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巣はそんなに大きくなかった

可視化された臭いの痕跡は道なき道に続いている。


そしてそれは蔦に隠れた洞窟への入口へと続いていた。


「あんな所に洞窟があったのか」


「こりゃ見付けにくい訳だな。ポンタ、よくやった」


少し離れた所から様子を見て作戦を練る事に。


「あの中に突っ込むのは悪手だな。誘きだして順番にやろうか」


「だな。リンダだっけ?お前この木に登って上からあの入り口にファイヤボールを当てろ。それでぞろぞろ出てくるだろ」


「わっ、わかりました」


「リンダ、私達に当てるなよ」


「きっ、気を付けます」


「ポンタ。お前も危ないからリンダと木の上にいろ」


アマンダにお尻を押されながら木に登ったリンダにポンタはカバンごと渡された。


「落っことすなよ」


「大丈夫です」


大丈夫ですと返事をしやがったけど本当に落とさないだろうな?人間なら死なない高さだけど俺はヤバいんだぞ。治癒の爺さんもいないし。



ランガスとアマンダが入口付近で構えた後に合図をリンダに送る。


「我の名前はリンダ。我が魔力を神に捧ぐ。神の力で魔力よ炎になれ、ファイアボール」


白い粒が集まって来てリンダに纏わりついた後に杖に集まってソフトボールぐらいの火の玉が飛んで行った。


ボフッ


火の玉が洞窟入り口の蔦に当たり火が着いたが生の植物は簡単には燃えない。アマンダがもう一度合図を送るとリンダはさらに続けて火の玉を飛ばした。5発当てた所でようやく蔦が燃え始めた。


「はあっ、はあっ、はあっ」


なんだコイツ?随分と疲れてるみたいだけど魔法ってそんなに体力を使うのか?グラグラしてるけど落ちんなよ。


木にしがみつこうにもカバンの中にはいっているからどうすることも出来ない。こいつが落ちないことを祈るしかないな。


洞窟の入り口が燃えた事によってゴブリン達が出てきた。それをランガスとアマンダがやっつけていく。見ている分には楽勝そうだ。


そして他の奴らより大きな奴が出てきたのも剣で斬り倒した所でゴブリンが出てくるのが収まった。終わりかな?


アマンダがこっちにやってきてリンダを木から降ろした。


「5発で魔力切れか?」


「す、すいません」


「まぁ、ちゃんと当てられただけで良しとしてやろう。威力はまだまだだがな」


「はい」


リンダは魔力切れというやつか。自分には魔力の項目が無かったから無縁の話だな。


一応巣の中を確認するようで一緒に連れていかれた。臭いが充満しているからまだいるかどうか判らないな。


幸いにももうゴブリンはいないようだが最奥にはゴブリン達が生活をしていた痕跡がたくさんあった。骨とか落ちてるから獣とか食ってんだな。


「よし、思ってたより小さな集落だったようだな」


「ああ、それでも連携したり矢をつかったりしていたからな。もう少し放置していればヤバかったかもしれん。ちょうど良いときにランガスが戻ってきたものだ」


「戻ってきたわけじゃねぇよ。依頼を受けて来ただけだ」


「なんの依頼だ?」


「ちょっとな、依頼内容は秘密なんだよ。悪いなアマンダ」


「秘密依頼か。こんな田舎に何があるのか気になるがまぁいい。討伐証明と魔石を取るぞ」


「は?ゴブリンの魔石なんか一つ100G程度にしかならんだろうが」


「馬鹿者。100Gは訓練生にとって一食分だぞ」


「はいはい、そうでござんすね。リンダ、お前らの飯代だとよ。お前も手伝え」


「はい」


耳を切り落とし、ゴブリンの胸を斬り裂いてなんか取っている。魔石とやらを取るのは胸を斬り裂く必要があるのか。あんな血塗れになって100Gにしかならんのだな。ポイントにしたら1ポイントだ。


