ランキングに乗るために!魔女の暗躍編番外2
登場人物
ルイス 主人公。無類のドラゴン好き。王子様を目指して修業中。
ペルタ 勇者。ルイスの護衛。ルイスに協力してもらい、結婚相手の王子様を探している。どこか魔女っぽい。
アンドリュー 勇者。ルイスの護衛。生真面目で言動がお堅く厳しい。
ルイス「悲しいお知らせだよ。僕の知り合いに、ジェーン・アイランドっていう令嬢がいるんだけど、この人は爆死したらしいよ」
ペルタ「かわいそうに。お悔やみを……」
ルイス「三人称は読まれないっていうけど、本当だね」
ペルタ「だけど、三人称じゃないと、主人公のいない場面が書けないのよ」
ルイス「一人称か三人称か、難しい選択だよね」
ペルタ「運命の分かれ道よ」
ルイス「それに、ランキング上位にいくには異世界恋愛でも恋愛は必要ないみたいだよ」
ペルタ「まぁ、確かに、他人の恋愛なんて、この世でもっとも興味ないことの一つよね」
ルイス「異世界恋愛にいる限り、興味持とうね……」
ペルタ「それより、いかに他と違うかよね。意外性、これよ。そして面白さ。なるべくツッコミどころが多い方がいいわね。とにかくなんであれ、話題性よ。読者さんがブクマしたりポイント入れたりしてランキング入りさせたくなるような、なにかが必要なのよ。良くも悪くもね」
ルイス「なにかかぁ」
ペルタ「そうなると、ルイス君って特にツッコミどころがないわね。真面目で明るくて優しくて夢に向かって頑張っている。普通だわ。好きなものもドラゴンと、特に意外性もないわね」
ルイス「普通じゃなくて王道と言ってほしいな。最近は逆に珍しいんじゃないかと思うけど」
ペルタ「なにか、面白い意外性がほしいわね。異世界恋愛は面白い意外性を持つヒーローを出すのが一番手っ取り早いわよ」
ルイス「ドラゴンが好きなのは変えないからね」
ペルタ「なにか悪趣味なものを好きになってほしいんだけど、仕方ないわね」
ルイス「……本当に悪趣味なヒーローでランキング上位にいって、恋愛は付け足しでいいのかな?」
ペルタ「な、なによ? 急に。私は、ランキングに乗るために。ルイス君のために」
ルイス「だいたい、短編で恋愛物語なんて無理な話だよ。短編にまとまる恋愛ってどれだけ浅いんだって、15の僕でも思うよ」
ペルタ「辛辣な! わかるけどね。短編は実際、好きになる理由が浅かったり、恋愛が薄くなったり、物語が断片になったりしてしまうわ。それにしても、ルイス君に諭されるとは」
アンドリュー「何度目なんだ?」
ペルタ「フンッ、黙っていなさい! だいたい、アンドリューも意外性がなさすぎるわよ! 昔の頑固おやじそのものって感じ!」
アンドリュー「俺はこの性格を変える気はないぞ」
ペルタ「こうなったら、面白い意外性のある王子様を探し出すしかないわね! 行きましょう!!」
アンドリュー「行かなければならないか?」
ルイス「ランキングに乗るために! ね!」