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第1章 なぜ勇者より無職の俺が色々と格上なのか? 第3話 新たな友達

 レオンとナブリーさんと別れてから3日経った。その間は野宿を繰り返し、湖で体を流し、動物などを狩ったり、木の実などを食ったりした。動物と闘っているとき自分の能力を再確認出来た。やはり自分の能力は五感が異常なほどすごいということ。しかし、戦闘中に限るっぽいのだ。普段は普通の感覚なのだが、戦闘になると急にあの音とともに、五感が発達するのだ。


 そして、1週間経ったある日、俺は数十名の人に襲われている馬車を発見した。馬車の中を守るように5名の騎士っぽい人が闘っているのだが明らかに人数差が激しい。勝つことはほぼ不可能だろう。おそらく騎士っぽい人たちがいい人なのだろう。よしっ! 助けよう!!



「姫様を守り抜け!!」


「「「「「「「「「「「「「おぉ!!!」」」」」」」」」」」」」

 

 私の声とともに、騎士たちの雄たけびが空気を振動した。


「中にいる女を捕らえろ。あとは、殺せ」


「御意」


 殺し屋らしき人物数名は姫様を捕え何かをしようと企んでいるのだろう。戦闘は均衡しているが、人数の差がすごい.....。


「くっ。このままでは、まずい」


 私1人になってしまったか。仕方ない、姫様だけでも———————————、


「助太刀するぜ」


「な!?」


 私の前に颯爽と現れた男は殺し屋らしき相手の剣を1度も貰わずに、わずか数十秒でその場を制圧した。50人はいたぞ?


「大丈夫だったか?」


「あ、あぁ。ありがとう」


「気にするな」


 そう言い残し、男はその場をすぐに去ってしまった。


「おい、あなたの名前はーー」


 そう聞こうとしたときには既に男はいなかった。

 

 あいつはいったい...........。


「あの方は、何者なのでしょうか」


 馬車の中からも姫様はその現場を全て見ていた。


 

 ある馬車を助けてからさらに3日が経った。野宿するのも慣れてきた。今おれがいる場所は頂上が見えないほど高い山である。そしてこの山には腐るほど多くの魔物が住んでいる。1つ目の体長が10メートルちかい化け物や、首が10本ある蛇など色々なやつと闘ってきた。そのおかげなのか五感がさらに鋭く、そして体術が相当強化された。

 

「やっと、頂上かよ」

 

 山を登って1週間、やっとの思いで頂上についたが、


「おいおい...嘘だろ...」

 

 おいおい、何で俺の目の前に白竜と黒竜がいるんだよ。


『お主、人間なのか? どうやって来たのじゃ』

 

 黒竜も同様驚いているようだった。


「登ったのさ。面倒だったけどな」


『下の魔物たちはどうしたんだ!?』


「あぁ、なかなかな強さだったぞ」


『ふふふふふ』

 白竜は微笑んだ。それに対して黒竜の口は開けっ放しであった。


「そんなことより、あんたらかっこええな!! 何でよその色! ヤバすぎだろ!!!」

 

『『え...』』

 白竜・黒竜が困惑してないか? なんかまずいこと言っちまったか?


「あ、ごめん。何か気に障ることでも言っちまったか?」

 

 明らかに落ち込んでいるテンリを見て白竜・黒竜は、


『お主、それは本気で言ってるのか? ワシらは古代竜じゃぞ』


『あなた、古代竜って知ってるの?』


「いや、知らないな」


 俺がそんなこと言うと、なにか重苦しい雰囲気がそこにはあった。そんなとき白竜が話し始めた。


『わたしたち古代竜は竜族の中では最高種。いまこの世界では魔族とヒト族が争っているのは知ってるよね?』


 俺はレオンからそのことを聞いていたので、コクリとうなずいた。


『でもね、もともとは竜族と魔族+ヒト族で闘っていたの。魔族は新しい頭首、レオンという人物になった瞬間、闘いから身を引いたの。でも、ヒト族は一向にやめようとしなかった。わたしたち竜族は必死に抵抗したのだけど相手の数には叶わなかった』


『だから、ワシらが下界に降りてヒト族を殲滅しようとしたんだが、相手国は各国の勇者を集めており、ワシらは死にかけたんじゃ。そこにレオンが闘いに入ってきてワシらを逃がしてくれたんじゃ』


「んで、ここにいるわけか。レオンはやっぱいいやつだな」

 

 俺が独り言を言うと、白竜・黒竜は食いついてきた。


『お主レオンを知っているのか!?』


「あぁ、親友だ」

 

 黒竜はまたしても口を開けっ放しにしている。騒がしい奴だな。


『おい、どうしたんだ!?』

  

 止まって動かない白竜に黒竜が心配そうにしていた。


『今、時魔法を使って、この子の過去を見してもらったわ。この子本当にレオンの友達なのよ。この間まで一緒に暮らしてたし、それよりもすごいのはこの子レオンに闘いで勝ってるのよ...........』

 

 それを聞いた途端、黒竜ですら身震いをした。レオンは自分たち古代竜を負かした勇者たちを一瞬で壊滅に追い込んだ人物だ。その者を倒すということは、現在この世界で最も最強であるという証明でもある。


『お主は何者なのじゃ!?』


「おれはテンリ、ただのヒト族だ。レオンと友達だろ? あんたら」


『そうよ、それがどうしたの?』


「じゃあ、俺とも友達にならねぇか?」


『ははははははは、気に入ってしまったわい』


『こんなヒト族もいるのね』


「おいおい笑うな! あんたら名前は?」


『..............................』


 無視は心に来ちまうよ。


『ないのじゃよ、名など』

 

 寂しそうにしている2人。なら、


「ハクとコクはどうだ? 白竜の白と黒竜の黒が由来だ」

 

 正直、白と黒からそのまま取ってだけだし。まぁでも、かっこいいか。


『『気に入った(わ)』』


「じゃあ、よろしくな! 白竜(ハク)黒竜(コク)


『あぁ、こちらこそじゃわいテンリよ』


『よろしくね、テンリちゃん』


 こうして俺は古代竜と友達になった。 


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