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23話 西の森の調査を開始するんだからっ!

前話のあらすじ:エリーがツンデレつるぺた妹キャラへクラスチェンジしたようだ

 街道へ戻った私たちは、色々と情報を交換しながら歩いてゆく。


「ミリアお姉ちゃんは、他の魔法を覚えてみるつもりはない? な、なんだったらアタシが教えてあげてもいいんだからね!」


「え!? 本当に? 今まで魔法を使える人と知り合う機会が無かったから、うれしいよ。西の森の調査が終わったら、ぜひとも教えてもらいたいわ」


 ニコっとエリーに笑いかけると、エリーは顔を赤くしてモジモジし始めた。


 エリーの方から魔法を教える提案をしてくるとは。まさかのデレっぷりである。


「アタシ一人っ子だったんだけど、ずっとお姉ちゃんがいたらいいのにな。って思ってたんだ! ミリアは美人だし、すごいスキルも使えるから、お、お姉ちゃんって呼んでみたいと思ったの!」


(素直にデレると可愛らしい子ね。同じ女の子(私は元男だけど)同士だし、仲良くしよう)


「そうだったのね。私をお姉ちゃんって呼んでくれるのはうれしいわ。これからも仲良くしてね」


 私も前世は一人っ子だった。


 両親は共働きで夜遅くまで帰って来ないことも多く、寂しいと思ったことは何度もある。


 エリーの姉が欲しかったという気持ちもわかる。


「ん? 女の子同士はさすがだな。もう仲良くなったのか?」


「うらやましがってもダメなんだからね! あ、あたしとミリアお姉ちゃんだから仲良くなったのよ!」


「ふふっ。そうか、それは良かったな、エリー。俺は今回ミリアが俺達と同行する話を聞いて、自己紹介している時にはもう、こうなると思っていた」


「ムキー! トーマスのそういう所、戦いではす……、すごいと思うけど。手玉に取られたみたいで気に入らないー!」


 トーマスもエリーの性格はよく理解しているらしく、暖かく見守っているようだ。


 出来た男である。


「僕もエリーに同じ位の年頃の、それも女の子の仲間が出来てうれしいよ。これからはもっとにぎやかに冒険できそうだ」


 ニコニコと嬉しそうにエリーを見ながら、ザンネンが会話に参加する。


(なるほど。トーマスとザンネンから見ても、エリーは妹みたいな存在なのね。いいパーティーじゃない)



 色々と会話をしながら移動していると、あっという間に西の森へ着いた。


 一人で来た時とは体感時間がずいぶんと違っていた。


「よし着いたな。これから癒し草の自生地へ向かう。ザンネン、頼めるか?」


「了解、トーマス。先行するから、後はいつも通りに」


「まかせた」


 ザンネンは斥候なので、周囲のモンスターの気配を探り、接敵(せってき)する前に仲間へ知らせるのが役割だ。


「森ウルフに限らず、モンスターが現れたら、ザンネンの弓でまず足止めし、次に俺があたる。エリーはその間に詠唱してくれ。森の中だから火と風と雷以外で頼むぞ」


「わかった!」


 エリーがうなずく。


「ミリアは状況に応じて時間を止めてくれ。俺が引き受けられるのは森ウルフ相手だと、せいぜい2~3頭が限界だろう。それを超えたぐらいが基準だと思って欲しい」


「あの森ウルフを3頭も相手に出来るの!? すごい腕前ね」


「俺だって伊達にCランクじゃない。それに相手の攻撃を(さば)くことに、専念出来るからこそ可能になる。攻撃自体はエリーの魔法が主体だからな」


(なるほど。3人それぞれの特性を生かして役割分担しているわけね)


 ザンネンは弓で足止めし、敵のかく乱を狙う。


 トーマスはエリーやザンネンに、森ウルフの直接攻撃が及ばないように盾役となる。


 エリーはトーマスが捌いているモンスターに魔法を放つ。


 ベテラン2人と、短期間で冒険者ランクDまで駆け上がった天才魔導士の連携プレーだ。


(私も時間停止以外に、みんなを支援出来る何かを見つけたいわね)



