表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

ランキングに乗るために! 魔女の暗躍編

登場人物


ルイス 主人公。無類のドラゴン好き。王子様を目指して修業中。


アンドリュー 勇者。ルイスの護衛。生真面目で言動がお堅く厳しい。


ペルタ 勇者。ルイスの護衛。ルイスに協力してもらい、結婚相手の王子様を探している。どこか魔女っぽい。


ユメミヤ 旅の娘。貞操観念が強く、おしとやか。ルイスに片思いしている。


ロッド王子様。ルイスと同い年でよく一緒にいる。


シュヴァルツ王子様。独身。ロッドを城に住まわせている。


ブロウ王子様。独身。オトギの国の本を執筆している。


タリスマン 王様になろうとしている自信家な男。


カーム王子様。既婚。ルイスが滞在中の城の主。


ファルシオン王子様。独身。カーム王子の城に住んでいる。画家志望。


ゲオルグ王子様。独身。カーム王子の城に住んでいる。元勇者。

 ★勝てない相手


 ルイス「僕じゃ、悪役令嬢に勝てないよ。しくしく」


 ペルタ「ルイス君……私が主人公なら、どうかしら!?」


 ルイス「悪役っぽくはあるけど、令嬢じゃないよね?」


 ペルタ「くっ、助けて! 王子様!」


 ロッド「皆さん、悪役令嬢より俺が主人公の物語を読んでよ」


 ルイス「ロッド! お前もか!」


 ロッド「悪い、ついな」


 ルイス「励ましてほしかったのに」


 ペルタ「ごめんなさい、つい」


 ルイス「もういいんだ。人知れず頑張るよ、休み休みゆっくりとね。それよりロッド。そこは皆さんじゃなくてお姫様だろ? 王子様なんだから。照れてる場合じゃないよ」


 ロッド「照れてない。俺は、簡単に誰にでもお姫様なんて言わないんだ」


 ルイス「このレア王子感。見習うべきかな?」



 ★わからない


 ルイス「婚約破棄にも勝てないよ。純粋に真面目に遠距離恋愛しているのに、なぜ?」


 ペルタ「ルイス君……キャロルちゃんの王子様になると約束したのよね? それはもう婚約と同じ。一度破棄してみたらどうかしら? 婚約破棄とキーワードにあれば、とりあえず読者は増えるはずだから」


 アンドリュー「今度こそお前を拘束する。抵抗するな。ルイス、お前はそんな汚いことしなくていいんだ。さぁ魔女め、仕置きの塔に連行する。キビキビ歩け!」


 ユメミヤ「私も行きます」


 アンドリュー「え?」


 ルイス「ユメミヤ、どうして?」


 ユメミヤ「(一瞬、婚約破棄してほしいと思ってしまいましたから) ルイス君、そんな綺麗な瞳で、汚い私を見ないでください」


 ペルタ「ユメミヤ!(号泣) わかるわ、あなたの気持ち! 私も付き合うわ!」


 アンドリュー「お前からブチ込むわ! なんで付き添いみたいに言ってるんだ! 全く訳がわからんわ!」


 ルイス「訳がわからない人達。ついてきてくれる読者さんが少ないのも、当然かもな」



 ★姓名判断


 ルイス「訳がわからない王子様といえば、ブロウさんですよ」


 ブロウ「ヒドイな。どのへんがわからないのかな?」


 ルイス「王子様なのに引きこもりなところとか」


 ブロウ「王子様も、三十後半にもなると色々あってね。って、今はそんなに引きこもっていないよ」


 ルイス「確かに、よく来てくれますもんね。今日はどんな本を持ってきてくれたんですか?」


 ブロウ「姓名判断の本さ」


 ルイス「フムフム、ルイスは6画で大吉か! よかった。ブロウさんは9画で超スーパーウルトラ大凶!?」


 ブロウ「大丈夫。慌てることはない」


 ルイス「僕なら改名を考えるレベルで慌てますよ。どうして落ち着いているんですか? やっぱり訳がわかりませんよ」


 ブロウ「僕は本当はブロウデンという名前なんだ。ブロウデンは16画で大吉だ! ブロウは愛称だよ」


 ルイス「そうだったんですね。よかった」


 ブロウ「シュヴァルツ君が同じ理由で最近改名したけど、かなり大変だったようだからね。この回避方法があって、本当によかったよ」


 ルイス「もう、愛称で呼ばない方がいいですよね?」


 ブロウ「いいや、愛称で呼んでくれたまえ。大凶事案なら、力技で回避するから」


 ルイス「ブロウさんなら、できそうですね。それはよくわかりますよ」



 ★王子様の時代は終わった!?


