1話 女神様にイタズラしてみよう
前話のあらすじ:転生したら時間を制御出来るスキルを貰えましたが、女性になってしまいました。
「まぁまぁ、その内慣れますから。ね!? 前例もちゃんとありますから……安心安全ですよ?」
この女神さまの安心安全はイマイチ信用ならない気がするが、今は素直に従っておこう。
転生させてくれたことに感謝する気持ちもある。
「わかりました、とりあえず頂戴したスキルを試してみたいのですが、かまいませんか?」
「ちょっとだけですよ? 次の方も控えていますから、手短にお願いしますね?」
結構転生する人は多いらしい。
ただ、それが俺が行く予定の世界と同じなのかはわからない。
「えーと、スキルを使うにはどうしたらいいのですか?」
「二つやり方があります。窓を開くように念じるとウィンドウが開きますから、そこから選択して使うか、特定のスキルを強く念じて使うかです。よく言う無詠唱のようなものですね」
俺、いや違和感があるな……。はぁー。
【私】は窓を開くイメージをしてみた。その瞬間、目の前にウィンドウが現れる。
(タッチパネル方式かな?スタートってとこを押せばいいんだろうか?)
スタートと書いてあるボタンにポチッと触れてみる。
(おぉぉ! HPだとかMPだとか装備だとかスキルだとか色々表示されてる!)
スキルを試してみるのだからスキルを押してみる。
【時間制御】と書かれたスキルと、【異世界言語理解】【異世界言語読解記述】というスキルが並んでいた。
(時間制御がもらった特殊なスキル。異世界言語理解と異世界言語読解記述は、女神様が言ってた異世界で言葉に困らないようになるスキルか)
私はとりあえず時間制御スキルのボタンを押した。
(おぉー、色々スキルツリーが出てきたぞ)
時間制御と言っても、色々あるようだ。
ただし、スキルツリーの先に何があるのかは、現時点ではわからない。経験値のようなものを貯めて、開放していくシステムのようだ。ただし経験値がどれくらいあるのかは視認できない。
どこかのRPGゲームのようなシステムだ。
(えぇと、今使えるのは時間停止レベル1か。とりあえずこれを使ってみようかな)
時間停止レベル1のボタンを押してみると、スキルの画面が切り替わる。
(あ、1回押すだけだと、スキルの説明が表示されるのか。時間停止レベル1だと自分以外の全ての時間を30秒止められるのか)
説明欄のしたにスキルを使用しますか? YES NO と2つのボタンがあったので、迷わずYESを押す。
すると突然、エレベーターが止まった時のような感覚に襲われた。
これが時間が止まった衝撃のようなものなのかもしれない。
(本当に時間が止まったのかな? 確かめる手段があれば良いんだけど)
時間を止められると言われても、実感がわかない。本当に時間が止まったのか、定かではない。
周囲の景色は動いている……ような気がする。
ここは神様の世界? のような不思議な場所である為、時間が止まったのかの確認のしようがない。
(しかし、ウィンドウを開いてスキルを使用するのは、時間がかかるから実用的じゃないな。普段使うなら、強く念じるやり方の方が良さそうだ)
そして女神さまへと視線を移すと……。
「うん? あれ? 女神さま止まってないですか???」
あろうことか、女神さまがまったく動いていない。
神様の時間まで止めてしまうスキルって、アカンやつやん……。
「本当に女神さまの時間が止まったとは限らないし、イタズラしてみよう。この女神さまいやらしい身体してるし。うへへへ……」
私の前世は恋人もいない、童貞だったのだ。
時間が止まったと言われれば、やる事は一つしかないのだ。
私は女神さまに近付き、その豊かなおっぱいに触れてみる。
すごく柔らかくて大きいのに適度なハリもあり、ふわぷにだった。
「女同士だし、ちょっとしたじゃれ合いだよね♪」
私(俺)は女になった事を、この時ばかりは都合よく考えた。
女の子同士でおっぱいを揉み合うぐらいは、じゃれ合いの内だと。
女神様は時間が止まっているし、大丈夫だろうと。
安易に考えたのだった。
【女神様がぼやくコーナー】
毎日毎日たくさんの転生者を扱わなないといけないのは、本当に忙しいんです。
今日来たこの人も見た目凡人、どう見ても女っ気がない童貞さんに見えます。
ちまたで人気のおっさんと違って若いだけまだましですが。
そう思っていたら私まで時間を止められました!
どうなってしまうのでしょう、この女(元男)……。
ごめんなさい、ネタです。
ちなみに本編とは関係ありません。
引き続きこの小説をお楽しみいただければ幸いです。
ぺこり。




