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薬草と香茸

「おーい、どっかに行っちまうなよ。迷子になったら連れて帰れんくなるぞ」


ランガスは何かを探しているので自分も探索してみることに。


うん?この草って薬っぽい臭いがするな。なんだろうこれ?


「おっ、薬草の群生地じゃねーか。お手柄だぞポンタ」


ランガスは薬っぽい臭いのする草をブチブチちぎってカバンに入れていく。


「こいつは薬草ってやつで傷や体力回復に効くんだ。売ればポーションの原料にもなるから金になるんだぞ」


ほう、そういうものか。薬草って異世界では定番のものだな。見た目はヨモギに近いから臭いと見た目ですぐに判別可能だな。


まだたくさんあるからアイテムボックスに収納していこう。ポチッとな。


アイテムボックスに収納すると緑薬草と表記される。効能は小らしい。


緑薬草?グリーンハーブのことか?なんかゲームで聞き覚えが…


似たような奴の赤っぽいのを発見。それもアイテムボックスに入れると赤薬草と表記された。試しにアイテムボックス内で緑薬草を赤薬草にスライドさせてやると合成され効能効果大の上薬草に。


うおっ、こいつは使える。


緑薬草+緑薬草+緑薬草も上薬草になりこれも同じく回復効果大になった。上薬草に赤薬草を合成すると特薬草だ。


これならば青薬草もあるはずだ。


地面をスンスンしながら薬っぽい臭いのする草を探していく。


ん?


なんか地面からいい匂いがするな。これは地中から匂っているのか?


落ち葉をかき分けて地面を少し掘ると黒い塊がいくつか出てきた。アイテムボックスに入れると香茸と表記される。もしかしてこれってトリュフなのでは?