 ルイス「ネット小説大賞感想来ないよ〜……今年も一次通過さえ無理そうだね」


 ペルタ「可哀想なルイス君。今はね、アンチ王子様の時代なのよ。王子様なんてバカ! 他にイケメンを見つけて幸せになるからいいもん! 今さら君と結婚すればよかった〜なんて後悔してももう遅い! 王子様ざまぁ! って時代なのよ。王子様になろうとする少年なんて、応援してくれる人が少なくて当然なのよ」


 ルイス「ヒドイな……だけどペルたんからそんな冷静な考察が聞けるとは思わなかったよ。“なぜなの!?”って頭を抱えるんだと思ってた」


 ペルタ「フッ、だからこそよルイス君」


 ルイス「えっ?」


 ペルタ「私達だけは、時代の激流に逆流していきましょう!」


 ルイス「正に、無駄なあがきって感じがするね。できれば時代の流れに乗ってスイスイ前に行きたいんだけどな。王子様を目指す限り、それはできないか」


 ペルタ「いつか、私達の乗ってる波が本流になるわ! それまで諦めないで行きましょう!」


 ルイス「ならなかったら?」


 ペルタ「とりあえずエタリ(転覆)さえしなければいいんじゃないかしら? そうすればどこかにたどり着くでしょ、きっと」


 ルイス「たどり着くのが滝じゃなきゃいいけど。木っ端微塵にはなりたくないよ。もしもの時の為に早くドラゴンと仲良くなっておかなくちゃな」



 ★お姫様の時代!?


 ペルタ「案外、ユメミヤが主人公なら流行に乗れるかもね。オトギの国のルイス外伝!これでランキングという滝を登れるかもしれないわ!」


 ユメミヤ「私が主人公になってどうするのです?」


 ペルタ「他の王子様を見つけて幸せになり、ルイス君をざまぁ!するのよ」


 ユメミヤ「それはちょっと」


 ルイス「それはちょっと」


 ペルタ「相手への思いやり、そんな甘さは捨てる時代なのよ!」机バン!


