第2話 /空の怪物オワザビオンを撃退せよ!
地下基地リベリオン・デッキ
デッキに帰還するボロボロのアトランのPBS。
殺菌を終え、クリーンルームから出てくるアトラン。
司令官マキナがそこで待ち受けている。
マキナ「アトラン、大丈夫? 怪我はないようね。」
アトラン「(一瞬間があって)大丈夫だ。俺のことは放っておいてくれ。」
マキナ「大変だったわね、いろいろ。」
無言のアトラン。
マキナ「彼女のことはとても残念だけど、前を向きましょう。敵と戦わなきゃいけないし。」
アトラン「俺が、俺のせいだ! あの時、俺がヘマさえしなければ、キリカは!」
マキナ「もうその事は忘れて。前を向きましょう。」
アトラン「生きている。彼女はまだ生きている。きっと。」
マキナ「そんなことはないわ。あの状況では」
アトラン「君は! 彼女の死を望んでるのか?」
マキナ「違うわ! アトラン! 私は……。」
その時、地下基地リベリオン内にアラームが響く。
ナンバーワン「マキナ司令! 至急司令室に! 敵の出現です!」
マキナ「(一瞬躊躇して)大丈夫! 気にしないでね! 私がいつでもついているから!」
立ち去るマキナ。
怒りと悲しみが込み上げるアトラン。
地下基地リベリオン司令室
司令室に戻るマキナ、モニターに映る画面に驚く。
マキナ「これは!」
地下基地リベリオン付近の上空に空の獣戦闘機オワザビオンが大量に飛んでいる。
ナンバーワン「やつら、空を飛べるんですね。先のPBSが後をつけられたのかしら?」
マキナ「さすがに何回も迎撃していれば、こちらの場所も悟られてしまうわ。」
地下基地リベリオン付近の上空を覆い隠すように、優雅に飛び交うオワザビオンの群。
数体のオワザビオンが基地付近の地上に降下しようとする。
マキナ「来るわね。」
ナンバーワン「大丈夫です。電磁バリアはマックスです。」
バリアに接触して焼けこげて消失したりする複数のオワザビオン。
マキナ「あれは、別タイプの新種の敵?」
ブルー「空の魔王オワザビオンです。あの種族の攻撃は、空から爆撃します。」
ナンバーワン「でも、電磁バリアで守られるんじゃないのかしら?」
ブルー「オワザビオンは卵カプセルを落とします。ここではバリアに付着します。
でも卵カプセルは殻となって中の本体は無傷です。そして。」
マキナ「バリアを打ち破って中に入ってくるのね。」
オワザビオンの卵カプセルの中から新型生物兵器パルサバイトが現れる。体当たり特攻でバリアにチャレンジするが、
バリアに穴を開けて絶命する。
だが次の瞬間、後ろに待ち構えていたパルサバイトが屍を乗り越えてバリアの穴から侵入しようとする。
ナンバーワン「まずいですね。バリア内に侵入されてしまう。どうします?」
マキナ「フォトングラビティを使うわ。」
ナンバーワン「フォトングラビティはまだ試験発射も行なっていません。」
マキナ「これが試験発射と思えばいいわ。今はそんな余裕はないし。」
ナンバーワン「了解です。」
マキナ「これより、フォトングラビティの発射体制に入ります。エマージェンシー・レッド。」
複雑な表情のマキナ。
神妙なブルー。
地下基地リベリオンがある付近の上空。
オワザビオンが産み落とした卵カプセルは上空のバリアにへばりつく。
だが卵カプセルの中からパルサバイトが出てきて、バリアを破り、地面へと落ちていく。
対空砲火キャノンが、地面に軟着陸したパルサバイトを迎撃している。
ここですでに陸戦特攻部隊の斎藤が指揮をしている。
齋藤「おらおらおら! 陸戦特攻部隊の力を受けてみろ!」
基地内移動MTRで到着したアトラン。
アトラン「俺も手伝う。」
齋藤「お前、PBS部隊の生き残りか? ほっといてくれ! ここはあたいら陸戦特攻部隊の庭よ。」
アトラン「しかし!」
齋藤「味方を見捨ててノコノコ逃げ帰った貧乏神なんかいらないのよ!」
アトラン「……。」
アトラン、怒りが込み上げてくる。
着々と進むグフォトングラビティ発射体制のカウントダウン。
大地が大きく激しく割れて、その中から巨大な地下基地リベリオンの姿が見えてくる。
地下基地リベリオン内に状況報告のアナウンスが入る。
地表の岩盤をボロボロと削り、地下内部から巨大なリベリオンが地上に盛り上がり、その全貌が見えてくる。
ナンバーワン「リベリオン、地上に露出中。」
マキナ「バリアはまだ、効いてるわね。いいわ。フォトングラビティ発射体制に移行。」
ナンバーワン「フォトングラビティ発射体制に移行します。」
地響きを立てて変形し始めるリベリオン。
やがてリベリオン自体が巨大な大砲発射形態に変形する。
対空キャノンデッキ
アナウンスがリベリオン艦内に響き渡る。
アナウンス「フォトングラビティ発射まであと3分。発射に必要な電力集中のため、全艦停電する恐れがあります。」
パルサバイトを迎撃している齋藤の陸戦特攻部隊。
アトラン「停電したら、バリアが効かない。やばいんじゃないのか?」
齋藤「同じよ。フォトングラビティを撃つ時はバリア解除するから、同じことね。」
アトラン「敵が侵入したら?」
齋藤「その時は肉弾戦のみよ!
