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32話 いろいろと疲れたので、ひとまず休憩します。

前話のあらすじ:地竜の解体&輸送は意外とあっさり終わりました。

 ミリアルドの街に帰り着いた私たち。どっと疲れが押し寄せてくる。さすがにこれはキツイ。


 さしものギルマスもここから更に報酬だの何だのとは言ってこないと思いたい。


「みんないい汗かいたな!ミリア達への地竜や森ウルフの討伐報酬の件は、領主様への報告やその他もあるから後日ギルドからアポイントを取ることにする。連絡が行くまではゆっくり休んでいてくれ」


 もはや体力の限界である。休みたいお風呂入りたいキレイにしたい。だって女の子(元男)だもん。


「はぁー…」


「?お姉ちゃんどうしたの?」


「あー、エリー、何でもないよ?」


「すごく疲れてるみたいだけど大丈夫?」


「あはは…。いくらスキルがあっても、私みたいな初心者には今回の出来事は荷が重かったというか、どっと疲れが出ちゃって」


「大丈夫だよ、アタシだって地竜なんて討伐したことないし、緊張してたけど今まで積み重ねてきたことが(かて)になって乗り越えられるんだ!」


「あ、そ、そうだよねー…アハハ」


 エリーの方が殊勝な始末である!お姉ちゃんと呼ばれていい気になっていたことが恥ずかしいレベルだ。


「とりあえず私は宿に行くけど、みんなはどうする?」


「俺たちは宿を引き払ったからな。どうする?」


「今回の報酬って結構たくさん出るんでしょ?お姉ちゃんと同じザ・イーグル・ミリアルドに泊まるっていうのはどう?」


 つるぺたエリーがトーマスに交渉を試みる。お泊りしている間に聞いたのだが、トーマスたちはパーティーとして行動するための宿泊代などはパーティーの経費として共通のお財布から出しており、個人のお金は自分のことにしか使わないようにしているそうだ。


 みんなにはとってもお世話になったし、これからも一緒に冒険したりする機会もあるだろうし、私だけジェイド(かねもち)から貢がれて良い思いをするのもどうかと思い立った私は、みんなに一つ提案をした。


「ねぇ、もしみんなが迷惑じゃなければだけど、ザ・イーグル・ミリアルドの宿泊代は今回私に払わせてくれないかな?前に言ったように、私はとある方から善意でお金をもらった(貢がれた)から、善意のおすそ分けってことで、どうかしら?」


 あくまで善意のおすそ分けなので、遠慮はいりませんよと伝わるかな?


「しかし、さすがに俺たち3人合わせて銀貨18枚近い宿泊代を出してもらうのはな…」


「いいじゃん!それに今度違うことでお返しすればいいでしょ?アタシは賛成かなー」


「僕もせっかくのご厚意に甘えた方がいいと思うよ」


 意見も出揃ったようだし、3人中2人が賛成なので多数決でOKだよね。


「決まりみたいね!じゃあ早速向かいましょうか」


 異世界に来てから、それほど経ってはいないんだけど、私にとっては通りなれた道を進んでいくと、ザ・イーグル・ミリアルドに到着した。


(短い間しか出かけてないけれど、帰ってきたー!って感じがするわね)


 受付に向かい、みんなで手続きを進めていたら予想外の展開が待っていた。


「ミリア様以外のお三方の宿泊代金は、すでにとある方から言伝があり、その方へご請求させていただくようになっておりますので、宿泊代金は不要です」


「「「え?」」」


(…ジェイドね、ジェイドに違いない)


 私たちがここにみんなで泊るという情報を、一体どこから仕入れたのだろうか?ミリアルドの街中にはファンクラブ会員が潜んでいるので、どこで何を聞かれているのかわからない。考え方によっては恐ろしいことである。


「たぶん私にお金を渡した方が支払ったみたいね」


「「「いや、ここに泊まると決まったのはついさっきだよね!?」」」


「みんなが知っているかはわからないけれど、この街では私に関する情報がすぐ伝わる組織のようなものが…」


「「「ないない!普通はそんなのない!」」」



 みんなを無理やり納得させて、それぞれの部屋に入ることにした。もちろんみんな【泊2】(一泊二食付き)である。夕食時間にみんなで時間を合わせて一緒にご飯を食べることにした。


「にしても色々ありすぎて疲れたー…」


「あはは、ミリアがそんなにだらけているのはめずらしいね。僕もけん玉の練習を早めにしておかないと落ち着かないから、早く部屋に戻りたいよ」


(こんな時にも、たゆまぬ努力をかかさない。さすがザンネン)


 そこで私は何かの気配を察知した。


「時間停止!」


 まだ時間停止の設定はそのままなので、トーマスたちの時間は動いている。そして私はロビーの角にある植木鉢の後ろをチラ見する。


「こんなところでスキルを使ってどうしたのお姉ちゃん?」


(……)


 そこには変装しているものの、どこかで見た顔の人がいた。


(あっ!輸送隊!そうだ輸送隊の人達に声をかけてたあの人だ!?」


「ちょっと気になることがあって、時間を止めたんだけど気のせいだったわ。元の場所の辺りに戻ったら時間を戻すね」


「わかったー」


 見なかったことにしよう。それが私にとっても植木鉢の後ろで迷彩服のような恰好で隠れているが、私のスキルで時間が止まっている彼にとっても、最善の選択に違いない。


「その男は輸送隊の冒険者の1人だな。何かあるのか?」


 トーマスは一応リーダーとして聞いておかなければならないと思ったのか、彼について質問してくる。


「人には色んな事情があるっていうじゃない?それの一つを見ちゃっただけよ」


「…なるほどな、じゃあ一旦解散して部屋へ戻るか」


 時間停止の効果時間が切れ、時間が動き出す。


 植木鉢の後ろにいる彼は、人知れず色んな任務をこなしてきたのだろうなと、名も無きミリアファンクラブ(彼は親衛隊)会員を生暖かい眼差しでスルーする私であった。

いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


余裕が出てきたら後書きこそが本編と過去に噂された、後書きネタコーナーも復活させたいです。


また、プロローグの部分が後のお話と繋がっていなかったので改稿しました。


主人公が時間制御を要求するのではなく、女神さまが勝手に授けるような流れになっております。


引き続きこの小説をお楽しみいただければ幸いです。


ぺこり。

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