ホラー短歌4
ホラー短歌3からずいぶん間が、開いてしまいました。
第十八首
人間て不思議な生き物ですね。
自分に恐怖を与えるかもしれないと分かりながらも、それを求めてしまう。ホラー映画もそうですし、心霊スポット探険もそうです。そんな、恐怖好きの男が、詠んだ歌。
本当は
怖いことなど
好きじゃない
単に彼女が
ホラー好き
詠み人 気弱そうな青年
本人コメント 彼女に嫌われたくなくて、色んな所の心霊スポットに行っても強がって見せたけど、それが彼女以外の女の気に障ったみたいだ。今も僕を睨んでる。
第一九首
デジャブって知ってますか? 以前に見たり、経験したよな、と思うことです。既視感とも言います。
でも、それが心霊体験なら、少しややこしいことになってしまいます。そんなことを詠んだ歌
暗がりで
こちらをじっと
睨んでた
あの女には
会った気がする
詠み人 服役中の殺人犯
看守コメント たまにいるんだ。夜中に急に叫びだすやつ。そんな奴は、少しずつ衰弱していくんだよね。
第二十首
怪談話を職業的にしている人っているよね。よくあんなに、話が尽きないなと思うよね。自分の体験だけじゃなく、知人の体験、知人の知人の体験なども仕入れているんだろうね。でも、怪談話を無作為に集め過ぎたら、とんでもなく呪われた話も混ざっている可能性もあるよね。そんな呪われた話を詠んだ歌
話し手の
苦しむ様子が
迫真の
演技と思い
気づかなかった
詠み人 怪談話の会の観客
主催者コメント あの話は、題名だけ聞いたことがあります。語った者を呪うという、曰く付きの話だそうです。本当だったんですね。亡くなられたのは、残念です。
第二十一首
夏空の下、こんな晴れた暑い日の昼間、心霊現象など起こるはずもないと思っているあなた。あまいです。霊は暗くならないと出てこないのではなく、霊能力が高くなくても、周りが暗いと見え易くなるんです。だから、とんでもなくタチの悪い地縛霊がいる直ぐ近くを、知らずに通ってしまうこともあり得るわけで。そんなことを詠んだ歌。
握りしめた
ブレーキこわれた
坂道で
後ろに乗せてた
彼女大怪我
詠み人 夏色を再現していたつもりの男
本人コメント 背後から肩のところに彼女が手を回した気がしたんだ。でも彼女の手は俺の腰に回されてた。あれって思った瞬間、両方ともブレーキのワイヤーが切れたんだ。何故か、俺は軽症で済んだ。
編集部注 この男性は、3日後に亡くなりました。
第二十二首
私は、リングの貞子が好きです。スマホの待ち受け画面も貞子ちゃんです。テレビから出てきて、立ち上がった場面の貞子ちゃんです。
こんな待ち受け画面にしてる私って変ですか?
液晶に
代わってしまい
窮屈な
思いの貞子が
可哀想
詠み人 変人の私
本人コメント でも、意外と貞子ファン多いんだよね。で、大学生の時、暗がりの中、貞子みたいに立っている白いワンピースを着た長い髪の女を見たことがあるんだけど。リアル貞子は怖いね。