 ユメミヤ&ルイス「そんな」


 ペルタ「ユメミヤの王子様は、ロッド君がいいんじゃないかしら?」


 ロッド「……」


 ルイス「確かに、ロッドは常に僕の一歩先を行く男だけど……」


 ユメミヤ「仕込まれた相手、といった感じですね。政略結婚というか親の決めた相手というか」


 ペルタ「いいじゃないの。(ヒソヒソ)ロッド君みたいな王子様が案外、滅茶苦茶愛してくれて幸せになれるのよ」


 ロッド「ペルたんみたいな仕込み役が暗躍するのも、流行してるの?(ニヤリ)」


 ペルタ「そうよ。いかに上手くざまぁ!するかで、ランキング界隈はしのぎを削っているわ」


 ルイス「僕達はここにいよう、ユメミヤ、ロッド」


 ロッド「そうだな」


 ユメミヤ「はい」


 ペルタ「こんなところにいてどうするの! ユメミヤ、こっちに来なさい! あなたとルイス君は決して……はっ! アンドリュー! 離しなさいよ!」


 ロッド「また、お仕置きの塔行き?」


 アンドリュー「何度目だ?」


 ペルタ「くっ、私はただ、ルイス君を有名にしてあげたくて! ランキングに乗せてあげたくて!」


 アンドリュー「ルイスの物語で乗らなきゃ、意味がないだろ」


 ロッド「そうだよ。暗躍とかざまぁとか、ちょっと面白そうとは思ったけどね」


 ルイス「ロッド!?」


 ペルタ「ロッド君! そんな!?」


 アンドリュー「なんでお前がショックを受けてるんだ?」


 ペルタ「王子様を信じているからよ。王子様はざまぁなんかに協力しないと!」


 アンドリュー「じゃあ、話を持ちかけるな、全く」


 ロッド「安心してよ。俺はルイスにざまぁするような気分になれないし、ユメミヤもなれないみたいだし」


 ユメミヤ「はい! なれません」


 ペルタ「全く、あなた達にはまだ、ざまぁの世界は早かったようね。仲良くしなさい……」


 ルイス「魔女は去った(ヒソッ)」


 ロッド&ユメミヤ「ほっ」



 ★甘い


 ルイス「ユメミヤ、本当に主人公にならなくていいの?」


 ユメミヤ「え?」


 ルイス「僕は、ユメミヤに幸せになってほしいんだ。ランキングという滝を登ってくれたら嬉しいよ。鯉の滝登りのように、龍になってほしいな」


 ユメミヤ「ルイス君のためなら、龍になりたいですが……」


 ルイス「ざまぁしなければいいんじゃないかな?」


 ユメミヤ「それでは、ただの恋愛話では?」


 ルイス「そうだね……婚約破棄も、ユメミヤがそんなことになるわけないし追放されることもないだろうし、そんな目に遭ってほしくないし」


 ユメミヤ「ルイス君……」


 ルイス「ユメミヤなら、頑張って冒険してるだけでランキングに乗れるよ。きっと」


 ユメミヤ「ルイス君、ありがとうございます。頑張りますっ」


 ペルタ「グハッ、甘すぎるわよ! 砂糖を吐きそうだわ!」


 ルイス「ペルたん、毎日毎日塔に行くことになるよ」


 ペルタ「くっ、覚えてなさい!」扉バタン!


 ルイス「全く、本当に魔女にならないか心配だよ」


 ユメミヤ「(ペルたんさんはいつか、王子様にざまぁするために暗躍する魔女になるのでは? まさか、あんなに王子様を愛しているペルたんさんに限って、でも、可愛さ余って憎さ百倍と言いますし……)」



 ★王子様とシンデレラ


 ペルタ「フンだ! 私はルイス君を想って言っているのに、誰もわかってくれない!」


 ブロウ「どうしたの? 悲しそうな顔してるね?」


 ペルタ「ああ! 王子様!」スガリツキ!


 ブロウ「なにがあったんだい?」


 ペルタ「みんが、私をお仕置きの塔に閉じ込めるのです!」


 ブロウ「どうして?」


 ペルタ「私は、ルイス君の物語をランキングに乗せてあげたくて! 有名にしてあげたくて! それで、色々作戦を考えているだけなのに、なぜか、お仕置きの塔に行くことになるのです!」


 ブロウ「それは気の毒だ。僕も物書きの端くれ、ランキングに乗って有名になりたい気持ちはよくわかるよ」


 ペルタ「ブロウ様ー!!」


 ブロウ「だけど、ランキングに乗れる物語はルイス君には過激じゃないかな? 悪役とか婚約破棄とか追放とかざまぁとか。どれも主人公が不遇な目に遭っているじゃないか。ルイス君をそんな目に遭わせるのは可哀想だよ」


 ペルタ「正にシンデレラですわ! いつの時代も、シンデレラ最強ですわ!」


 ブロウ「シンデレラ最強なら、主人公は女性がいいのかもね。元も子もなくなるけど」


 ペルタ「ブロウ様! 私とブロウ様で、ランキングという幸せへの階段を駆け上がりましょう! オトギの国のルイス外伝で!!」


 ブロウ「アラサー王子とちょっと魔女っぽい娘さんの師弟愛物語か。他にない物語になりそうだね」


 ペルタ「師弟は余計ですわ! 師弟愛なんて、結末が見えているようなものだし。それもいいけど。ウフフ」


 ブロウ「ハハハ、予想通りにいかない方が人気が出るんじゃないかな? 結末の無い、ほのぼの日常物もいいね」


 ペルタ「ククク、そうはいきませんわよ!」


 ブロウ「僕はほのぼのが好きだな。過激さが必要なら、他の王子を誘ってみるのもいいね。シュヴァルツ君なんかどうかな?」


 ペルタ「……わかりました」



 ★王子様は悪に振り向かない


 シュヴァルツ「ルイスのために、外伝で目立とうと言うのか?」


 ペルタ「はい。そのために、どうか私と…」


 シュヴァルツ「……過激さが必要か。虎のように迫るそなたに向かって鞭を振り回せばいいのか? “く、来るな”とか言いながら」


 ペルタ「(シュヴァルツ様ったら、ノリのいい時は本当にノリノリなんだから) は、はい。そんな感じなら過激ですわね。“こんな人と結婚したけど、なぜか幸せになれました”って話も人気ですから、それで行きましょう?」


 シュヴァルツ「……できないな。ルイスのためとはいえ、策略に必要などという理由で女性に向かって鞭は振れない」


 ペルタ「シュヴァルツ様ぁ!! やっぱり私の信じた王子様ですわ!」


 シュヴァルツ「そなたが、純粋に虎のように迫ってくるなら別だが」


 ペルタ「うっ、うーん。王子様にそういうことをすると、普通は断罪されてしまうんじゃないでしょうか?」


 シュヴァルツ「以前の俺ならそうしていたな」


 ペルタ「そこで、断罪前にループした私は断罪回避のために、慎ましく人生をやり直すと」


 シュヴァルツ「それこそ、まさしく悪役令嬢物だな」


 ペルタ「くっ、私は悪役じゃない。悪役なんてなりたくありません!」


 シュヴァルツ「では、今すぐ慎ましく暮らすことだな」


 ペルタ「ぐぬ! それでは物語が始まりませんわ!」


 シュヴァルツ「きっと、俺達には無理なんだ。ルイスを見守ろう」


 ペルタ「……はい」


 ロッド「(よかった。ふたりの外伝とか、絶対俺も付き合わされてたからな)」



 ★王様では無理!?