耳と魔石を取り終えたランガス達は訓練施設に戻ったのであった。



「どうじゃった?」


「想定していたほどの巣では無かった。殲滅はしておいたがな」


「さすがじゃな。ほれ、今からギルドに報告じゃろ?こいつも頼む」


老師と呼ばれた人に袋を渡された。中には初めに倒したゴブリンの耳とか入ってんだろうな。



ランガスとアマンダでギルドに報告。


「は?ホブも同額だと?」


「申し訳ありません。ゴブリンはゴブリンだと…」


「ちっ、あの町長め。二度と町長からの依頼は受けねぇからな」


「ゴブリン77×5千Gで38万5千G、巣の発見報酬10万Gを合わせまして48万5千Gになります」


「ランガス、これは訓練校への寄付として貰っておくぞ」


「ちゃっかりしてやがんな。まぁ、その分ここでの飯を奢れ」


「お前は稼いでいるだろうが」


「お前も蓄えあるだろうが」


「馬鹿者、今稼いでいるやつが払うものなのだ。ギルドの飯屋ぐらいケチケチするな」


ランガスは報酬を寄付させられた挙げ句にここの支払いまでもさせられるのであった。



「で、いつまでこの町にいるのだ?」


「依頼内容は多分苦戦するというか無理だろうな。一ヶ月程調査してから帰るわ」


「依頼失敗だとペナルティがあるだろうが?」


「調査がメインの依頼だからな。そうじゃなきゃ受けねぇよ。だからペナルティは無しだ。報酬は少なくなるけどよ」


「そんな依頼を受けてくるとはな。依頼主は領主か?」


「それも秘密だ」


「そうか。まあいい。大将、ワインをお代わりだ、ボトルでな」


「お前なぁ…」


「ギルドのワインぐらいでケチケチするな」


「大将、一番安いボトルにしておいてくれ。こいつはウワバミだからな」


「大将、一番高いやつにしてくれ。こいつはそれぐらい余裕で払えるから稼ぎ時だぞ」


「言われなくても分かってるよ。ほれ、一番高いボトル3種だ」


「3本も持ってきやがって」


「ほら、ランガスにも飲ませてやろう」


「何が飲ませてやろうだ。俺の支払いだろうが」


「細かい事を言うな。ほら乾杯だ」


「ったく、お前は…」


それから何度もお代わりをしたアマンダとランガスは楽しそうに昔話をずっとしていた。恋人未満友達以上って感じの間柄なのかもしれん。



翌日からもポンタはランガスと共に森に入る。ランガスが何を探しているのかはわからないが町にはほとんど帰らず、森の中での生活となった。


「お前、イノシシ肉はあまり食わんな?」


飯はランガスが狩った獣だ。ここ数日はイノシシ肉。ギルドの焼き鳥は美味かったが狩ったイノシシ肉は獣臭いのだ。味付けも塩のみだし肉は硬い。せめて味噌漬けとかになっていれば食えるのだが。


「鳥肉の方が好きか?」


この臭いイノシシよりかは良い。というか元の世界の飯が食いたいな。ここに来てから焼くと煮るものしか食べていない。しかも塩味のみだ。


ポイントで何か良い物品ないかな?


久々にポイント参照をしてみるとポイント交換レベルが2になって物品の欄に品物が出ていた。


あ、カップ麺が200ポイントで交換出来るぞ。醤油味、シーフード、カレー。


シーフードの奴が食べたいけどポイント溜まってないし、この身体じゃお湯も注げん。これは人化してからしか無理だな。そもそも50ポイントじゃ何も交換できない。


他にも醤油や胡椒とか調味料もあった。だいたい1ポイント1円換算の感覚だ。こちらの世界は1Gが1円程度と仮定するとカップ麺1つで2万円もするとこになる。


めちゃくちゃ高級品だなこれ。


当分無理だなと、固くて臭い肉をいやいや食べてそう思ったのであった。









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