日常編
登場人物
ルイス 主人公。無類のドラゴン好き。王子様を目指して修業中。
アンドリュー 勇者。ルイスの護衛。生真面目で言動がお堅く厳しい。
ペルタ 勇者。ルイスの護衛。ルイスに協力してもらい、結婚相手の王子様を探している。どこか魔女っぽい。
ユメミヤ 旅の娘。貞操観念が強く、おしとやか。ルイスに片思いしている。
ロッド王子様。ルイスと同い年で、よく一緒にいる。
シュヴァルツ王子様。独り身。ロッドを城に住まわせている。
ブロウ王子様。独り身。オトギの国の本を執筆している。
タリスマン 王様になろうとしている自信家な男。
カーム王子様。既婚。ルイスが滞在中の城の主。
★スキル
ルイス「ドラゴンに出会えた奇跡〜この大空を駆けていたい〜ドラゴンと永遠に〜♪」
ユメミヤ「なんて美しい歌声なんでしょう!」
ペルタ「王子様の必殺スキル即興歌ウマ! 完璧な王子様になれるわ! ルイス君に欠点はないというの!?」
アンドリュー「歌詞はあれでいいのか? ドラゴンしか出てきてないぞ」
★お国の違い
ルイス「おはようからおやすみまで、暮らしに夢を届けるドラゴンです」
ユメミヤ「ライオンでは?」
ルイス「オトギの国ではドラゴンなんだ(微笑み)」
ユメミヤ「お国によって違うのですね」
アンドリュー「ルイスの言っていることは初耳だぞ」
ペルタ「王子様が言えば嘘も本当になるのよ」
★ドラゴンと魔女っぽい女
ペルタ「夢も希望もないわ」
ルイス「どこかにあるよ、きっと」
ペルタ「探す気力もない。助けて、王子様!」
ルイス「ドラゴンに乗って旅する想像をしてみて。夢と希望が湧いてくるよ」
ペルタ(想像中)「湧いてきたわ。だけど、王子様が逃げていくわ」
ルイス「ドラゴンのせいじゃないからね」
★愛
ペルタ「ひとりだけを特別愛するなんて差別だわ。愛があるから、幸せになれる人となれない人がいる。愛を滅ぼすわ!」
アンドリュー「お前を拘束する、抵抗するな」
ペルタ「それだけ? 愛は滅びぬ! って抱きしめたりとかないの?」
アンドリュー「殴るんじゃなかったか?(ボソッ) 後で、王子様を呼んでやるから頼むんだな」
★泉
ルイス「僕のドラゴンフィギュアー!!」
女神「あなたが落としたのは、この金のドラゴンフィギュア? それとも、銀のドラゴンフィギュア?」
ルイス「うーん、両方欲しいです! それから、落としたのは、普通のフィギュアです!」
女神「あなたは、ある意味正直な人です。全部あげましょう」
ルイス「わぁい!」
ペルタ「いいもの見たわ」
次の日
ペルタ「私の王子様ー!!」
女神「あなたが落としたのは、この金の王子様? それとも、銀の王子様?」
ペルタ「そらきた! 両方欲しいです! それから、私が落としたのは、普通の王子様です!」
女神「……あなたは邪悪な人です。全部あげません」
ペルタ「待ちなさいよ! 返しなさいよ! 私の王子様!!」
ルイス「助けないほうが、王子様のためかな」
★名言
ルイス「ペルたんに、ロマンロランの名言を贈るよ」
ペルタ「誰だか知らないけど素敵な名前。聞かせて」
ルイス「恋は決闘。右を見たり左を見たりしたら敗北です」
ペルタ「くっ……効いたわ。さすが、名言。だけど、自分の道を突っ走るわよ!」
ルイス「名言の言うことくらい、素直に聞こうよ」
★流行
ルイス「力強くも美しいドラゴンのタテガミを思わせる、ドラゴンヘアって流行ったことあるよね?」
ペルタ「段々、芸術的な表現力が身についてきたわね。ドラゴンヘア、どうだったかしら? そんな髪型の王子様は見たことがないけど」
ルイス「王子様には似合わないんじゃないかな。勇者には似合うよ!」
ペルタ「見たことないわね」
ルイス「くっ、じゃあ、これから流行るよね?」
アンドリュー「どうだろうな。俺はルイスの希望で、この通りもうドラゴンヘアにしてるが、自分からするかと言われるとな」
ルイス「アンドリューさんは、陰キャなところがあるからね」
アンドリュー「インキャ?」
ペルタ「自分からドラゴンヘアにしない人のことよ」
アンドリュー「うむ? もっと、深い意味がありそうだな?」
ルイス「アンドリューさんは置いといて、陽キャにはこれから流行るよね? ね?」
ペルタ「そうね……陽キャな王子様にドラゴンヘアになってもらって、流行らせるのはどうかしら!?」
