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22話 パーティーで時間停止を実践してみよう

前話のあらすじ:時間停止レベル2を他の人と一緒に、初めて使うことになった

 パーティーのみんなに私の時間停止レベル2がちゃんと機能するのか。


 それと時間停止によって、エリーの詠唱が妨害されたり、中断されないかの確認をするべく、私たちは街道をそれて、人気のない草むらに向かう。


「よし、ここなら他の通行人に何らかの影響が出る心配も少ないだろう」


「そうですね、近くに人間やモンスターの気配はありませんし、大丈夫です」


(まずは私が皆の時間を止めないように出来なきゃダメよね)


「ちょっと準備させてもらってもいいかしら?」


「ああ、大丈夫だ。その間に俺とザンネンは武器の準備。エリーは威力の低いアイスでいくか? それともウォーターか?」


 たぶんアイスは氷属性魔法。ウォーターは水属性魔法だろう。


(時間があったら、エリーに魔法について聞いてみよう)


 いちおう職業は魔導士なので、他の魔法も練習すれば使えるかもしれない。


「ここは草原だし、モンスター相手に使うわけじゃないから、アイスでいくわ! ウォーターで威力を落とすと、草原じゃ効果がわかりづらいから」


 私はパーソナルウィンドウを開いて、時間停止レベル2の説明書きを改めて読んだ。


(うーん、これを読むかぎりじゃ、どうやって私以外の人と時を共有することに許可を出すのかが、わからないのよね)


 と思っていたら、スキル説明画面の端っこにそれがあった。


 どうやら対象人物の目の前で、その人物の名前と、時間停止の影響から除外(じょがい)する。


 そのように発言すればよいようだ。


 解除する場合は逆に、目の前で時間停止の対象に戻す、でいいらしい。


(試してみないとね)


「トーマス。時間が止まらないようにする為に、対象設定のようなものをやりたいのだけど、いいかしら? 危険はないはずよ」


「準備が出来たか? 最初は俺にやってくれ」


「いや、最初は僕がやってもらおう。トーマスは僕の次に頼む。エリーが最後でいいかい?」


「アタシはどの順番でも構わないからいいわよ。詠唱は始めちゃってもいいの?」


「まだ時間は止めないから、もうちょっと待ってね、エリー」


「ぶー! アタシの出番がなかなか来ないじゃない! でも仕方がないから待ってあげるわ!」


 相変わらずのツンデレぶりである。


「じゃあ、まずはザンネンからやるわね」


 私はザンネンの前に向かう。


「ザンネン・ソレガアッタを時間停止の支配から除外する!」


 ザンネンの体がうっすらと光った。その光が、対象設定をちゃんと出来た印なのだろう。


「なんだか光った気がするけど、これでいいのかい?」


「恐らくこれでいいはずよ。次はトーマスね?」


「ああ、よろしく頼む」


 同様にトーマスとエリーに時間停止の対象設定をすませる。


「これで皆終わったな。エリー、詠唱を始めてくれ。ミリアには詠唱がそろそろ終わる時に伝えるから、時間を止めてくれるか?」


 トーマスはさすがベテランだ。私が魔法について(うと)いことは見抜いている。


「わかった、じゃあエリーお願いね」


「アタシにまかせて! いくよ!」


 エリーが詠唱を開始していく。


 この世界の魔法は自身のMPを消費し、イメージした現象を起こすタイプのようだ。


「そろそろ詠唱が終わる。ミリア頼む」


 トーマスがエリーの詠唱完了が近いことを知らせてくる。


「時間停止レベル2!」


 少しの衝撃を感じた後で、時間が止まる。


 他のみんなを見渡すと、トーマス、ザンネン、エリーの3人の時間は止まっていなかった。


 そのままエリーが魔法を発動する。


「アイス!」


 小さな氷の塊が、地面に向けて複数飛んでいく。


 ズガガガ!


 氷の塊は草原の地面に衝突し、草ごと小さくえぐり取った。


 トーマスとザンネンも、ロングソードを素振りしてみたり、矢を放ってみたりして、体の動きに違和感がないか等を確認している。


「とりあえず皆の時間が止まらないようにする事には成功したみたいね。エリーも魔法を発動出来ていたし、問題なさそうね」


 一安心である。私以外のみんなの時間が止まってしまうと、パーティーでの連携としては、失敗なのだ。


「ああ、これならミリアが時間を止めている間に俺とザンネン、エリーも攻撃が出来そうだな。時間が止まっていても違和感はない」


 頭の中にカウントダウンが響いてくる。


「もうそろそろ時間が動き出すわ。3、2、1……」


 全ての時間が動き出す。


「実際に戦闘したわけじゃないけど、これはすごく有利に戦闘を運べそうだね」


 ザンネンが言う。


「……聞いてはいたけど、本当にこんな事が可能だなんて……。現在の魔法技術を全て駆使しても、こんな超常現象は再現できないわ。アタシに理解できない事があっただなんて……」


 エリーが驚いた顔を向けてくる。


「ねぇ、最初会った時にアタシが偉そうな態度をとった事はあやまるわ。そ、その代わりにミリアのことを、ミリアお姉ちゃんって呼んでもいい?」


「え!?」


 あまりの急展開に驚きが隠せない。



 何がどうなったら、ツンデレつるぺたロリから、つるぺたロリ妹にクラスチェンジするのか。



「あ、あのね! 私は一応すごいと思った人には素直になるようにしてるの! わ、私ももちろんすごいけど、ミリアお姉ちゃんのことも、認めてあげてもいいのよ!」


(ツンデレはツンデレで続けるのね。これはまたどこかのお兄さんが放っておかないわね)


 私とエリーの話が長引きそうだと、トーマスがさえぎる。


「ミリアの時間停止が切り札になることはわかった。街道へ戻って、西の森へ向かおう」


 トーマスはベテランだけあって冷静沈着だ。


 準備をしてきているとはいえ、調査にどれだけ時間がかかるのかは不透明なのだ。


 エリーからの突然のお姉ちゃん呼びはさておき、西の森へ向かうことになった。

【トーマスによるパーティー紹介のコーナー】


俺はトーマス。剣士で冒険者をやっている。


今日は俺の仲間を紹介したい。



まずはザンネンだ。


けん玉に絶対失敗しないスキルという、かわいそうになるようなスキルを持ちながら、努力する姿を見てきた。


当時の俺はソロ冒険者だった。性格も良く、努力家のザンネンを仲間に誘ったのは俺からだ。



そしてエリー。


彼女は冒険者ギルドに冒険者登録をしに来たその日に、他の冒険者と揉めごとを起こした。


見かねて仲裁に入った俺は、エリーの高圧的な態度を注意した。あまり怒られた事が無かったのか、エリーは泣きじゃくった。


一通り泣いてから、落ち着いた彼女の方から、仲間にしてくれと提案してきたのだ。


才能にあふれてはいるが、彼女はまだ若い。


元々の彼女は、寂しがりやの少女なのだろう。



最後はミリア。


彼女については、これから物語が始まっていくだろう。



ごめんなさい、いつものです。


珍しい事に、今回は本編と関係がある……というより補足です。

いやもうそれ、本編に書けよと言われそうですが(汗)



いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


今回は真面目な後書きコーナーだったので、プレゼントネタはありません。

長すぎる後書きが今回のプレゼントです。


ぺこり。

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