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24話 ミリアたち vs 森ウルフの群れ

前話のあらすじ:森ウルフ以上に強いモンスターがいるかもしれない

「戦闘に必要のない荷物はここに置いていくぞ」


 トーマスの指示で、みんな背負ったり担いだりしている荷物を降ろす。


 私も前回の戦いでお金を置いて来なかった事に後悔したので、もちろん従う。


「よし、準備はいいな? ザンネン、仕掛けてくれ」


「いくよ!」


 私たちの位置からは、森ウルフは見えない。


 ザンネンは自身が偵察してきた森ウルフの位置へ向けて、視界外射撃を行うようだ。


 森の中にも茂みなどの遮蔽物があるので、それで視界を遮断し、森ウルフの混乱を狙う作戦だ。


「いっつも思うんだけど、ザンネンって相手が見えないのに、よく弓を当てられるよね」


 エリーがもっともな事を言う。


「エリー。今から戦闘が始まるんだから、後で質問しましょうね?」


「うーん……。ミリアお姉ちゃんが言うなら仕方ないや。後で聞く!」


 ザンネンはエリーの会話で集中を切らしたりはせず、第一矢を放つ。


 ピシュッ!


 弦が矢を放つ音が響き渡る。


 ザンネンは次々と矢をつがえて放っていく。


「エリー! そろそろ始めてくれ!」


「わかった! アースウォールで足止めするわ!」



 キュルッ!

 キュオッ!


 以前にも聞いた、オオカミだとはとても思えない鳴き声が聞こえてくる。


 そして……。



 匂いで敵の方向を察知した森ウルフが、茂みを迂回しながら二手に分かれて突っ込んでくる。


 ザンネンの放った矢が、背中に刺さったままの個体もいた。


「来たぞ! 気合入れていけよ!」


 トーマスがロングソードを構えて先頭に立つ。


 ザンネンも間接射撃から、目視射撃へ切り替え、手数を増して弓を()る。


 一気に20頭近い森ウルフが突入してくる!


「ザンネン! エリー! 足止めを頼むぞ!」


「アースウォール!」


 エリーの放った魔法で、トーマスの正面以外の前方に4つの土壁が形成されていく。


 高さ2m、横幅3m程度の壁が、20頭のオオカミが全て同じタイミングでトーマスに殺到することを(はば)む。


「僕も牽制する! エリーは次の詠唱を!」


「りょーかい! ミリアお姉ちゃん! 私をフォローしてくれる?」


「ええ! でもどうすればいい?」


「アタシの肩に手を添えてて!」


 私はエリーの肩に、そっと手を添えた。


「お姉ちゃんのMP、ちょっと分けてもらうね!」


 私は時間停止を使っても、MPの消費のようなものは感じたことがない。


 たぶんエリーにMPを分けても問題ないと思う。


「いいよ! エリーのやりたいようにやって!」


「ありがとーお姉ちゃん!」


「来たぞ! 目標2頭!」


 トーマスの間合いに森ウルフが2頭入った……?


 シュッ! ズバッ!


「い、一撃で1頭。しかも一瞬で……!」


 キュオオオ!


 もう片方の森ウルフがトーマスに噛みつこうとする。


 しかし、トーマスは森ウルフの開いた口にそのままロングソードを突き刺し、喉をえぐる。


 そして、2頭目もあっさりと倒す。


「ミリア。トーマスはベテランだ。冒険者ランクはCだけど、僕やエリーと足並み揃えてやってきたんだ。彼の剣の実力自体はBランク以上はあるよ!」


 ザンネンがそう伝えてくる。


(当たり前だけど、私とは剣の腕が全然違う! でもまだ始まったばかり、油断は出来ない)


 さらに5頭の森ウルフが、エリーの土壁を迂回して迫って来る。


「ミリア! アレがもし一気に突っ込んできたら頼む!」


「わかった!」


 そこで詠唱が完了したエリーが、氷魔法を放つ。


「アイス!」


 サッカーボールぐらいのサイズをした氷の塊が、複数形成されて森ウルフめがけて飛んでいく。


 キュオッ! ギャフッ!