生前に食べたことがないから判別は出来ないけどあるだけ採っておこう。


ポンタはガシガシと地面を掘っては香茸を採っていく。


「おい、泥まみれになるからやめろ」


せっせと香茸を漁ってるとひょいとランガスに抱き上げられてしまった。


「あーっ、もうっ。足も鼻周りも土まみれじゃねーかよ」


いや、これを採ってたんだけどね。と、アイテムボックスにしまってない香茸を見せてみる。


「そんな汚っねーもん咥えてんじゃねーよ。ほら、出せ」


どうやらランガスはこれが何か知らないようだ。ひょっとするとこの世界では無価値なのだろうか?まぁ、人化したときに試すことにしよう。


結局赤薬草も少しだけ、青薬草は見つけられなかった。



「お前も泥だらけだし、俺も風呂に入ってねーから一度街に戻るか。いくら探してもなんの痕跡も見つけられねーしな」


ということで町に戻り宿に入った。


小さい風呂があるというか頼んで湯を持ってきてもらう風呂。でかい桶みたいなもんだな。


「ほれ、暴れんなよ」


じゃーっとお湯を掛けられて泥を落としてくれる。そして固形石鹸でゴシゴシゴシゴシ。


そんなので洗ったら毛がゴワゴワになるじゃねーかよ。見る限りリンスとかもなさそうだし、ブラシもドライヤーもないだろうが。


「お前、濡れたら随分と貧相だな」


やかましい。ポメラニアンとはそんなものだ。


ジャブジャブと洗われた後にブルブルして水分を飛ばしておく。


「ほれ、拭いてやる」


ワシャワシャワシャワシャ


やめれっ。そんな拭き方をしたら毛玉だらけになるじゃねーかよ。


「ぺっ、ペッ。口の中に毛が入りやがった。お前随分と毛が抜けるんだな」


時期的に今は換毛期なのだろう。冬毛がどんどん抜けていく時期だとするとブラッシングを毎日して欲しい。抜けた毛で毛玉だらけになるからな。


完全に乾かないので部屋に戻った後にベッドのシーツに身体をなすりまくって出来るだけ水分を取っておいたポンタなのであった。



おっ、晩飯を兼ねてギルドに行くようだ。


「ほい、薬草採ってきてやったぞ」


「はい、ありがとうございます。この数だと5000Gですね。群生地でもありました?」


「おう、こいつが見つけてくれてな。まだあったが採取専門の奴らに悪いからこれだけにしといた」


「その群生地はどこらへんに…」


「それは内緒だ。採取する奴らが自分で見つけるもんだからな」


「そうですよねぇ。でも採取は新人とぱっとしない人がやるのでなかなか数が集まらなくて困ってるんです」


「ならアマンダに言って訓練校に依頼出してやれよ。戦闘系より採取系が向いている奴もいるだろうしな」


「そうですね。では依頼かけておきます。ランガスさんがずっとこの町にいて下さると助かるんですけど」


「いや、俺はもう帰るぞ。調査もそろそろ終了だ」


「えーっ、残念ですぅ」


「そう言って貰えるうちが花だな。ま、訓練校のひよっこ共に期待してやってくれ」


「育つといなくなっちゃうんですよ」


「それは町長のせいだな。あいつも早く居なくなればいいのにな」


「本当ですよ。まったくシブチン町長のせいでっ」


受付嬢と町長の陰口を叩いた後にギルドで飯を食い、その後一週間ほど森にこもった後にこの町を出ることになった。



「アマンダ、じゃあまたな」


「次はいつ来る?」


「さあな、来る用事が無ければ来ることはねぇよ」


「ならば領主街ギルドに講師の指名依頼をかけてやろう」


「そんなもん受けるかよ」


「だろうな。それよりまだ諦めていないのか?」


「当たり前だ。今回はしがらみで調査依頼を受けただけだ」


「そうか。まぁ、せいぜい頑張れ」


「おう」


こうしてランガスに連れられて町を出たポンタは領主街へと向かうのであった。


急ぐ旅ではないらしくランガスは街道沿いを歩き、狩りをしたりしながら進む。ランガスが狩りをしている間は薬草とか気になるものをせっせとアイテムボックスにしまっていく。地面を掘ると道中で土まみれのままになるので香茸を探すのは止めておいた。


いくつかの村に立ち寄ったりしながら領主街と呼ばれる領都へと到着。街は外壁に囲まれておりかなり立派な街だ。人の身なりも奇麗だし、ひときわ豪華な服を着ている人達も見かけた。



「さ、ポンタ、ここが俺の家だ。しばらく留守にして埃っぽいから隅っこに行くなよ」


確かに埃っぽいな。これで隅に行けば自分がモップ代わりになってしまう。


「俺は出掛けるから大人しくしてろよ」


と、ランガスはポンタを置いてどこかに出掛けてしまった。暇なので薬草をせっせと合成していく。道中で見つける度にアイテムボックスにしまっておいたのだ。青薬草は毒消し草とも言うらしく、青というより濃い紫のような色をしていた。緑と合成すると回復と毒消しを兼ね、そこに赤を合成すると効果が上がった。ゲームと同じだな。


ランガスは魔物も倒したりしていたが依頼ではないので報酬は貰っていないためおこぼれも貰えていない。ポイントも50のままだ。


道中で結構身体が汚れてるし抜け毛も絡まってきていて引っ張られて痛い。ポイントを使うのもったいないけど清潔保持をやってみるか。


ポンタは10ポイントを使って清潔保持をすると身体が軽くなったかのように毛玉がするすると取れ、身体の汚れも落ちた。が、石鹸で洗われたゴワゴワの毛はそのままだ。夏毛だからってのもあるかもしれんな。ドサッと取れた抜け毛はアンダーコートの柔らかい毛が多いし。


ふぅ、耳の中が痒いのも収まったな。清潔保持は月イチぐらいでやらんとダメかもしれないな。


残り40ポイントしかないから成犬になって人化出来て稼げるようになるまで大切に使わねば。




「ランガス、調査結果はどうであったか?」


「残念ながら痕跡は何も無く、ガセネタか既に遠くへ行ってしまったものと思われます」


「それにしても随分と早い帰還であったな」


「腹の大きな神獣を見かけたという情報は昨年末。恐らく2〜3月に出産していると思われます。今見つけられてももうテイムするのは無理ですよ」


「そうか。お前がそういうなら仕方が無い。で、次に頼みたい件がだな…」


「領主様、特別依頼は今回だけとのお約束。次の依頼は受けませんよ」


「そこをなんとか頼む。他の者では無理なのだ」


「どうせまた厄介な依頼でしょ?どこどこの村に出た魔物討伐とかなら受けますけど、いるかどうかわからないもの調査はもうごめんですよ。見つけられなかったら報酬も少ないですし」


「今回の調査は1000万Gも払ったではないか」


「1回の調査としては高額だとは思いますが、半年近くこれに費やしたんですよ。まともに他の依頼を受けていたら5〜6000万Gは稼いでますよ」


「ぐぬぬぬぬ。では話だけ、話だけでも聞いてはくれぬか」


「話を聞くだけですよ…」


「実はじゃな、何でも一つだけ願いを叶えてくれるという…」


ランガスは領主が極秘で入手したという神獣の子供捜索の依頼を受けてポンタが居た町に行っていたのであった。神獣の子供をテイムして娘にプレゼントしたいという親バカの依頼に呆れながらも受けざるを得なかったランガス。


はぁ、この領主様。領民思いの良い領主なんだが娘の事になると本当にダメになるんだよなぁ…


ランガスはやれやれといった顔で興奮して願い事を叶えてくれる竜、すなわちドラゴンの事を熱く語る領主の話を聞かされるのであった。


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