て言うかあんた! まだそこにいたの? 邪魔だからそこにいないでよ!
自分のすべきことをすべきでしょ! この貧乏神!」
アトラン、その言葉を聞き、恥ずかしさと怒りが込み上げ、その場を走り去る。
フォトングラビティ体勢に変形完了したリベリオン。
じっとモニターを凝視するマキナ。
マキナ「いけるわよね?」
無言のブルー。
ナンバーワン「フォトングラビティにエネルギー伝達。90、100、110。
リベリオン、フォトングラビティ発射体制に変形完了。
あと2分でフォトングラビティエネルギー充填120%に達します。」
マキナ「フォトングラビティ発射時に全艦停電の可能性あり。保安要員は停電に備えてください。」
輝く粒子がフォトングラビティの砲主に収束し始める。
パルサバイトを迎撃中の齋藤。
齋藤「あれは、なに?」
見ると、アトランが銃器を両手に基地建物から外に出て走っている。
齋藤「あいつ、何してるん?」
基地建物の外。
バリアを突破して地表に落下したパルサバイトに、アトランが怒りを込めて両手の銃器で連写する。
アトラン「お前が! お前たちさえ来なければ! キリカは!」
齋藤「何してんだ? あいつ! 自分のすべきことをしろって言ったけどさ!
フォトングラビティ発射時にバリア解くし、停電するかもしれないし、やばいな。」
そこにフォトングラビティ発射カウントダウンが響く。
ナンバーワン「フォトングラビティにエネルギー120%伝達、完了。オールグリーン。」
バリアの穴を通過して、地面に落ちてくるパルサバイト。
アトラン、怒りの矛先をそれらに向ける。
アトラン銃で激しく連写。
アトラン「ちきしょう! お前らのせいで、キリカは! 俺は!」
リベリオン司令室。
ナンバーワン「フォトングラビティ、ファイナルシチュエーション継続。カウントダウン続行。」
緊張の眼差しで見守るマキナとブルー。
ナンバーワン「フォトングラビティ発射まで10、9、8。」
基地建物の外。
アトラン、気がつくと周りをパルサバイトで囲まれている。
激しく両腕の銃を連写するが、弾切れとなってしまう。
アトラン、憎しみと諦めの複雑な表情。
カウントダウンが進む。
フォトングラビティ発射体型のリベリオン。
光子が収束して1本の筋となるフォトングラビティ。
あたりにフォトングラビティの振動が地響きとなって伝わってくる。
リベリオン司令室。
ナンバーワン「6、5。」
マキナ「電磁バリア解除。」
バリアが解かれ、空から大量のオワザビオンが侵入し、空から降り注いだ卵カプセルが割れて中からパルサバイトが溢れ出す。
ナンバーワン「3、2、1。」
マキナ「フォトングラビティ、発射!」
ナンバーワン「フォトングラビティ、発射します!」
強烈な閃光と衝撃波があたりに包まれ、発射体型に変型したリベリオンの砲口から白い閃光のフォトングラビティがあたりに走る。
複数の悲鳴と共に、フォトングラビティに焼かれていくオワザビオン群たち。
フォトングラビティの砲口がその熱で溶け始める。
次の瞬間、あたりが停電になる。
ナンバーワン「全艦、停電しました。復旧するまで、あと10秒!」
マキナの表情。
○基地建物の外
パルサバイトと生き残ったオワザビオンに囲まれるアトラン。
そこに戦闘装甲で身を固めた陸戦特攻部隊の齋藤が助けに入る。
齋藤「おらおらおらー! そこをどけー!」
戦闘装甲の齋藤たちとパルサバイトのバトル。
パルサバイト、やられるごとにまるで生き物のような悲鳴をあげて朽ち果てる。
敵を駆除する齋藤。
齋藤「このバカ! 一体何してくれてんねん!」
複雑な表情のアトラン。
齋藤「確かに自分のすべき事をしろって言ったけどさ。」
アトラン、斎藤を見上げる。
齋藤「私は陸戦特攻部隊の齋藤。よろしくね。」
アトラン、複雑な表情で齋藤とレベリオンを見上げる。
大地に出現した巨大なリベリオン。
齋藤「でかいでしょ。これが我々の秘密基地の姿よ。」
地上に露出したリベリオンが電磁バリアによって守られている。
○リベリオン内検査室。
異形のオワザビオン、パルサバイトが複数体、検査のために持ち込まれている。
神妙な表情のマキナ。
必死に何かを探すブルー。
やがて何点かを確認し、身体全身で震えだすブルー。
今まで無表情であったブルーが感情をむき出しにして泣き崩れる。
ブルー「みんな! みんな! こんな姿になって!」
何もコメントできないマキナ。