ラメリアでの生計をどうするか
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「大丈夫か?」
「うん、いざとなったら八つ目フクロウとかあるし」
「そっか、そうだな。そいつがありゃ家を借りるどころか買えるんじゃねーか」
なるほど、購入という手もあるのか。ならポーション販売が出来るぐらいの小さな店舗付き物件とかがいいな。
飯を食い終えたポンタ。まだ飲むというクマ族にお休みと言って先に寝ることにした。念の為に入口の取っ手にチェーンロックをしておこう。
クマ族は疲れていたのか飲みすぎたのか朝飯には起きてこない。
「嬢ちゃん一人かい?」
「だから嬢ちゃんじゃないって」
「あっはっはっは。ゴメンゴメン、あんたの顔見てるとついね。その目は化粧してんのかい?」
「これはもとからの模様だよ」
「へぇ、男を惑わすような目だね。あたしもそんな化粧してみるかね」
なかなか豪快で陽気なおばちゃんだ。おばちゃんと言うには失礼かな?
「何にする?じゃがいもとタマネギのスープかスクランブルエッグが選べるよ」
「じゃあスクランブルエッグで」
「あいよっ」
朝食らしい朝食だな。
「お待たせ」
デンッ
「これ何人分?」
「一人分だよ」
大皿一杯のスクランブルエッグなんか食い切れないぞ。
「明日は1/4くらいにしてね。食べ切れないや」
「あんた獣人だろ?これくらい普通に食べられるだろ?足りないと言うやつもいるぐらいなんだから」
「俺は身体が小さいからね。食べたくてもあんまり食べられないんだよ」
「へぇ。本当に人族の女の子みたいな事を言うんだね。まぁ、人族の女の子は食べられないとか言いつつ食べるんだけどね」
そういうものなのか。
スクランブルエッグに手を付ける前に欲しい人に分けてあげてというと適当にペッペッと他の人の皿に入れていた。
「こんなもんかい?」
「うん。ありがとう」
「あんた律儀だね。普通は食えなきゃそのまま残すってのに」
「せっかく作ってくれたのを残すのは申し訳ないじゃない。残りもんだと捨てちゃう事になるだろ?手を付ける前なら今みたいに分けられるじゃん」
「いいこと言うねぇ。よし、今日の朝飯はサービスしてやるよ。それっぽっちの飯でお金取れないからね」
「食べられないのはこっちのせいだからちゃんとお金は払うよ」
「いいっていいって。今分けた奴らの飯代を割増しとくから」
そういうとゲッとかいっている客。冗談だよっと背中をバンバン叩いているから常連なのだろう。
「あんたさ、名前は?」
「ポンタ」
「あたしはスーザン、旦那はゴードン。うちの旦那の飯は旨いだろ?」
「うん。塩加減とかばっちりだね」
「よくわかってるじゃないか。港で働いてる人族にはもう少し塩味は濃くしてやってんだけどね、獣人は汗かかないだろ?その分調節とかちゃんとやってんだよ」
へぇ、そうだったんだ。
「それなのに昨晩はなんか味付け変えやがってこの野郎とか思ってイチャモン付けてゴメンよ」
「こっちも断ってからやればよかったね」
「いいって、いいって。胡椒なんか持ち歩いているやつ初めてだったからね」
「ラメリアでは胡椒って高い?」
「昔に比べりゃ安くなったとはいえ、庶民には高値の花ってやつよ。なんせ船で輸入してくるからねぇ」
「ちなみに100グラムでどれぐらいするの?」
「どうだろうねぇ。7〜8千Gくらいなんじゃないかね」
ズーランダではもっと高価だったな。まぁ、お金出してもたくさん買えなかったからこそ税金代わりにしてくれたんだけれども。
「料理には砂糖って使う?」
「砂糖は高いからね。コーンシロップが出来てそれは安くなったから使ったりするよ」
「黒砂糖は?」
「あれも高いよ。ズーランダで作ってるやつだろ?近いと言っても輸入品だから高くなるんじゃないのかねぇ?砂糖と値段変わらないからね。ちょいと癖があるから料理には使いにくいってのもあるけどさ」
そうなのか。やっぱり跳ね馬商会は買い叩かれてんじゃないのか?
「あんたなんか商売するつもりかい?」
「ズーランダとはツテがあるからなんか仕入れ出来たらなぁとかは思ってるよ」
「一人でかい?」
「うん」
「危ないんじゃないかい?商売してると変な奴も来るし、自分で身を守れないとおすすめ出来ないよ。あんたかわいいから狙われそうだし」
怖いことを言わないで欲しい。
「宿屋も変な客来るでしょ?酒出してるから酔っ払いもいるだろうし」
「ウチは旦那が強いから大丈夫なのよ」
「へぇ。料理も出来て強いとかいい旦那さんだね」
「だろ?」
「おーい、スーザン。いつまでくっちゃべってんだ。早く運べ」
厨房から怒鳴り声が聞こえてきた。
「ゴメンよ話し込んで。はいはいーい、小姑みたいな口をきくんじゃないよっ」
笑いながら言い返したスーザンは仕事に戻った。こっちも食べ終わったから部屋に戻るか。その前にお湯もらって桶を借りよう。風呂に入れなくとも頭を洗って身体を拭きたい。
スーザンの配膳を終わるのを待って湯と桶を持って部屋で身体と頭を洗う。指先から収納してあったお湯を出して使うけど湯を貰わないのも変に思われるからな。
湯は窓の外に捨ててと言われているので身体を拭いたあとに一度捨てて頭を洗う。頭を念入りに拭いて乾くのを待つけどこれが時間掛かるんだよな。ドライヤー欲しいな。
ポイント交換にドライヤーってあるかな?
