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カードゲームしようぜ

 やがて、鞄の底からカードの束を取り出した。それぞれにモンスターや美少女キャラクターが描かれており、それと共に「カードを1枚引く」などのテキストが記載されていた。

「流石にマジバは知ってるでしょ」

「知らんが」

「あんた、日本人?」

 日本の現役内閣総理大臣の名前を知らないのかという調子で呆れられても反応に困る。龍二がトレーディングカードゲームなど知っているはずはないのだ。


「マジック・ザ・バース。アニメとかもやってるから知ってると思ったんだけどな」

「すまんな。そういうのには疎いんだ」

「その割に格ゲーはやたら強かったじゃん。あー、仕方ないな。ルールは一から教えてあげるから。ほれ、座りな」

「いや、何故やる流れになっているのだ」

「逆に、アスタリウスについて知りたくないの? ただダベってるだけじゃ退屈じゃん」

 顎をクイッと動かし、ちゃぶ台の前に座るように促される。学校にちゃぶ台があるのが不可解だったが、将棋部辺りの遺産だろう。


 簡単にルールを説明されたが、ターンごとに増えていくマナの範囲でモンスターや魔法のカードを使い、相手のライフを0にした方が勝ちという、カードゲームの原初に則ったものだった。

「なるほど。戦闘シミュレーションゲームの亜種か。こちらは、いかにうまく作戦を立案できるかの頭脳戦というわけだな」

「あんた、何でもかんでも戦闘シミュレーションにするのね。スー〇―ロボ〇ト大戦とか好きそうだから、今度持ってこようか」

「そも、学校にテレビゲームを持ち込むのは違法なのでは」

「法律は犯してないし。まあ、校則違反だけどさ、それ言うなら一緒に遊んでいるあんたも共犯じゃん」

「むう、そうなるか」

 いちいち屁理屈をぶつけてくる女だ。


 とはいえ、対戦型カードゲームというのは龍二にとっても都合がよかった。これならば、情報収集をしながらゲームの相手ができる。

 序盤こそ、ルールを覚えるのに躍起になり、会話どころではなかった。それでも、ゲームに慣れてきた中盤からは、相手に探りを入れるぐらいの余裕ができた。

「爆竜騎士レガイアの召喚時能力。見習い魔術師キララに400ダメージを与えて破壊。ターン終了。ところで、アスタリウスについて本当に知っているのだろうな」

「さあて、どうだろうね。知っているか、知らないか。魔術書の解読。カードを2枚引く」

「まさか、だましたのか」

「仮に知らないとしても、アスタリウスについて知らないと言う事実を話したのだから、嘘は言ってないし。呪われた魔導。暴走せしグリモアを生贄にレガイアを破壊」

 魔法カードにより、せっかく召喚したモンスターがあっけなく除去される。先ほどからそんな展開の連続だ。いわゆるコントロールデッキを使ってくるあたり、彼女の性格の悪さがにじみ出ている。


「っていうか、龍二だっけ。あんたはどうしてアスタリウスについて知りたいのさ」

「それはだな」

 次に出すべきカードを思案するのと同時、龍二は言葉を選ぶ。それは来るべき質問だった。よもや、馬鹿正直に「俺の正体はカイラインの幹部。アスタリウスを倒すために潜入捜査をしているのだ」なんて明かすわけにはいかない。いざとなれば、ここで変身して力づくで問いただすのもやぶさかではないが。


 手札の数枚のカードに指を這わせる。そして、その中の一枚をバトルゾーンに叩きつけた。

「ヴァルロードドラゴン召喚。山札よりコスト5以上のモンスターを手札に加える。更に、このカードは味方のカードを強化する能力も持っている。俺がアスタリウスに会いたい訳。それは、彼女に礼を言いたいからだ」

「へえ、このタイミングで切り札級のカード出すんだ。分かってんじゃん」

 天音のバトルゾーンにモンスターカードはない。攻めるのならば絶好の機会だった。


「それで、礼を言いたいって、助けられでもした?」

「そんなところだ。受けた礼は返すのが礼儀だろう」

 注釈を入れるまでもなく大噓である。第一、アスタリウスとはあの戦闘が初対面だ。あの局面に礼を述べる一瞬があったとしたなら、むしろ教えてほしいぐらいである。

 ただ、正体を知らない魔法少女を探している理由としては妥当なところだろう。天音も、「なるほどね」と顎をさすっている。


「まあ、命の恩人とかなら、そんな躍起になって探してるとしても納得がいくわね。ガーディアンゴーレム召喚」

 天音が出してきたのは、プレイヤーへの攻撃のデコイとなる壁モンスターだ。いわば、延命処置となるカード。しかも、ヴァルロードドラゴン単体でも十分に破壊できるパワーしか持たない。攻めるのならばここだ。


「ヴァルロードドラゴンの効果でサーチしたマッハドラゴンを召喚。このカードは場に出た時すぐに攻撃できる能力を持っている。二体のドラゴンで攻撃」

 一体の攻撃はゴーレムに防がれるが、プレイヤーへの大ダメージは免れない。その勢いに乗せ、龍二は一気に畳みかける。

「だからこそ、アスタリウスの素顔について知りたいのだ。ここまではぐらかしているのは、実は秘密があったりするのだろう。例えば、君がアスタリウスとか」

 完全なカマかけだった。ただ、現状有力な候補者の一人ではある。しばし、天音は沈黙を守る。このままゴーレムで防御さえしなければ、敗北必至の大ダメージを受ける。よもや、そうなのか。

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