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材料集め

「何やっているのかしら」


 マリアベルはそんなことを言って洋平の目を見つめたが、対して「奴隷を可愛がってただけです」と答えるのみ。


 そのうち諦めたのか、はあっとため息をつき「気をつけなさい」と忠告される。


 その後、マリアベルは調理するためにその場を離れたが、アオもその後ろに続いた。


 アカいわくアオが久しぶりに料理をするとの事で洋平は楽しみにしていたのだが、それでも一番に食べたいものは食べられないだろう。


「楽しみにしているよ」


 そうは言ったが故郷の味がもう食べられないと思うと、洋平は少し身を震わせた。元の世界に戻りたいとは思わないが、それでも和食と呼ばれる、自身の口に合うものを食べたいという欲求が収まるわけがない。


 その後の食事も和やかに進んだ。


 そこまで悪魔や奴隷に忌避感を抱いていないマリアベルと双子はすぐに打ち解ける。そのまま「いい子じゃない」や「手を出すのはもう少し後にしなさい」と言われていたのはご愛嬌だろう。


 食事も終え銀の食器がカチャカチャと音を立てる。大きな体躯で細やかな気配りを食器に向けながらシンクへと向かうのだが、そんな中で洋平が呼び止めた。


「聞きたいことがあるんだけど」

「あら、話し方が変わったわね。二人のおかげかしら」


 洋平は頭を掻きながら前髪を垂らした。主に赤くなった頬を隠すためだろう。


「そういうことするよ。そうじゃなくて俺って錬金術師だろ? だからなにか金属系の素材が手に入る場所が欲しくてさ」

「あー金属系ねぇ。……鉄や銅とかでいいのかしら。運が良ければゴーレム石とかも手に入るわね」

「いいな、そこって遠いいのかな」


 マリアベルは少し頭を傾げてから、

「私なら一日で帰ってこれるわね」

「……それってかなり遠いいよな」


 自分がまだクリアしていないダンジョンよりも上級のクィーンをクリアしているマリアベルだ。それだけステータスが高いことを洋平は理解している。


「今日行ったらそこの採掘場の依頼が出ていたわ。明日、三人で行ってみたら?」

「そうか……後、これを」


 洋平は麻袋から金貨を数枚取り出した。


「あら、なにかしら」

「宿代と二人に服を作って欲しい」


 そんなことを呟いてから洋平は逃げるようにその場を後にした。


「あらあら、恥ずかしがらなくてもいいのに。初心ねぇ、こんなに高い服があるわけないのに」


 マリアベルの女性のような高い笑い声が響いた。




 ◇◇◇




 朝である。洋平の意見が通りマリアベルの部屋で双子が寝ることになった。


 まだ童貞である洋平にとっては可愛らしい女性二人と夜を共にすることは、精神がすり減り続ける行為であった。


 すぐに自身の枕元にサンタクロースが持ちそうな大きな袋があるのに気づいたが、収納して中を確認するのをやめた。マリアベルが服を渡してくれたのだろうと洋平は気づいていたからだ。


 そのまま一人の部屋を出て階段を降りる。昨日のようにマリアベルがいない、なんてこともなく洋平の顔を見てにこりと微笑んだ。


「……おはようございます」

「おはよう、二人とももう起きているわよ」


 頭をぺこりと下げ洋平は席に座った。


「おはようございます」


 アカはそう言いアオは頭を下げた。


 マリアベルがその後に食事を持って戻ってくる。四名全員が座り食事を始めた。


「それで昨日言っていた採掘場には行くのかしら?」

「はい、奴隷商である物を買ってくれると言っていたので、そのためには素材が足りないんですよね」

「……採掘場は確か閉鎖中では?」


 アカがその話へと加わった。アオも思案気味に首を捻っていた。


「それがね、どこかのSランク冒険者の手でそこに蔓延っていた魔物は全滅したのよ」


 洋平はすぐに気づいた。そのSランク冒険者がマリアベルであることに。


「じゃあ安全なんですね」

「魔物のいる場所に安全な場所はないわよ」


 アカの言葉にマリアベルはそう戒めた。


 アカは首を縦に振り自身の考えを改める。


「まあ、そんなところね。とりあえず行くにしても気をつけて。少なくともジャックをクリアできるほどでないと倒せない魔物もいるから」


 そこで会話は終わり三人は食事を早々と終えた。日差しも強くなり始めた八時頃、冒険者に三人は現れる。


「いらっしゃい!」


 二日ぶりとはいえ昨日、洋平と会えなかったエリシャはすぐに彼を視界に捕らえた。


 もちろん、そんなことを知る由もないが洋平は慣れているエリシャの列に並んだ。すぐに自身の番が来て洋平は嬉しかったが、その分他の冒険者たちは雑に扱われた。


「おはようございます。それでそちらのお二人は?」

「ああ、一人だと力不足を感じて奴隷を買ったんです」

「……初めましてアカとアオです」


 エリシャは見た目からこんなに幼いのに力があるのだろうか、と思ったがその考えを頭から消した。


 よくよく考えてみれば洋平はあまりガタイがいいというわけでもないのに、コロニーを潰したのだ。この二人もそれができてもおかしくないと。


「それで今日の用事はどのようなことですか?」


 少し苛立ち紛れにそうエリシャは聞いた。


「えっと、採掘場の依頼があると聞いたんですけど」


 エリシャは固まった。

なんとか書けました。次回からタイトル回収し始めるのでお楽しみに。週1か2で書けるように努力します。


後、夏バテ気味になってきました。休みが欲しいですね(笑)


これからもイヤホンをよろしくお願いします。ブックマークや評価等もよろしくお願いします。

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