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17話 マッチョと受付嬢×2と相談した後は?

前話のあらすじ:ギルドマスターは相変わらず平常運転だった

「ところで、西の森の調査についてだが、森ウルフには正式にギルドから討伐依頼を出す事にしよう。報酬は1頭当たり銀貨5枚だ。報酬の中に毛皮の買い取り代金も含まれているから、殺した後で毛皮を()いで持ち帰ってくれ」


「毛皮を剥いだような経験はないんですが……」


「同行する冒険者に剥げる者がいるだろうから大丈夫だ。同行するパーティーは、癒し草の自生地周辺にいるモンスターの調査の依頼と、森ウルフの討伐依頼を受けられるレベルの者だ。それなりの実力者じゃなきゃこの二つの依頼は受けられない。Cランク以上の冒険者に依頼を出すからな」


 それならば安心かもしれない。第一、私にはまだ冒険者の知り合いがいない。


 私は時間を止める事が出来るけれど、私自身の戦闘力は非常に低い。


 そして女性の体だと言う事もあるけれど、時間停止以外の魔法が今の所使えない。


 時間停止レベル2で時間を止めている間に、私よりも戦いに向いたパーティーメンバーに攻撃してもらうのは、現実的な選択肢だ。


 もちろん剣や魔法の技術は磨きたいが、時間停止スキルが成長して、私が認めた人物は私と共に時間停止の影響を受けなくなるのだ。


 仲間の存在は無視出来ない。


「わかりました。毛皮剥ぎ出来る方でお願いします。私は正直あの(にお)いに耐えられそうにないです」


「クエスト報酬受付にいると、森ウルフよりもっと(ひど)いのも毎日取り扱いますよ。リザードマンのウロコや、カープバリアント丸ごととか。冒険者を続けていればきっと慣れます」


 受付嬢が体験談を語る。


(リザードマンはなんとなくわかるけれど、カープバリアントってなんだろう)


 気になる。


「西の森の調査については、危険を(ともな)う依頼でもあるから、前金で金貨1枚支払おう。調査の結果によって、報酬を追加で支払う場合もある」


「結果次第というわけですね」


「まぁ、依頼を出してから応募してくる連中が集まるまでに時間もかかるだろう。今日はゆっくり休んで、明日またギルドに顔を出してくれ」


 森ウルフの討伐はまだしも、西の森の調査は1日で終わるとは限らない。雨具の件もそうだけれど、野宿に備えて色々と買っておかないといけないだろう。


(美少女の(たしな)みもあるしね)


「わかりました。じゃあまた明日の朝にギルドへ来るようにします」


「うむ、応募してきたパーティーとの顔会わせなどはソーマに任せるので、明日はソーマの所へ行ってくれ」


「はい。では私はこれで失礼しますね」


 私は受付嬢×2と共に変態の居城を後にする。


「ふう、なんだか冒険者登録したばかりなのに、色々と大変になってきたわね」


「仕方ないですよ。ミリアさんの時間停止スキルが特殊すぎるんですから」


「そうですね。時間を止められるんですから」


 受付嬢×2と、たわいもない話や、町で流行っているスイーツの情報交換をしてから、冒険者ギルドを後にした。



 パーソナルウィンドウを開いて時間を確認する。


「お昼前か。今日はサントスさんの屋台で串焼き買おうかな。それと午後はどうしようかなー」


 とりあえずサントスさんの屋台へ向かいながら、午後の予定についてウンウン考えていると、声をかけられた。


「よぉ、お姉ちゃん。俺とこれからイイことしないか?」


 チンピラ風の男があらわれた!



 選択肢

 1:話だけは聞いてやる

 2:とりあえず一発殴る

 3:時間を止めてこの場を離れる

 4:無言で立ち去る


(こういうお約束の展開は、女になってから初めてね。選択肢は3にしとこう)


 面倒くさそうなので、時間を止めて姿をくらます事にした。

 大体こんな声がけをしてくる上にチンピラっぽいので、相手にしてもロクな事がないだろう。


(時間停止!)


 私以外の全ての時間が止まる。


 時間が止まっているチンピラ風の男にちょっとイタズラしておこう。


(ズボンを切り裂いて下着を露出させてやるか)


 ショートソードを取り出して、チンピラのズボンにあてがい、器用にジョキジョキと切っていく。


(ふう、これで時間が進み始めたらこの男は赤っ恥ね。完璧美少女である私に声をかけるだなんて一万年早いのよ)


 私は容赦(ようしゃ)がなかった。


 途中で時間が進みそうだったので、スキルをすぐ使いなおし、その場を後にした。


「さて、チンピラも無事撃退したことだし、サントスさんの所へいこう」


 お昼時なので、サントスさんの屋台は大繁盛(だいはんじょう)だ。

 順番に並んで、その時を待つ。


「サントスさんこんにちは! 今日は串焼き買いに来たよー」


「おう姉ちゃん! 今日もキレイだな! 何本買ってくよ?」


「うーん……。今日は3本で!」


「ありがとよ! 焼き立てを出すから、横でちょっと待っててくれ!」


 混雑している事もあって、他のお客さんには焼きあがった串を再加熱したものを渡しているので、私だけの特別サービスだ。


「ほい! 出来たぞ! 姉ちゃんは銅貨12枚でいいぞ!」


 しかも割引価格だ。


 美少女って素敵。


「ありがとう! サントスさんの串焼き美味しいからね!」


 お礼もかねて、サントスさんのオーク肉の串焼きが美味しい事が周りにも聞こえるように、大声でアピールしておいた。


 串焼き3本をペロリと(たい)らげた私は再度、この後どうするか考えこむのであった。


【豆知識のコーナー】


よくぞいらっしゃった。ここは登場人物についての豆知識を授けるコーナーじゃ。


カープバリアントというモンスターの名前が出てきたのう?カープは(こい)。バリアントは異形(いけい)じゃ。


まぁつまり異形の鯉というわけじゃ。


ほっほっほ。



いつもお読みくださいまして、ありがとうございます。


よろしければそのまま先をお読みください。


今なら、ギルドの受付嬢と「一晩」デート出来るチケットが貰えるかもしれません。


ぺこり。

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