 タリスマン「ルイスのためとはいえ、我の外伝!? ついに我の時代が来るか。主人公より人気になってしまうかもなぁ!?」


 ペルタ「私と結婚するのが外伝制作の条件ですわ」


 タリスマン「なんで!?」


 ペルタ「だって、恋愛要素がないと、異世界恋愛で覇権は取れませんわ!」


 タリスマン「異世界恋愛でなければダメか?」


 ペルタ「異世界恋愛の読者様を惹きつけて、本編に誘導しないといけませんわ。恋愛要素無しのタリスマン様の外伝だと、コメディーに投稿しなければなりませんわね」


 タリスマン「誰の人生がコメディーだ! 誰の! フンッ」


 ペルタ「私と結婚して、異世界恋愛界の王となりましょう?」


 タリスマン「それは捨てがたいな。しかし、我はひとりの奥さんでは我慢できない。何人も奥さんがほしい」


 ペルタ「可哀想な私! 内助の功で必死に夫を王にしたというのに、王になった夫は何人も妻を持ち私をかえりみない! そこへ、昔からの知り合いの王子様が現れて……私と王子様が力を合わせて、あなたを王座から引きずり下ろす話になるかもしれませんわよ!」


 タリスマン「なんで俺がざまぁされる側なんだ!? 主人公のはずだろ!?」


 ペルタ「タリスマン様に異世界恋愛の主人公は無理ですわ! 節操なさ過ぎて、女性達の反感を買うこと必至ですわ!」


 タリスマン「もしかして、もう読者の反感を買っているのか我は? ルイスの足を引っ張ってないか?」くよくよ


 ペルタ「これに懲りたら、ルイス君を見習って私ひとりを愛することですわね! 外伝はそれまでおあずけです!」


 タリスマン「叱られただけではないか!?」


 ペルタ「タリスマン様がざまぁされて、読者様はスッキリしていますわよ」


 タリスマン「そんな読者様、ルイスの読者様にはいない。我はそう信じているぞ」


 ペルタ「この真っ直ぐさ。タリスマン様も、なんだかんだ言って王子様なんだから」



 ★王子様探しは続く


 ペルタ「私をカーム様の妻にしていただけないでしょうか? 一体、何番目なのかもわからないですわね。そんなモブの人が主人公の話も、人気なのです」


 カーム「ランキングに乗りたい、そんなことで人の妻になってはいけないよ」


 ペルタ「うぅっ、カーム様ぁ!!」スガリツキ!


 カーム「それに、私は妻をモブになんてさせない。ひとりひとりを強く愛しているよ」よしよし


 ペルタ「ごめんなさい……」


 カーム「いつか、ルイス君の素晴らしさをわかってもらえる日が来ますよ。信じて待ちましょう」


 ルイスの客間


 ペルタ「一瞬で諭されて、すごすごと帰ってきたわよ」


 ルイス「よかった。さすが、カームさん」


 ペルタ「ファルシオン様のところへ行ってくるわ!」扉バタン!


 ルイス「行っても無駄だと思うけど」


 ファルシオンの部屋


 ファルシオン「ごめんね。僕は一生結婚しないから。脇役で協力するならいいけど」


 ペルタ「ファルシオン様が脇役なんて、もったいないですわ。そう! そんな脇役王子様がヒロインと結ばれて真のヒーローになる話がとても人気で!」


 ファルシオン「でも、僕は一生結婚しないから。ヒロインと結ばれないよ」


 ルイスの客間


 ペルタ「すごすご帰って来たわよ」


 ルイス「早いね」


 ペルタ「ゲオルグ様のところへ行ってくるわ!」


 ルイス「行かないでよ〜」


 ゲオルグの部屋


 ペルタ「ゲオルグ様のような、寡黙で恋愛に不慣れな不器用王子様と結婚する話が根強い人気で!!」


 ゲオルグ「すまない。ルイスに協力してやりたいが、自分はまだこの暮らしを続けたい。許してくれ」


 ペルタすごすご



 ★最後の手段


 ペルタ「城中の王子様に、暗躍を断られてきたわよ!」


 ユメミヤ&ルイス(よかった)