 5頭の森ウルフにエリーの放ったアイスが命中していく。


 その内の2頭は、氷の塊が頭に命中して、即死したようだ。


 残りの3頭が突っ込んでくる。


 ザンネンも矢を放っているが、矢を動く目標に当てるのはかなりの技術が必要だ。


 さすがのザンネンも、森ウルフのサイズとスピードで、一発必中とはいかない。


「さらに4頭きた! ミリアここだ!」


「時間停止レベル2!」


 私たち4人以外の全ての時が止まる。


「トーマス。ザンネンには現時点での、敵の配置確認。エリーには次の魔法詠唱。私とあなたは敵を少しでも減らしておく。で、どうかしら?」


トーマスは私が提案してきた事に少し驚いたようだが、すぐうなずく。


「ミリアは戦闘の流れを読むのが上手だな。その手でいこう」


 私だって伊達に現代日本で生きていたわけじゃない。歴史を学び、軍事も少しかじった。


 せっかく時間が止まっているので、森ウルフが今、どのように接近しつつあるのかを偵察するのは重要だ。


 おおよそ次に何頭の森ウルフと対峙することになるのか、把握出来るからだ。


「じゃあ少し偵察してくるよ。ミリア、確か1分間だったよね?」


「そうよ。森ウルフの中で取り残されないように気を付けてね」


「気を付けるよ」


 トーマスは既に目の前の森ウルフの首をはねている。


 私もエリーの肩から手を放し、トーマスの先にいる4頭の森ウルフを倒していく。



 5、4


「みんな! もうすぐ時間が動き出すわ!」


「ザンネン! 配置に戻れ! エリー! 目の前の敵は倒したが次が来たら頼むぞ!」


 エリーは詠唱中なので返事はできないが、うなずいて答えた。


 ザンネンは一番近くの土壁まで戻っていたようで、すぐに元の配置に戻って来た。


「トーマス、生き残りは10頭だよ。一気に来るつもりのようで、まとまって迂回してきそうだ。まだ茂みの辺りにいたから、早くても30秒ぐらいはかかると思う」


「よし、あの木の上へ行けるか?」


「木登りは子供の頃から得意だからね」


 ザンネンは土壁の向こう側へ頭上から直接弓を射るようだ。


 器用に木を登っていく。


「トーマス! 見えてきたよ!」


 ザンネンが大声で報告しつつ、矢を放つ。


 キュオオオオ!

 キュオオ!


 森ウルフの鳴き声が近づいてくる。


「2頭仕留めた! 8頭はもうすぐ……今!」


 トーマスの前方に8頭の森ウルフが現れる。


「アイスランス!」


 エリーが先ほどまでとは違う魔法を放つ。


 槍の形に形成された複数の氷が森ウルフへ向かって飛んでいく。


 ズブ! ズガ! ズン!


 キュルッ!

 ギャンッ!


 槍が突き刺さる音と、森ウルフの断末魔が聞こえる。


「よくやったエリー! 4頭減らしたぞ!」


「へっへーん! 天才のアタシにかかれば、こんなもんよー!」


 エリーは鼻高々(はなたかだか)だ。


「トーマス、時間停止はどうする?」


 そう話しかけた瞬間……。


 キュオオオオ!


 突然、私の右にある茂みから森ウルフが飛び出してきた!


 慌てた私は時間停止を発動しようとするが、気が動転して間に合わない!


「ミリア!」


 トーマスに突き飛ばされ、倒れ込む私。

 トーマスは森ウルフの噛みつきをロングソードで受け止め、そのまま()ね飛ばして斬った。


「ミリア、大丈夫か?」


 ……


 …………キュン。


(ちょっと! キュンとしてる場合じゃないのよ! 戦闘中!)


「え、ええ。ごめんなさい。ちゃんと対処出来なかった」


「慣れたらちゃんと出来るようになる。今は目の前の敵に集中しろ!」


「ありがとう!」


 トーマスと位置が入れ替わった為、私の目の前に4頭の森ウルフが迫る。


「時間停止レベル2!」



 そして私たちは森ウルフの群れをせん(めつ)した。


【ミリアのお便り紹介コーナー】


こんにちは!私はミリア。


主人公で美少女(元男)です!


時間を止めるのが趣味……じゃなくて特技です。


今日はわたし宛に届いた、お手紙を紹介したいと思います。


ミリアルドの町で屋台を経営している、サントスさんからのお便りです。


いつも屋台へ寄ってくれてありがとな!


鼻の下のばした野郎どもが、姉ちゃんが来ないか毎日見に来て、ついでに串焼き買ってくれるから大繁盛だ!


うん、私にそういう意図はないんだけど、繁盛してるなら何よりです。



次はミリアファンクラブ会員No372さんからのお便りです。


好きです! 大好きです! 結婚してください!


……えー、ありがたいお申し出ですが、断固拒否します。



次もミリアファンクラブの方からです。


…………こんな内容を声に出して読めるわけがないでしょうが!


クシャクシャ……ポイッ!


???・・・・・・おい、あの手紙を出したヤツを始末してこい。親衛隊出動!



ごめんなさい、いつものです。


ちなみに本編とは関係がありません。


いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


よろしければそのまま本編(後書きも?)をお楽しみください。


今ならサントスさんの串焼き1年間無料チケットを、ギルマスが熱い抱擁と共に渡してくれます。


引き続きこの小説をお楽しみいただければ幸いです。


ぺこり。

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