 そう、このパーティーにはアレが足らない。



 私は今の時点では、その何かには気づいていなかった。


「わかった。じゃあ行きましょう」


「ああ」


「はいよ」


「はいはーい!」


 癒し草の自生地へ向けて進んでしばらく歩いていると、先行していたザンネンが戻ってきた。


「トーマス! 癒し草の自生地の辺りを偵察してきたけど、森ウルフが30頭近くいたよ!」


「30頭だと……? ミリアが目撃したのが20頭、そのうち9頭は倒したと聞いたが、増えているのはどういう事だ?」


 私が見たのは20頭前後だったけど、他にも森ウルフがいたのだろうか。


「私が森ウルフを倒した時に、最後は森ウルフの方が逃げていったの。でも一度は逃げたはずの森ウルフが、また戻ってきてるのは、何か理由があるのかな」


 一度は勝てない相手に対する恐怖で尻尾を巻いて逃げ出したのに、また戻ってくるのには理由があるハズだ。


 癒し草の自生地に近付けば、また脅威に遭遇する恐れがある事ぐらいは森ウルフでも理解できるだろう。


 黙っていたエリーが口を開く。


「……似たような事例を、魔法学院の授業で聞いたことがあるわ。モンスター同士でも縄張り争いや、抗争が起こることがあるって。もしかして、森ウルフはもっと強いモンスターに追われて、ここに逃げてきたんじゃない?」


「そういえば、さっき僕が偵察してきた時に、森ウルフが癒し草を食べてたよ! より強いモンスターと戦って、回復効果のある癒し草を求めて、ここに来た可能性はあるね」


 その可能性が一番高そうだ。


 そして、そうだとしたらとてもやっかいだ。


「西の森の調査における主目的は、癒し草自生地近くのモンスターの調査だ。森ウルフには討伐依頼が出ている。もしそれ以上の脅威がいるとすれば、情報だけでも入手しておく必要があるな」


「アタシにかかれば、オーガだろうとドラゴンだろうと楽勝よ! 倒しちゃえばいいんじゃないの!?」


 ツンデレ天才魔導士は自信満々だ。


(ドラゴンはさすがに無理じゃないかな……)


「エリーは自信があるみたいだけど、僕はオーガでもご遠慮させてもらいたいね。命がいくらあっても足らないよ」


 ザンネンが苦笑いする。


「オーガはエリーの火力と、ミリアの時間停止があれば勝てるかもしれんが、ドラゴンなんて俺も相手にした事が無い。だいたい、この森にドラゴンがいるなんて聞いた事がないぞ」


 トーマスもエリーの発言には苦笑いだ。


「ぶー! なによ二人とも! やっぱり冒険者は強い相手を倒して、有名にならなくっちゃ!」


(ごめんねエリー……。たぶん今日の朝の時点で、あなたも有名になってると思う……)


「まずは作戦を決めるぞ。癒し草の自生地周辺にいる、森ウルフは全て討伐する。森ウルフが途中で逃走し始めたら、森ウルフが逃走した方向とは、逆の方向を調査する。逃げるとしても、自分たちが脅威と感じた存在がいる方向には逃げないからな」


 確かにそうだ。


 そして、森から出ることは恐らくない。


 森の周囲は開けた平野になっており、ところどころ草原にはなっているが、森ウルフが身を隠せるほどの草丈(くさたけ)はない。


「森ウルフ以外のモンスターに遭遇した場合に、そのまま戦うか、その対象から逃げるのかは、俺が判断する。俺たちが全滅してしまうようなモンスターがいたら、逃げるしかないからな」


「それでいこうか」


「アタシもそれでいーや!」


「わかったわ」


 私たちは慎重に森ウルフの群れへと近づいていった。

【ミリアファンクラブの実態】


はぁ……。なんと美しい。


会長室にあるミリアの絵画を眺める。


吾輩はミリアファンクラブの総帥だ。現在の会員数はミリアルドの町全体で1200人を超える。


親衛隊とは密に連携を取っているが、一般の会員はその事を知らない。実は親衛隊の総帥は私だからだ。


つまり、ミリアファンクラブとミリア親衛隊は吾輩の配下にある。


これならば、吾輩の私兵を親衛隊に組み込んだ事もバレないだろう。


ハッハッハ!


???……ジェイドさま? ちょっとお話があります。地下室へ行きましょうか……。


ち、違うのだ! わかっているとは思うが、これは作者がだな!!



ごめんなさい、いつものです。


ちなみに本編とは関係がありません。


いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


よろしければそのまま本編(後書きも?)をお楽しみください。


今なら、ミリア親衛隊の1日体験入隊(3食昼寝付き)を無料でご体験いただけます。


引き続きこの小説をお楽しみいただければ幸いです。


ぺこり。

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