 ペルタ「アンドリュー! こうなったら、私とあなたでランキングに挑むしかないわ! 意外なふたりが結婚するドキハラストーリー! これも人気よ!」


 アンドリュー「俺はすぐに旅に出るぞ。一年に一回くらいは帰って来よう」


 ペルタ「可哀想な私! 夫に置き去りにされて、ひとり寂しく暮らすのね。そこへ旅の王子様が通りかかって……あなたが帰った時、私は王子様のお城にいるかもしれないわよ!」


 アンドリュー「グハハ! 妻の不貞を知り、王子と妻に復讐する勇者の物語か。イケるかもな。最終話では天罰のごとき雷を盛大に喰らわせてやるぞ! さぞ読後感スッキリだろうな!」


 ルイス「それなら、アンドリューさんの電撃の能力は、裏切りのショックで手に入れたとかにしたほうがいいね。無能と思われて裏切られたり追放されたりした主人公が実はチート能力持ちで復讐したり成り上がったりする。これも流行ってるんだよ」


 アンドリューブルブル「み、見ろ、ルイスがお前の考えに染まってきたぞ! 復讐を肯定する王子になってしまうぞ!」


 ペルタブルブル「ルイス君……」


 ユメミヤ「しくしく」


 ペルタ「復讐なんて考えちゃダメー!!」


 ルイス「ええ!? 僕は、アンドリューさんのために、ランキングに乗るために」


 ペルタ「そんなことはもういいの。ルイス君、不遇な目に遭わず、裏切られもせず、追放もされず、ざまぁもされずする必要もなく、最初から王子様になれる素質を持ち、成り上がる必要などない、約束された輝かしい人生を送る、復讐などする必要のない、清らかで優しい王子様になる主人公でいて!」


 ユメミヤうんうん


 ルイス「そう言われると、僕の人生かなりイージーモードだなぁ。奇石っていうチート魔法があるから当然か」


 ペルタ「奇石はみんな持ってる! みんな平等な優しい世界! 優しい世界見なくなったわね。読者に刺さる刺激がなかったからだわ」


 ルイス「奇石でキャラメイクできるのは刺激的だよね。奇石を上手く使う話とか面白そうだね」


 アンドリュー「とりあえず、王子様になる奴はいないだろうな」


 ペルタ「それで人気が出ないと言いたいの?」


 ルイス「僕のアイデンティティが。そうだ! 僕にはドラゴンがいた!」


 アンドリュー「いっそ、ルイスがドラゴンになればインパクトがあって人気が出るのではないか?(ボソッ)」


 ルイス「……」


 ペルタ「ルイス君、早まっちゃダメー!!」



 ★暗躍の終わり


 ルイス「どうして、またお仕置きの塔にいるの? また暗躍しようとしたの?」


 ペルタ「いいえ、自分でここに来たの」


 ルイス「えっ?」


 ペルタ「私、気づいたの。最初はルイス君のためにランキングに乗ろうと暗躍していたけど、いつしか自分が王子様と結婚するために、そんな外伝を作るために暗躍していたと」


 ルイス「そうだったんだ」


 ペルタ「ごめんなさい、ルイス君! うっうっ」


 ルイス「いいよ。自分で気づいて塔に閉じこもってるんだから、偉いと思うよ」


 ペルタ「うぅっ」


 ルイス「僕の方こそごめんね」


 ペルタ「えっ?」


 ルイス「僕は、ペルたんにも幸せになってほしいんだ。本当はランキングに乗って喜んでもらいたいんだ」


 ペルタ「ルイス君!(号泣) 私がもっと早く、王子様と結婚できていれば! いっそ逆ハーできる魅力があれば!!」


 ルイス「逆ハーはどうなのかなぁ?」


 ペルタ「そうね、強欲は人の反感を買い、いつか磔にされるわよね。正にざまぁ! ざまぁエンドなんかなりたくないわ!」


 ルイス「僕達は反感を買わないように、たったひとりの王子様を地道に探そう。地道に……地味に」


 ペルタ「それって、今まで通りね」


 ルイス「そうだよ。だから外伝はなしね。そもそも僕達に外伝やってる暇はないんだよ。それよりドラゴンを探しに行こう! 意外にも異世界恋愛ではドラゴンも人気なんだ!」


 ペルタ「そうなの? それは意外ね」


 ルイス「行こう! ランキングに乗る方法探しより、夢と希望に満ちたドラゴン探しの旅へ!!」


 ペルタ「上手く丸め込まれた気がするけど、ルイス君が元気になったから、よしとしましょ!」

面白いと思ったら本編も読んでみてくださいね。

こちらにもブクマ、星、いいね、感想もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