アンドリュー「作られた流行など、長くは続かん。ルイス、魔女の甘言は聞くな。自然に流行るのを待つんだ、誰かがドラゴンヘアに自らなってくれるのを、何年、何十年、一生でも……そもそも、ドラゴンヘアなるものはあるのか? 床屋に頼んだら首をかしげていたが」
ユメミヤ「美容師さんなら、きっと知ってます! 例え誰も知らなくても、ルイス君がドラゴンヘアが流行るとそう思うなら、あし、明日にでも流行ります! きっと……」
ルイス「一言、流行る! と言ってほしかった。君達とは、ここでお別れだね」
ペルタ&アンドリュー&ユメミヤ「こんなことで!?」
★キャッチコピー
ルイス「タリスマンさんのキャッチコピーを考えたんだ」
タリスマン「おお、待っていたぞ! 言ってみよ」
ルイス「自信たっぷりっぷりは世界一! どうかな?」
ペルタ「タリスマン様はエビじゃないのよ」
ルイス「黙っててほしいな。僕は、タリスマンさんの感想を聞きたいんだ」
タリスマン「我も、 “我はエビじゃない” という感想しか浮かばない」
ルイス「くっ、じゃあ、このキャッチコピーはエビにつけるよ。後で、惜しくなってもしらないからね」
タリスマン「ならないから、安心してエビにでも伊勢エビにでもやってくれ」
ルイス「ふん、わかったよ。確か、ロッドのアクアリウムにエビがいたな。名前はプリ。キャッチコピーにピッタリな名前だよね」
タリスマン「いつか食われそうな名前だな」
ペルタ「プリンスから取ったんですわ、きっと。それか、プリンセスかも」
ルイス「プリンスからだと思うよ、多分」
タリスマン「だといいが。アクアリウムとはなんなのだ?」
ルイス「観賞用の水槽だよ。全く、ドキドキさせるよね、ロッドは。そうだ! ロッドのキャッチコピーは “世界一ドッキドキさせる王子様!” なんてどうかな!?」
タリスマン「うん、そういうのにハマる瞬間があるのはわかるがな。センスはないようだぞ」
ルイス「くっ」
ペルタ「繊細に揺れ動く思春期の少年相手に、はっきり言いいすぎですわ」
タリスマン「誤った道ではなく、正しい道に導きたくてな」
ルイス「ふん、僕はどうやら反抗期らしいよ。こうなったらドラゴンのキャッチコピーを考えて、世界を震撼させて歴史に名を残してやる!」
タリスマン「悪い意味で震撼させて、黒歴史に残るだけだぞ!」
ペルタ「もう、好きにさせてあげましょう。王子様の考えたキャッチコピー! とキャッチコピーをつければ、なんとかなりますわ、きっと」
★反抗期
アンドリュー「ルイスが反抗期だと!?」
ユメミヤ「しくしく」
タリスマン「センスのないキャッチコピーをつけようとするのでな。止めたら、なってしまったのだ」
アンドリュー「キャッチコピー?」
ペルタ「売り文句みたいなものよ。アンドリューだと、そうね。ビリッビリで世界一強い男! みたいな」
アンドリュー「なんだ? その下手な売り文句は。やめてくれ、迷惑だ」
ペルタ「ルイス君を真似たんだけど」
アンドリュー「なに? はっ! ルイス!!」
ルイス「……」
アンドリュー「つ、つけろー! 俺に好きなだけキャッチコピーをつけてくれ!」
ユメミヤ「私にもつけてください!」
ルイス「アンドリューさん! ユメミヤ! ふたりこそ、真の仲間だ!」
ペルタ「私は? 私は? どうして、三人で輪になっているの?」
タリスマン「ためらって、出遅れただろ?」
ペルタ「ぐぬ! だって、ただでさえ、王子様探しに苦戦しているのに、変なキャッチコピーをつけられたらと思うと……」
ルイス「……」
ペルタ「つ、つけて! 好きなだけつけていいから! そんな目で見ないで!」
ルイス「ありがとう。でも、もういいんだ。実は、ドラゴンのキャッチコピーが浮かばなくて困ってたんだ。潔く、ギブアップするよ」
ペルタ「よかった」
アンドリュー「よかった」
ユメミヤ「よかった」
タリスマン「よかった」
ルイス「ひとりくらい、諦めるなと言ってほしかったな。ふん」
★反抗期2
ペルタ「王子様、王子様、おかしい。今日は特に見つからないわ」
ロッド「見つからないはずだね。こんな張り紙、背中につけてたら」
ペルタ「張り紙? “ギラッギラな目で王子様を狙う魔女っぽい女” ルイス君!」
ルイス「助けて! 魔女に追われてるんだ!」
ロッド「あんなイタズラして、自業自得だろ。大人になれよ」
ルイス「ふん、反抗期をこじらせて王子様になった奴に言われたくないね」
ロッド「俺は大人だから、怒らないでやるよ」
傷だらけのルイス「そう言って、ぶん殴ってきたんだ。どう思う?」
