8話 屋台のおじさん=サントス
前話のあらすじ:お風呂入って自分のおっぱいを揉みしだいたら、逆に落ち込んだ。
翌朝、朝日が差し込む部屋の中で目覚める。
「ふわぁぁぁ~。よく寝た」
夢の中でたくさんのおっぱいに囲まれて、幸せに成仏していく男だった時の私が出てきたような気がするけど、うろ覚えだし多分気のせいだと思う。
「寝ぐせ直して、朝ご飯食べに行こう」
私は美少女なのだ、寝ぐせなんて許されるハズがない。アホ毛可愛いとか、そんなのは迷信だ。
……個人的には好きだけど。
「よし、キレイになった。昨日の晩ご飯美味しかったし、今日の朝ご飯も期待大だよねー!」
私は食に関してはテンションが上がっちゃう。
男だった時からお前は犬かと言われる位に、ご飯となると目を輝かせて尻尾フリフリ……。
いや、尻尾は生えてないけど、それ位に見えたらしい。
そんな事を思い出しながら、朝食を食べにレストランに向かう。
「おはようございます、マンシュタイン様。お席はご用意出来ております。こちらへどうぞ」
朝食会場には私がチェックインした時に担当してくれた男性がいた。
(元の世界でもビジネスホテルとかでは、フロントスタッフが翌日の朝食会場にいたりしたなー。大変なお仕事だよね)
私は男性にチップとして銅貨を10枚渡して、席に着く。
「ありがとうございます、マンシュタイン様。僭越ながら、マンシュタイン様はお召し物には余り興味を持たれていないのでしょうか?」
「どういう事かしら?」
「お気に障ったら申し訳ございません。マンシュタイン様は私めにもチップを下さるようなお方であるのに、お召し物が少し……と思いましたので」
昨日から高級宿でこの服装は浮いている事はわかっていた。
私は高級宿に宿泊しているにも関わらず、ただの布の服を着ていたからだ。
「えぇと、色々と事情があるのだけど、今日服を買いに行くつもりなの。もしドレスコードとかがあってご迷惑をおかけしていたら、ごめんなさい。どこか服を買うのに、良いお店はあるかな?」
「ドレスコードはございませんので、お気になさらず。マンシュタイン様のような麗しいお方は、お目も高いとは存じますが、ミリアルド南区は銀行がある商業区でございますので、衣料品店もオーソドックスで高級な物から最先端の流行の品まで手に入ります。大体は看板をご覧頂ければわかるかと思いますので、そちらがよろしいかと」
「わかった、ありがとう。ところで、この宿の水回りは、水道なの?それとも魔法?」
「当宿の浴室や洗面台など水回りについては、全て水の魔法陣と、魔石にて賄っております。
建物の上部に水のタンクがございまして、水の魔法陣の力を利用して常時水が補充される仕組みです。魔石は水を温めてお湯にする為に使用しております。また、本格的な水道設備が整っているのは王都のみでございます」
「……なるほど。教えてくれてありがとう」
「はい、ご朝食をお楽しみ下さいませ」
高級宿のサービスは素晴らしい。
私は中世っぽいこの世界で、お風呂の蛇口をひねるだけでお湯や水が出てくる事には違和感があったが、ある程度納得出来た。
「朝食も美味しかったなぁ。パンも焼き立てで、新鮮な野菜のサラダも美味しかった」
現代日本から転生してきた私でも納得の朝食でした。
「あ、そういえば今日チェックアウトだったな。でも、この快適さを知ってしまったらもう私には他の安宿に移る勇気が無い。だってお風呂あるし、夕食も朝食もすごく美味しかったんだもの。この町に慣れるまではここに泊まろうかな」
私は1階のフロントへ向かい、延泊を申し出た。何泊延長するか悩んだが、とりあえず2泊延長する事にした。
さすがにこの宿クラスになると金貨で支払ってもちゃんとお釣りをもらえるようだ。
「延泊する事にしたし町中じゃいらないから、この剣は部屋に置いとこうかな」
ゴブリンから奪ったショートソードを部屋へ置いて、私は今日の目的の一つ目である、南区の衣料品店へと向かった。
「さすが商業都市っていうだけはあるね。道を歩く人の数が多い」
ミリアルドはグリフィル王国の中でも5本の指に入る規模の町らしい。南区へ向かう途中で、昨日のおじさんの屋台を見かけたので、近づいて話しかける事にした。
「おじさんおはよう! 今日も精が出るね!」
「おー! 昨日の姉ちゃんか。おはよう。今日も可愛いじゃねーか! がっはっは!」
「ありがとう、おじさん。ところで、私はミリアっていうんだけど、おじさんは?」
「俺か? 俺はサントスだ。俺なんかに名前を聞くなんて姉ちゃんも変わりもんだな!」
「いやー、結構顔を合わせるから、一応聞いてみようと思って! あ、気があるとかそういうんじゃないからね!」
「そうかそうか、まぁいいやさ。そういや、俺が紹介した宿はどうだった?」
「すっごい良かったよー! おじさんのおかげで良いとこ泊まれたよ」
「だろー! ふっふっふ。そういや、今日はお出かけか?」
「えぇ、今日は南区に服を買いに行くつもり」
「そうか、良いのが見つかるといいな! また気が向いたら串買ってくれや!」
「はいはーい! またねサントスさん!」
相変わらずサントスさんは気の良いおじさんである。
「さて、サントスさんに挨拶もしたし、服買いに行こうかな」
私は南区にあるという衣料品店へと歩き始めた。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
引き続き本編をお楽しみいただけると幸いです。
ぺこり