1章1話 路頭に迷う
すいません、前回の文章全て消しました。キャラは出す予定ですが少し後にします。
言い訳があるとすれば主人公と同様、この作品が路頭に迷ったからです。本当に申し訳ありませんでした
「……んっ……ここ……は。……俺は……いや……ここはどこだ? 俺は確か……列車の下敷きになって……うっ」
洋平は列車に押しつぶされた時のことを思い出したのか床に吐瀉物を吐ききった。吐いたことによって少し楽になったのか、周りを見渡すが限りなく白い霧が広がっているだけだ。
その中にぽつんと彼はいるだけ。人はいない、あるとすればものが二つあるだけで、それも彼にとっては見慣れたものだった。
「パソコン……か? ……ああ、なるほどな」
小さな机の上に置かれたパソコン、その画面には見慣れているであろう、ゲームのメイキング画面が開かれていた。
彼がそこにたどり着くと一つ溜息をした。それは偶然、たまたま、で済ませられるほど簡単ではなかったからだろう。
自分自身が見慣れた、よくやっているゲームと同じ画面が開かれていれば馬鹿でもおかしい、と感じるはずだ。
ーー出来すぎているだろーー
彼はそう頭の中で思った。だが彼の周りにはそれを挽回するような、出来るようなものもない。そしてその場はあまりにも非現実的過ぎる。
ーー夢なのかーー
そう思ってしまうのも当然といえば当然だ。なぜ死んで、次に目が覚めれば見知らぬ、それも自身と二点のものしかない場所にいるのか。下手をすれば発狂する者もいるだろう。
人が直視出来ない状態に陥れば現実逃避をする、そしてそこから出る術すらない。あるとすれば、
「……キャラクター……メイキングをすれば……いいのか……?」
行き着くところはそこしかないだろう。
いや他の手立てはなくはない、霧の中を探索すればいいのだから。でもそれは賭けだ、どうなってしまうかわからない所を踏まえれば、彼がそうしなかったのは容易に想像出来る。
「……生前ポイントと成長ポイント……」
意を決してパソコンのカーソルを動かす。そこには二つの数字が書かれ、その上には生前ポイントと成長ポイントの二つが文字があった。
「……ゲームと一緒だな。生前ポイント……確かゲームの時は……ランダムで数字が入れ替わっていたはず」
いくらか名の知れた携帯とパソコン連動型のアプリゲームだったため、彼の耳に届くのも遅くはなかった。そのゲームを始めた時に、ポイント制のゲームを初めて体験した。
彼の性格ゆえか、低い数値なら一度アプリを削除して、もう一度インストールしてを繰り返し、最大数値である999に近い985になるまでやめることはなかった。。その回数は二十や三十程だろうか。
WiFiの調子が悪くインストールに時間がかかっていたのを思い出し、彼は遠い目をした。
「兎にも角にも、だ。ポイントは多い。……三千台か」
生前ポイントは3252だ。ゲームの時の限界値などとっくに超えている。
顔などの変更も出来たが彼はそれを行いはしなかった。ポイントは20使うだけだったがそれでも、ブスではない容姿ならいいとそれをやめる。
次いでステータスの成長率を一つにつき300まで使い最大値まで上げた。
これは彼がゲームで後輩にすぐに越されたのが原因だろう。彼はポイントの殆どをスキルとステータスに極振りして、成長率という三文字を見落としていた。
最初こそステータスの高さでなにかとクリアしていたが、誘った後輩にすぐに越されたのが原因で一時期ログインすらしなかった。
そのために最大まで上げたのだろう。ステータスを見る限り低くもない、なにか装備をすればレベルは簡単に上げられると踏んだ上で。
ステータスの欄にはHP、MP、攻撃、魔力、防御、精神、幸運の七つに分かれていたが、彼が弄れたのは幸運以外の六つのみだ。
そこもゲームと同じで幸運はレベルアップで上がりはしない。それはゲームとはいえ幸運というものは、生まれつきという意見が多かったからだろう。
ちらりとステータスを見るが幸運も特別高いわけではない。良くも悪くも平均的だ。
「……まあ、いいか。次だ」
カーソルの決定ボタンを押し次の画面を開いた。そこにはズラズラと、まるでインターネットオークションの商品のように並ぶ。
あまり使い道のないであろう、指力強化などの少ないポイントで手に入るものと、千ものポイントを使ってようやく手に入るスキルと様々ある。
彼が手に入れようとするスキルは、多くポイントを消費するものである。最強スキルと言われた二つのスキル。それを手に入れない理由はないだろう。
1000ポイントを使い色欲を、200ポイントを使い強奪を獲得してから、他のポイントで幸運を獲得した。数少ない幸運を上げる方法である。50であった幸運は120まで上がり、かなり運のいい所まで持っていくことに成功した。
余ったポイント、102はそのまま引き継ぎをしてそのままメイキングを終了した。そしてすぐにガタガタと音を立て始める。
その後、パソコンは一度眩い光を放ち、数秒とかからず即座にその光は収束していく。
その光によって彼の視界は奪われ、一瞬の瞬きの後、彼の周りは一変する。
「……なっ……」
ただ木が並ぶ森の中、一面霧しかなかった場所から、次は木が並ぶ森の中に放り投げられただけ。
ゲームでさえ無かったことだ。ましてや一文無し、あるとすれば元いた世界のお金だ。こんな場所で使えるわけがないだろう。
彼は来て早々、路頭に迷ってしまった。それに気付いた彼の大きなため息が森に響いていく。
「これはあれか」
一度彼は息を吸い込む。
「異世界転移……かよ」
彼の悲しそうな声だけが森に響き渡った。
これからもイヤホンをよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。
土日で何回か投稿出来るようにしたいです。