表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/49

奴隷面接〜悪魔の双子〜

多分、書き足しをするかと。

少し矛盾してそうで……。

「あなたが客ね。悪いことは言わないわ。私たちを買うのを辞めなさい」


 開口一番に悪魔の双子の片割れが言った言葉である。


「まあ、自己紹介くらいは聞かせてくれ」


 洋平のその言葉にため息を吐き、「必要性を感じないわ」と言う少女。もう片方の子は何も言わずに黙っている。


 二人は座ることなく洋平の目の前に立ち、見下ろし見下す。


 まるで人などこのようなものだと言わんばかりに。


「必要性を君たちが見出すのか?」

「そうよ、少なくとも誰かに命令されるのは好きじゃないの」


 顎に手を当て少し悩んだ素振りを見せてから、洋平は人差し指を立てた。


「アカとアオ、悪魔とあるけど本当かな」


 アカははっと嘲笑いながら、「わかってるならそれでいいじゃない」と声を荒らげた。


「ならおおよその察しはつく」


 ゲームの中でも悪魔というのは好かれていなかった。プレイヤーキルを中心としており、そのステータスも計り知れない。


 それを仲間にできれば、なんて考えるプレイヤーも少なくなかった。


 そして悪魔がどれだけ嫌われているかというと、悪魔に加担した人がいた国が滅ぶほどだ。


 それだけ恐怖を覚えさせる悪魔。洋平は小さく唾を飲んだ。


「お前らハーフか?」


 氷の塊が飛んだ。


 それをレヴァティーンで叩き切る。


 アオは「次言ったら殺す」と洋平を睨みつける。対してその視線のする先へ向かって、「だから?」と返している。


 洋平も少しイラついていたのだ。彼とて蔑まれるのは好きではない。


 アカも片手を上げて詠唱を始めた。


「ウッ、ウアァァァ」


 瞬間、双子は頭を抑え地面をのたうち回り始めた。


 首につけられた首輪のランプが赤くなっており、それが影響していることがわかる。


「……お客様にそのような態度をとるとは」


 アントンがそのような言葉を漏らしながら、扉を開け中に入ってきた。


 洋平に視線を向け、そして頭を下げる。


 洋平はそれを見て「……構いませんよ」と言った。


「俺の無神経から来た結果なので、二人を解放してください」


 アントンは小さく「……正気ですか?」と聞いたが洋平は頭を縦に振るだけ。


 パチンと指を叩いてすぐに二人の悲鳴が途絶えるが、酷い視線を向けられ洋平は頬を掻く。


「大体のことがわかったから、もう話をすることもないので」


 そう言った際にアカの手から炎の塊が飛んだが、振り向いてレヴァティーンで切り伏せた。


 まるで来るのがわかっていたかのように。


 そのせいか、アカとアオは攻撃するのをやめた。いややめざるを得なかった。


 先の攻撃はアカの最大火力の攻撃であったのだから。


 洋平を傷つけることも、ましてや武器を折ることすらできなかったことから、アカとアオは攻撃できなかった。


 もし機嫌を損ねたら首が飛ぶと実感したから。


 奴隷としての立場上、アントンが双子を殺せはしないが洋平はできる。


 いわば正当防衛が成立してしまうのだから。


 双子は体を少し震わせた。


 アントンはまた首輪を締め付けようとしたが、洋平の片手が上がる。


「この程度なら殺せないよ」


 そう投げ捨て洋平は部屋を出た。


 アントンは呆気に取られ、アカとアオも洋平の人格を図ることができなかった。

 殺されると確信していたのだから。


 洋平が部屋を出てすぐにアントンが聞く。


「誰かお買いになられますか?」

「値段を聞いてから考えます。あまりあくどい商法には引っかかりたくないので」

「エイルは金貨三十枚、チョコは金貨十五枚、マロンは金貨五枚、悪魔の双子はセット価格で金貨七十枚。これが最低価格ですよ?」


 洋平は少し悩んだ素振りを見せ一言聞いた。


「買い手はついているのか?」

「……一応います」


 アントンは人差し指を立ててそう言った。


「一応、か」

「悪魔の双子は売られるなら二人揃って、との希望です。そして双子を買おうとしている方がいるだけです」


 洋平は少し考えてから、「奴隷についても教えてもらえるか?」とだけ聞いた。


「簡単に分ければ戦闘奴隷と犯罪奴隷と鑑賞奴隷の三つとなります。名前の通りですが、戦闘奴隷以外は冒険者などになることはできません。なお、戦闘奴隷との性交渉は当人の許可が必要となります。それは」

「奴隷平等法」


 アントンは「……当たりです」と答えて言葉を紡いだ。


「それによって奴隷にも人権はありますし、私は信用している奴以外には奴隷を売る気はありません。悪魔の双子も希望を聞く限りは、私の損失にはならないと感じました。だからこそ、今、買おうと言っている客には売りたくないんです」

「それは……殊勝なことだな」


 奴隷商人という存在は利益目的だと洋平は考えていたが、少し考えを改める。


 アントンもそれを聞いて「ありがとうございます」とだけ答える。


「それでお前は誰が買う気になりましたか?」

「もちろん、双子だ」


 洋平はそれ以外何も言わずにアントンを見つめた。対してポーカーフェイスを装ったものの、「本気ですか?」と考えるアントン。

 アントンですら、洋平の人格を図れないのだ。多種多様な奴隷を扱ってきたアントンですら。


 十数秒の時間が経った。


 洋平の変わらない表情を見て、アントンが両手を上げて言葉を漏らす。


「わかりました。それなら金貨七十枚です」


 アントンは洋平に双子を売ることを決めた。

 少し興味を持ったことや、この先長い付き合いになると感じたから。

 いや、もっと確信的な言葉があったのかもしれない。


 洋平が双子を殺すとは思えなかったから。

 それは人格を図れずとも断定して言えた。


 もし殺すなら、先の攻撃の際に殺していたと。


 洋平は七十枚の金貨を取り出しアントンに手渡す。


 アントンは目を剥いた。


 いきなり何もない空間から金貨が現れたのだから。


「どうしました? なにか驚くことでもありましたか?」


 洋平はそんな言葉をアントンにかけた。

 悪戯をした少年のように、屈託のない笑顔を浮かべる。


「いや」


 内心、とても驚いていたが商人としての維持がアントンのポーカーフェイスを続けさせる。


 それを手に取って枚数を数え、七十枚あることを確認してから、アントンは「これで大丈夫です」とだけ返す。


 意趣返しとばかりに手元から紙を出すアントン。ただしアントンの場合は奴隷術のスキルでしかない。


 洋平は洋平で、自身と似たスキルを持っているのだろうと驚きはしなかった。


 それがアントンにとっては不服であった。少しでもいいから驚いてほしいと、心の中で思い唇を尖らせた。


 奴隷誓約条。それがアントンの出した紙である。


「これに血で判を押してください。それで奴隷の所有者はあなたになります」


 洋平は言われた通りに親指を歯で切り、血の判を押した。


 少し紙が光った。奴隷誓約条の名前の欄にカナクラヨウヘイと書かれ、それを確認してからアントンは丸めて手の中へ消した。


 軽くドヤ顔で洋平を見たが、表情が何も変わらずまた唇を尖らせる。


「今から連れてきます。少し待っていてください」


 そんなことをアントンは言ってから、また奥の方へと消えた。

というわけで洋平が買ったのはアカとアオでした。


三人の獣娘はもう出ない、ということにはしない予定です。どっかで出ると思います。


タイトル回収は3話くらい後です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