19話 はじめての仲間はどんな人?
前話のあらすじ:ムキムキギルマスの人気に嫉妬した。
……ではなく。
本当の前話のあらすじ:男性との恋愛について悩まされたので、ドレスを着て一旦忘れることにした。
「あのワイン美味しかったなー。今日は気分よく寝られそう」
この世界は15歳で成人する為、私の年齢ならお酒が飲めるのだ。
ドレスを脱いでパジャマになると、私はベッドに寝っ転がる。
「明日はギルドへ行って、そのまま西の森の調査かな。今日は早めに寝よう」
すぐに私は眠りについた。
そして翌朝。
カバンに入れた荷物を再確認してから、私はギルドへ向かう。
もちろんルーチンワークを済ませて、朝食を食べたらほっぺた落ちたのはもはや当然だ。
西の森の調査で野宿する可能性もあるけれど、既に4泊している部屋に愛着もあるので、部屋は引き払わなかった。
今回持っていかない分のタオルや着替えも置いておく必要がある。
宿のスタッフに聞いた所によると、この世界に写真は存在するらしい。
特殊な魔法を使用できる人間と、写真として紙に転写する設備が必要なので、規模の大きいミリアルドとはいえ1件しか写真屋は無いらしい。
場所は聞いたけど、自分のドレス姿を写真に収めるのは、西の森の調査が終わってからだ。
サントスさんの屋台は、だいたい10時ごろから営業の準備を始めるので、早朝である今はやっていない。
冒険者ギルドはなんと6時~18時の鬼のような長時間営業である。
毎日たくさんの冒険者が出発前に来るのだから、朝早いのは仕方ないだろう。
ソーマやその他の受付嬢の疲労が心配である。実際は途中で休憩していると思うけど。
ちなみにザイゲルさんは、24時間働いても平気そうだから、心配していない。
というか、働いてる時間も筋トレするぐらいなので、帰ってからも筋トレしているだろう。
そうこうしていると冒険者ギルドに着いたので、ソーマの所へ向かう。
「おはようソーマ!」
「あ、おはようございます! ミリアさん」
「西の森の調査と、森ウルフ討伐に応募してきた人達はいたかな?」
「はい! ベテラン冒険者を含む3人のパーティーが1組応募してきたのと、ミリアさんがとんでもなく美人だと聞いた、男性のみの冒険者パーティーがたくさん集まったんですが、実力も不足していましたし、動機が不純なので、除外しておきました!」
さすがはソーマ。
有能である。
私がギルマスだったら秘書にしたいぐらいだ。
「私が美人って……。誰がそんな噂を流したのよ……」
「あれ? 気付いてませんでしたか? ミリアルドの冒険者ギルドに集まる冒険者たちの間では、ミリアさんはアイドル状態で、めちゃくちゃ話題になってるんですよ?」
うわぁ。
視線にはもちろん気づいていたけれど、そんな事になっていたのか。
その内ファンクラブとか出来かねない。
「ちなみにもうファンクラブが結成されているらしくて、親衛隊を名乗る人も出始めましたよ?」
(あ、もうファンクラブあるのね……。なんか私が意図していない所で色々と進行してて、むしろちょっと困るんですけど……)
「そ、そうなのね。ビックリを通り越してもうどうなってるのか怖いくらいだわ」
「ミリアさんに悪い事をしそうな冒険者は親衛隊に目を付けられて、消し去られるという噂も流れてますので、悪い事じゃないと思います。夜道も安心かもしれませんね♪」
(な、なんてこったい。そんな事にまで話が進んでるの? いや、噂は噂。気にしすぎると私の頭がついていかないわ……。)
はぁ……。とため息をつきながらも、話題を変える
「えーと、ソーマの話によると、実際に同行するパーティーの方は1組で決まってるっていう事でよかった?」
さっきの話を聞く限りだと選択肢は一つしか無いということだ。
「はい、ギルマスもミリアさんを危険にさらす事がないように選考を手伝ってくれましたから、問題ないと思います」
ちょっと待て。
(ザイゲルさんが選考を手伝ったっていう事は、ムキムキマッチョの3人組だったりしないでしょうね!?)
考えるだけでもむさ苦しい。
そんなのは絶対にゴメンである。
「ねぇ、まさかとは思うけど、ムキムキマッチョの3人組じゃないよね……?」
「あはは、ギルマスがそんな選択をしかけましたが、私がギルマスの弱みを突きつけて黙らせておきましたから、ちゃんとまともな人達です。それに一人は女性ですよ」
「やっぱりそうだったのー!?」
ザイゲルさんは期待を裏切らなかった。
(あの人の筋肉好きもよっぽどね)
そして、ソーマが優秀すぎる。
もし私が偉くなったらミリアルドの冒険者ギルドから引き抜こう。
そう心に誓った。
一人女性がいるパーティーならマッチョが絡んだりしないだろう。
安心だ。
「大丈夫ですよ、ちゃんとした人達ですから」
「これから顔合わせするのよね?」
「はい! あそこのテーブルで待ってる人達がそうです」
ソーマが指さしたテーブルを見てみると、男性が2人と女性が1人いた。
女性は私より見た目が若そうだ。
(男2人もマッチョじゃなくて普通の人みたいだし、女の子は結構オーラがあるし大丈夫そうね)
とりあえず胸をなでおろした私は、ソーマと一緒にそのテーブルへ向かう。
「トーマスさん、こちらが今回の西の森の調査依頼と、森ウルフの討伐依頼に同行してくださるミリアさんです」
トーマスと言う男がパーティーの代表者なのだろう。
私も挨拶に備えて、気を引き締めた。
【ミリアさま親衛隊の日常】
栄えあるミリアさま親衛隊に入隊した新人ども! よく聞け!
この世に舞い降りた女神さまのような、可憐であり、神々(こうごう)しいミリアさまを
そこらに蔓延るいやしい男どもからお守りするのが、我々の使命だ!
ミリアさまがすべて!
ミリアさまが正義!
ミリアさまの為に命を投げ出せ!
ミリアさまの安全を守る為とはいえ、ミリアさまの周囲に我々が近づくことは許されない。ミリアさまの日常を脅かすものを、先行して始末するのだ!
ジーク・ミリア! ジーク・ミリア!
???……わたし、どうなっちゃうんだろう……。
すいません、いつものです。
本編とは関係ありません。
いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!
よろしければそのまま本編(後書きも?)をお楽しみください。
今なら、ミリアファンクラブの入会費を半額に割引します。
感想もお待ちしております。
ぺこり。