傷だらけのロッド「ふん」
ペルタ「恐ろしいわ! ロッド君も反抗期だったのね」
アンドリュー「全く、全員大人になれ!」
★王子様とゲーム
ロッド「PS○は無理だったけど、○witchはルイスと一台づつ買えたよ」
シュヴァルツ「結局、ゲームか」
ロッド「まぁまぁ、やってみる? 中世の暮らしもいいけど、たまには最新の物もいいんじゃない?」
シュヴァルツ「たまには、遊びに付き合ってやるか」
30分後
ロッド「付き合ってやるかって、ひとり用なんだよねそれ。それに、無言でゲームしてるの、なんか怖いんだけど」
シュヴァルツ「なんだ? 実況すればいいのか?」
ロッド「(なんで知ってるんだろ? 引きこもってる間ゲーム実況でも観てたのかな? まさか、やってないよな? ゲーム慣れしてるし) うん、やってみてよ」
シュヴァルツ「『シュヴァルツは敵に2のダメージを与えた』 2だと? 雑魚か。 『シュヴァルツは7のダメージを受けた』 7!? なぜ避けない。スピード1だと? ゴミだな。序盤はこんなものか」
ロッド「(自分のアバターを雑魚だのゴミだの、他人に厳しいけど、自分にも厳しい人だな) いや、王子様が、ゴミなんて汚い言葉を使うのはヤバいよ」
シュヴァルツ「お前に、たしなめられる日が来るとはな」
ロッド「やっぱり、実況はいいよ。なんていうか、シュヴァルツさんのイメージが変わっちゃいそうだし」
シュヴァルツ「戦っている時は、実況のような心境なのだがな」
ロッド「王子様はあんまり戦わない方がいいね。お抱え勇者を考えてよ」
シュヴァルツ「わかった。今は手が離せない、後で考えるとするか……」
ロッド「それから、ゲームは一日一時間、いや、二時間か三時間までね」
シュヴァルツ「立場が逆転したようだな。しかし、今は手が離せないから、後でな」
ロッド「(マジにゲーマーになりそう。ま、その方がうるさく言われなくていいか) シュヴァルツ様の○witchも買わないとね」
★王子様とゲーム2
ペルタ「シュヴァルツ様が、ゲーマーかもしれないですって!?」
スズラン姫達「しくしく」
ペルタ「おお! 神よ! なぜ、私達に試練を与えるのです?」
ルイス「試練?」
ロッド「女の人は、ゲームする男が嫌いなんだよ。おふくろも、親父がゲームしてると機嫌が悪かったし、俺もゲームしてる時だけ怒られたし」
ルイス「ふうん。僕の家はゲームより本派だったからな」
ロッド「うーむ、本を読んでるシュヴァルツさんは、別に怖くないんだけど、ゲームしてるシュヴァルツさんは、なにか怖いものがあるんだよな」
ペルタ「シュヴァルツ様は、実況してくれないかしら?」
ロッド「実況? ペルたんなら知っててもおかしくないか。そうだね、シュヴァルツさんは (チラッ)」
ルイス「そういう人じゃないと思うな」
ペルタ「そうね……」
ロッド「そんなに心配することないよ。一日一時間しかしてないし。きっかりね」
ペルタ「なんて模範的な王子様なんでしょう」
スズラン姫達「それなら、まぁ」
シュヴァルツ「みんな集まって、なにを話しているのだ?」
ロッド「シュヴァルツさんが、ゲームしてるってこと」ゲームのジェスチャー
シュヴァルツ「たまには、最新のゲームもいいものだ」
ロッド「シュヴァルツさんって、他にも色々ゲームしてるよね。カードとかビリヤードとか」
ルイス「ロッドも多趣味だよね。お金持ちあるあるだね」
ペルタ「お、お金持ち」
スズラン姫達「ゲームも、沢山ある趣味の内のひとつなら」
シュヴァルツ「その通りだ。俺の一番の趣味は花を愛でることだ。お暇なら庭に行かないか?」
スズラン姫達&ペルタ「喜んで」
ルイス「僕達は部屋に行きます。ゲームしたくなっちゃったから」
ペルタ「シュヴァルツ様を見習って、一日一時間ね」
ルイス「はい (ブロウさんがゲームしててくれないかな。一日三時間くらい)」
ロッド「後でやれよ。お前がしてるの見てるとじれったいんだよ。ドラゴンの育成ばっかりして、全然戦いに行かないからな」
ルイス「今のレベルで戦いに行くなんて無謀だよ。特にドラゴンは絆レベルが大事なんだ。絆レベルをMAXにしてから無双したいんだよ」
ロッド「現実でやれよな」
ルイス「予行練習だよ」
ロッド「やれやれ」
面白いと思ったら本編も読んでみてくださいね。
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