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傀儡怪人、恋をする  作者: 橋比呂コー
アスタリウスとの出会い
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ニアミス

「詳しく聞こうか」

「大したことじゃあ、ございませんわ。カイラインのゲートを通して牧場へと出かけてまいりましたの。そこでホルスタインカイラインを使ってネガニウムを集めて参りましたわ。魔法少女に邪魔されたのは口惜しいですけれども」

 ホルスタインというのだから、牧場の牛を怪物にしたのだろう。魔法少女の介入も想定内だ。そう、ここまでは別に問題はない。まさかという予想が脳内をかけめぐったが、龍二が口をはさむ前に、真夢は恍惚と続けた。


「怪物は元の牛に戻されましたが、そのまま放牧するのはもったいないと思いまして、拉致してきましたわ。おじ様からネガニウムを回収できて一石二鳥でしたわよ」

 そりゃそうである。手塩にかけて育てた牛を奪取されたのだから、ネガニウムを放出して然るべきだ。そして、今しがた口にしていた牛肉の正体が判明した。


「そうそう。ついでに新鮮な牛乳も手に入りましたわ。お飲みになります?」

「真夢よ。お前もラークンスから偽装通貨を受け取っているはずであろう」

「ええ。はした金でしたけど」

 龍二は深々とため息をつく。

「人間社会にはスーパーマーケットという、労せずに新鮮な食材を入手できる施設がある。次回から、食材を調達する時はそこで行うように」

「あらあ、知りませんでしたわ」

「確信犯だろ」

 白を切られるが、バイパラスとして侵略活動に及んで日は浅くないはずである。確実にスーパーマーケットの存在は知っていたはずだが。


「そう言えば、ここに来る直前、ゲキトラスが牛の骨を見てびっくりしていましたわ」

「さもありなん、だな」

「こうも言っておりましたわね。やたら強い魔法少女と戦って疲れてるのに、無駄にびっくりさせるんじゃねぇ、と」

「その話を先に聞かせないか」

「これは失礼しました。腕によりをかけた料理を早く食べてもらいたくて失念しておりましたわ」

 自らの頭を小突くが、わざとやっているようにしか思えない。 


「大した事じゃあ、ありませんことよ。いつものように怪物を生み出して襲撃していたところ、見かけない魔法少女と出くわしたそうですの。そいつがとんでもなく強く、怪物が瞬殺されたそうですわ」

「して、その魔法少女の特徴は」

「えっと、白銀の天使とか言ってましたわね」

「おい。なぜ、それを真っ先に報告しない」

「まずいことをしましたか?」

「そいつがアスタリウスだ」

「なんですって!?」

 他人の空似という可能性も無きにしも非ずだが、ゲキトラスクラスの幹部が生み出す怪物を瞬殺でき、真っ先に印象に残るであろう容姿を述べている辺り、十中八九彼女だ。


 そうなると、夕方の出来事はニアミスだったかもしれない。ゲキトラスの出撃地点を確認したところ、「央間市とか言ってましたわね」という言質も取れた。むしろ、わざわざ龍二が潜伏している地点を襲撃するなら、あらかじめ連絡してほしいものだ。


 同僚の報連相の欠如を嘆いたところで仕方ない。とりあえず、変身前の少女が央間市にいるという信憑性は高まったのだ。調査を続けていれば、いずれ尻尾をつかめるだろう。

 次なる作戦を思案していたところ、真夢がぽつりと呟く。

「ゲキトラスも接触するなんて、不公平ですわね。ならば、わたくしが誘い出してあげましょうかね」

「策でもあるのか」

「ええ。ただ、他の魔法少女が釣れるかもしれませんが。その時は、その魔法少女を潰してしまうかもしれませんわね」

 キヒヒと不気味に口角を上げる。こういう所作は同僚だろうと時に恐ろしくなる。とりあえず、「襲撃の際はドラグラス様にもお伝えしますわ」と言質が取れたので、龍二は味噌汁をゆっくりとすするのであった。

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