表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/143

第73話 みんながみんな、それぞれ違っていて。イオナは、イオナとして。

2人目の偽物―マリナが辞退してから、数日。

相変わらず、貴族達は混乱状態に陥っている。

そんなある日。

俺は、イオナに呼び出されて二人きり、街外れで話をしている。


「混乱、やみませんね。」

「貴族達は、何としてでも3人目を見繕(みつくろ)って担ぎ出すつもりらしいけどな。今は誰を選ぶか決めている真っ最中だよ。」


「・・・ユーリさんはどうするんですか?」

「成り行き次第・・・かな。」

その意味をイオナも十分理解している。

だからこそ。

沈黙が、流れる。


「ロスラヴィにいる元トゥリア反乱軍の人達から連絡がありました。なんでも、ユーリさんに献上(けんじょう)したい物があるみたいなんです。・・・それで、少人数でいいんで、私を護衛のために寄越してほしいって言ってるんですけど・・・。」

「いいよ。当分は仕掛けないからな。・・・イオナの部隊の全員と、俺の隊からの半分・・・合わせて7千の兵を預けるから、気をつけて行ってきな。」

「そんなに!?」

「道中敵が襲ってきても撃退できるよう、念のためにな。」

「ありがとうございます。」


「ユーリさん、王都を出たゴリツィンの行き先って・・・」

「ああ。間違いなく、トゥリアの街だろ。」


イオナが身構える。


「・・・もちろん、俺が責任を持って奪還する。」

それは、昨年俺がイオナに誓った事。

一生とは言わずとも。

数年、十年かかるかもしれないなんて思っていた。

それが、まさか。

―こんなに早くその機会が来るとは、思ってもいなかったんだけどな。

「・・・トゥリアからロスラヴィに逃げだした時には、・・・正直、帰れるとは思っても見ませんでした。今は、ユーリさんのおかげで、とうとうここまで・・・しかも、たった1年足らずで戻って来れました。どれだけ感謝してもしきれません。」

イオナも、俺の心の内を察していたようだ。


「・・・イオナが戻ってきたら、本格的にトゥリア攻略の準備だな。」

「・・・はい。」

俺もイオナも、遠く、トゥリアの方向へ視線を向ける。

ゴリツィンをここで討ち取れれば、一番良いけれど。

もうそれでは終わらないことは、俺も、イオナも、皆もわかっている。


「イオナ。ついでに、もう一つ役目を頼んでいい?」

「はい!なんなりと!」

イオナは威勢よく答える。

「ありがと。その、役目なんだけれどな・・・・」

イオナに、耳打ちする。

「・・・ええっ!!そんな大役を・・・私が!?」

その内容を聞き、イオナがさっきとはうって変わって仰天する。

「そう。この役目は、俺個人に騎士の家の末裔として、忠誠を誓うと言ってくれた、イオナだからこそできることなんだ。」

「私だからこそ・・・」

その言葉をかみしめているのだろうか、イオナの動きが止まる。

「わかりました!!・・・私、ユーリさんのために頑張ります!!」

「任せた。」

「ユーリさん。・・・私が、このお役目をするって言うことは・・・」

「・・・ああ。場合によるけど・・・」

俺も、おそらくイオナも。

その日が、近いと言うことを、お互いに予感しているのだろう。




「それでは、・・・行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」

イオナは、その場を去ろうとして。

俺の方を振り返った。


「ユーリさん。」

「うん?」

そして、俺の方へ駆け寄ると。


唐突に。

口づけた。


「・・・!?」

驚いていると。

「・・・私、もう三人目ですから。もう印象が薄いんじゃないかって、いつも悩んでました。・・・だから、こうやって突然懐に飛び込んででも、ユーリさんには私の事を印象に残してもらいます。・・・どうですか?」


印象なんか残さなくとも。

普段からイオナは、イオナとして。

しっかりと、記憶づけられている。

だから、どうですって言われても。

「・・・正直、びっくりしたの一言だな。・・・いきなり・・・キスされたことについて・・・だけど。」

俺も、どこまでもイオナの想いから目を逸らしていたわけでは無い。

皆が、イオナが。

俺のことを想ってくれていることは、もう気づいていた。


「私も・・・ユーリさんの事が、愛の意味で好きです。・・・例え、ユーリさんの気持ちが私に向かなくとも・・・私はユーリさんに全てを捧げます。」


―それでも、改めて振り返ると言う意味では、イオナの策は功を奏したのかもしれないな。

俺の頭の中に、イオナとの思い出が駆けめぐる。


「イオナ、俺はみんなをそれぞれ大切に想っている。」

「はい。」

「・・・もちろん、イオナのこともだ。」


まだ周りに誰も居なかった時から、時に照れ、時に見上げてくるサーシャ。

年上ながら、時にかしずき・・・時として引っ張ろうとする、ミーリャさん。

普段は凛としていながらも、二人きりになった時には弱さを見せ、近くあいまみえるであろう、レナーテ女王。

・・・そして、今みたいに、真一文字に突っ込んで来る、イオナ。


「みんながみんな、それぞれ違っていて。・・・俺は、みんなそれぞれを、大切に想っているんだ。・・・だから、イオナさえそれで良ければ・・・イオナの想いも、俺は受け入れたい。」

「もちろんです!」

それでも、もうイオナに迷いはない様だ。

晴れ晴れとした顔をしたイオナを、俺は抱きしめる。

イオナはそのままの体勢で、胸の中で顔を真っ赤にした。

「勢いでキスしてしまいましたけど、私も何だかこういうこと、慣れていなくて。」

普段から結構積極的だったのは。

やっぱり照れ隠しだったようだ。

「こんな気持ちになるの、ユーリさんが初めてです。」

「ユーリさん・・・私のこと、よろしくお願いします。」

イオナは改めて、俺に抱き着いた。


お読みいただき、ありがとうございます。


「面白かった!」


「ここが気になる!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品の評価お願いいたしします。


面白かったら☆5つ、つまらなかったら☆1つ、正直な感想でもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです!


何とぞよろしくお願いいたします!


※今回は10月22日(金)投稿予告の分です。


※次回投稿は10月24日(日)午後から夕方を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