ポチポチして見ていくといつの間にかポイントレベルがアップしていた。何がきっかけでレベルアップするのだろうか?
あ、あった。一番安いので5千ポイント。高いのは3万ポイントか。どうするか迷うな。ポイント使って清潔保持をし続けるか、ここでドライヤーと交換するか…。黄身だけの卵の報酬でポイントがあるから交換出来なくなるわけじゃないけど…
散々迷った挙げ句に一番安いのを交換した。
えーっと、コンセントは…
ハッ、コンセントなんてある訳ないじゃん。しまった…、めちゃくちゃ無駄な交換をしてしまった。
ポイントを無駄遣いして落ち込むポンタ。5千ポイントって、5千Gじゃないんだぞ。50万G相当なんだぞこれ。
はぁ〜と大きなため息を付いているとドライヤーの底が開くことに気付く。もしかしてここは魔石入れなのか?
魔石はヒョウ族から大量に貰ってきている。売れるよと言ったけどズーランダには魔導具が少ないから値段が安いそうだ。輸出すればいいのにと思うのだが必要ないといって全部くれたのだ。俺が集落に行くまでは回収すらしてなかったし。
魔石をコロンと入れてスイッチオン
ぶぉーーーん
素晴らしい、ちゃんと動いた。安物のドライヤーは冷風と温風のみだが十分だ。
ふんふん♪と鼻歌を歌いながらブラッシングしながら乾かしていく。うん、清潔保持スキルよりスッキリするな。毛もフワフワになるし。乾いた後にほんの少しポーションクリームを付けてブラッシング。馬油そのものより毛がツヤツヤになるのだ。
コンコン
「はーい」
「シンタンだ。入っていいか?」
ドライヤーをアイテムボックスに収納してドアを開ける。
「なんか聞いた事がねぇ音がしてやがったが大丈夫か?」
「そう?大丈夫だよ」
「なら、外から聞こえた音か。飯は?」
「とっくに食べたよ。もう朝飯の時間終わってるんじゃない?」
「そうだろうな。寝過ごしちまったぜ」
「かなり飲んだんだろ?酒臭いぞ」
「おう、悪い悪い。街中をぶらついて見学がてらなんか食うか」
みな酒臭かったが二日酔いにはなっていないみたいなので街に行くことに。
「ギルドはどこにあんの?」
「王都だな。昨日行った商会の近くだ」
また歩いて王都に向う。
「ここだ」
「めちゃくちゃ大きいね。コディアの領都のギルドと比べてもはるかに大きいや」
「まぁ、仕事もたくさんあるし、冒険者も腐る程いやがるからな」
中に入ると思ったより人は少ない。良い依頼を取るのに朝イチが一番混んで、昼前は空いているのだ。ズラッと並んだ受付カウンターも今は人がまばらだ。
人族と獣人の受付がいるから獣人の方へ行こう。
「すいません」
「はい、ご依頼ですか?」
たれ耳のウサギ族の娘だろうか?可愛いな。
「いや、コディアとズーランダのギルドに手紙を出したいんだけど」
と、冒険者証を見せる。
「あー、はい。冒険者だったんですね。大丈夫ですよ。1通1万Gです」
「じゃあこっちはコディアのランガス宛、こっちはズーランダのジャガー宛でお願いします」
「受け取る方のランクはわかります?」
「コディアのランガスがAで、ズーランダのジャガーはEです」
「Aランク?お間違いないですか?」
「はい」
通常、EランクとAランクの接点はないので驚かれる。
「俺もコディア出身でランガスに育てて貰ったんですよ。親みたいな感じです」
「そういう事でしたか。では送っておきますね」
「ちなみに岩塩の買い取りとかしてます?」
「岩塩ですか?してますけどどれぐらいのものですか?」
準備してあった500グラムの塊をみせる。
「随分と綺麗な岩塩ですね。査定させてもらってもいいですか?」
「はい、お願いします」
しばらく待たされた後に5千Gと言われたので買い取ってもらう。
「今の岩塩はコディア産ですか?」
「ズーランダ産ですよ」
「へぇ。かなり高品質の岩塩と査定されました。まだお持ちなら買い取りに出して下さいね」
「はい。またお願いします」
手紙を送る代金と差し引きして1万5千Gを支払い、掲示板に残っている依頼を見てみた。えーっと、Eランクでも受けられるのは…
【下水道のネズミ退治】ネズミ1匹に付き200G
【ドブ掃除】3000G
【下水スライムの交換】1万G
残っているのは汚れ仕事ばかりだな。下水スライムってなんだ?
「シンタン、下水スライムって何?」
「王都はトイレの排水の事を下水っていうんだけどな、そこにスライムを入れてあるんだ。排泄物を喰い過ぎてデカくなっていくから定期的に殺して入れ替える必要があるんだ」
「こんなの受ける人いるの?」
「そこに残ってるのは常時依頼だ。食えねぇ奴でも出来る仕事ってやつだな。スライムは外で捕まえてくる必要があるからガラスの容れ物が必要だ。容れ物をギルドでレンタルしたら儲けは半分だな」
「どれか受けます?」
とたれ耳っ娘に言われたが丁寧にお断りしておいた。コディアの領都でも似たような依頼があったのかもしれない。
やっぱり冒険者でやっていくのは自分には難しそうだな。
ポンタは商売で生計を立てていこうと思うのであった。




