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プロローグ 時間を制する者

始まるよ!

「ふわぁ…。今日もいい天気だなぁ」


 俺は渡部(わたなべ) 和人(かずと)、24歳。


 どこにでもいる平凡な普通のサラリーマンだと自分では思っている。普通に女性が好きだが、あいにくあまり出会いには恵まれていない。


 今は本日発売の連載漫画の最新刊を買いに、本屋へ向かっている途中だ。


「今日発売の新刊を読みたくて、それを(かて)にここ数日の仕事を頑張ってきたぐらいだから、楽しみだね」


 交差点に差し掛かり、信号が赤だったのでスマホをいじりながら信号待ちする。


「お、もう最新刊のネタバレがコマッターに上がってる。見ないようにしよう」


 そうこうしていると、突然スキール音が聞こえてくる。


「こんな街中でキィキィ言わすなんて、物好きな人もいるなー…」


 まるでタイヤがスリップしたかのようだ…と思っていたら。


 ガシャーン!!


 スマホに目を落としたままつぶやく俺に、突然衝撃が走り、壁に叩きつけられた。


 周りにいた人の悲鳴が聞こえ、激痛が走り意識が混沌(こんとん)とする中で、目の前を見る。


「がはっ!」


 どうやら俺は暴走して歩道に乗り上げた車に衝突され、そのまま背後にあるコンビニの外壁に叩きつけられたようだ。


 一瞬で思考力が落ち始め、目の前が真っ暗になってくる…。



 次に気づいた時、俺は真っ青な空の上で、白い雲に乗っていた。


「俺死んじゃったのかな。新刊読みたかったのに…」


 頭の理解が追い付いていないので、まだ自分の死の実感が湧かなかった。


 そして俺の目の前には、絶世の美女と言っても差し支えない上に、すごい巨乳の女性がいる。


 目の前の女性が口を開く。


「貴女は地球世界において死亡しました。不幸な亡くなり方でしたので、もう一度生き返り、違う世界において次の人生を送る権利を与えます」


「えぇと、それはありがたいのですが、どういった世界に生まれ変わるのですか?」


 まだ死ぬには若かったし、違う人生が送れるのならば、それに越した事はない。


「貴女が元いた世界とは文明が少し異なりますが、ありがちに言えば魔法の使えるファンタジーな世界です」


 魔法とファンタジーの世界!?


(ゲームやラノベの世界に行って、冒険者になってチーレム築いたり出来るかも!さらば俺の童貞ライフ!ついに出番が来たぞ!我が息子(トーテムポール)よ!)


 俺は舞い上がった。


「また、貴女には一つ特殊なスキルを与えます。それを活用して異なる世界でも上手く生活して下さい。あ、その世界で言葉に困らないように、会話や読み書きに関するスキルも授けておきますね」


 それにしてもこの女神様ボインボインですごい身体してやがるぜ。


 とか(よこしま)な事を思っていると、便利な翻訳スキルを頂戴できた。


「はい、ありがとうございます。えーと、頂ける特殊なスキルというのは、どういった物でしょうか?」


「あなたには時間を制御出来るスキルを授けます。……これは特別なスキルなので、あまり口外しない方がよいと思います。それとこのスキルは使い方によっては大変危険なものです。くれぐれもご注意くださいね」


 おぉぉ、これは期待出来る。


 でも青いね〇型ロボットが出てきたアニメが大好きな俺が、子供の頃から夢見てきた事を実現したら、きっと楽しく生活出来るはず。


「はぁー…。なぜ男性が…。これも創造神さまのお導きでしょうか」


 ボインの女神さまは一呼吸おいてからボソッと何かを言ったようだ。俺には聞き取れなかった。


「ありがとうございます。ところで先ほどから俺の事を【貴女】と呼んでいらっしゃるようですが、俺は男なので【貴方】が正しいのではないでしょうか?」


「じ、実は転生する方には副作用として、元の性別と逆の性別になってしまう事があります。とりあえずはご自身の体をご覧になってください」


 女神様はそう言いながら、何もない空に鏡を召喚した。


「……えぇぇー!?」


 鏡に映っていたのは日本にいるどんなアイドルよりも可愛く感じる顔、大きくも形が良さそうなおっぱい、くびれたウェスト、ボンっとまではいかない、小ぶりながらもバランスが取れたお尻。


 そしてすらりとした足。


「完全に女にしか見えませんけど……」


「えーと、えーと……。はい、貴女は女性になられたようですね。しばらくは慣れないでしょうが、是非頑張ってください」


「? 女神様なんか焦っていませんか? 副作用が出た方って本当に前例があるんですか!?」


「ももも、もちろんで、ですとも!? 前例が無いなんて事ありませんよ。あははは……」


 怪しい。


 この女神様、何かに失敗したのではなかろうな。


 時間を制御するなんて神の領域のはずなのに、そんなスキルをあっさり頂戴出来るなんて、何か気負う事があるに違いない。


「便利そうなスキル貰えたし、まぁいっかー!」


「は、はい、性別が変わってしまった事なんて、些細な事ですよ! これから異世界ライフを満喫してくださいね?」


 あ、俺まだ童貞だった。どうしよう。

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。


引き続き本編をお楽しみいただけると幸いです。


ぺこり

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