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1件目 角熊の討伐
「・・・こんなところか?」
「そうっすね」
周囲を見渡し、残党がいないことを確認する。
「はぁ~。つっかれた~」
「へばるな。今日の仕事はまだ終わってない」
「へ?」
「死骸をギルドに持ってって換金したら終わりだ」
相棒の目から光が消える。
確かに俺でもこれはきつかった。
ギルドからうちの万事屋に来た、角熊の群れの討伐依頼。
一体でも脅威なのに、さらに群れ。さらにさらに同僚たちは別の仕事があり、一人(相棒は戦力にならない)で対応しなければならなかった。
角熊を三頭背負い、歩き出す。
「ほら、一頭でもいいから持て」
「ぐぐぅ。持ち上がんないっす。先輩どうやって鍛えてるんすか」
「筋力だけで持つな。重心に近づけて膝を使え」
「・・・???」
「・・・ハァ、もういい。付いて来い」
どうにかこうにかギルドまで着き、
「俺はさっきの場所に戻ってまた運んでくる。その間換金手続きをしてくれ」
あとできれば戦力か労働力になってくれ。
「了解っす!」
こんな二人の、仕事の話。