39話 稽古とケイコ①
前話のあらすじ:ショッピングは正義です。
エリーとお買い物をしてから1週間経った朝。私たち…いや主に私がマナーを習っていた。トーマスたちは週に1回だけ本当にマナーを学ぶだけで済むのだが、私だけはダンスやら立ち居振る舞い言葉づかいと多岐にわたる訓練メニューを義務付けられ?週に5日は領主の館へと【通学】していた。
今日も私だけ訓練があるのだが、朝食はトーマスたちとザ・イーグル・ミリアルドのレストランで食べる事にしているので、みんなと顔を合わせることになる。
私だけが訓練の日には、トーマスたちはそれぞれ個人で予定を組んで街をぶらぶらしたり、お買い物したり、ギルドで簡単な依頼を受けてパーティーでこなしたりしているそうだ。
自由な生活が実にうらやましい。
「はぁー…。みんなはいいわよね。私もゆっくりしたいわ…」
「仕方ないよ。僕たちがダンスの練習したって役に立つこともないだろうし」
「アタシはミリアお姉ちゃんがうらやましいなー。アタシもダンスのお稽古したい!」
「そうなの?じゃあ今度エリーも同じお稽古を受けられないか確認してくるね」
「やったー!お姉ちゃんよろしくね!」
この世界では貴族ぐらいしか嗜んでいない社交向けのダンスの練習が出来る機会はそうそうないだろうし、女の子なんだからエリーも習いたい気持ちはわかるので、交渉ぐらいなら引き受ける。
そうして朝食後に馬車に揺られながら今日もお稽古をする私。
(ダンスは優雅にって言われたけど、それだけじゃちょっと足りなくない?ただただ笑顔で踊るだけじゃアピール力が薄いよね。もっと引き込める何かが欲しい所では…)
自由が欲しいとか言いながら、私はしっかりちゃっかりと自分の持ち味を活かす為にどうすればいいのかについて、研究を重ねていた。
せっかくこの超絶美人な容姿があるのに、ただただニッコリ笑いながら踊った所で面白みがない。
(そうだ!影がある美人っていいんじゃないかな?キレイだけれど、どこか影がある美人って社交界のような場所ならすごく映えるハズ。貴族のご令嬢が集まるような場ならその方がいいかも?)
そう、私は天然だった。
自分の思考では男性と仲良くなるのもどうかと思いつつも、美女になった自分の容姿を活かして生活したいという欲求も止めきれない。
結果的に相反するハズの行動を選択しているのは私の性格のせいだろう。
そうこうしているうちに目的地に馬車が到着した。私は今日もダンスと礼儀作法と貴族の立ち居振る舞いのお稽古である。
「来たわね」
「こんにちは。ケイコ先生」
「今日もそれなりに飛ばしていくわよ?雇い主からせっつかれてるからね」
「…あははは」
私の訓練を担当している女性はケイコさんだ。とある貴族の4女で礼儀作法からダンスまで、社交界での事情に詳しく、しかもダンスにおいては社交界1と言われたほどの腕前の持ち主だ。
荷物を置いて準備運動を済ませたら、早速ケイコ先生の稽古が始まる。
「はいじゃあ始めるわよー。ステップ間違えないでね?イチニーサンシー…」
足がもつれてベシッと先生の足に私の足が当たってしまう。
「このスピードで足がもつれるようじゃ1か月で仕上がらないわよー?」
「ちょ、ちょっと待ってください先生!私これはついていけな…ああああ!」
また足が当たる。
ちなみにケイコ先生は30代半ばぐらいだと思われるがとってもスタイルが良くてグイグイおっぱいを当ててくる。女同士のダンスの練習なので足も際どい所に入るし容赦がない。
…もちろん私はそれに何の反応ももはや返せない。そんな事よりもダンスが難しいのと、貴族レベルの女性のマナーや立ち振る舞いの練習についていくのがやっとという有様だ。
あれ?何か忘れてなかったっけ?
いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!
文字数が少なくてすみません。リアルの仕事がひと段落したのとGWで子供がお休みだったので気が抜けてました^^;
引き続きこの小説をお楽しみいただければ幸いです。
ぺこり。




