歌
「え?」
僕は驚いた・・・シャルさんが男だったなんて・・・・。
「ええ?」
シャルは驚きの顔で僕を見る。
「ちょっとまって、あ3、もしかして女の子?」
ん?女の子?そのとうりだけど・・・頷き返事をする。
「はい」
シャルは両腕を体の前で合わせ
両手を口の前に持っていくと。
「ごめんんさい!今まで男の子だと思ってた。」
そしてシャルは頭を下げた。
そして
僕は自分の姿を確認しながら、思い出した。
「そっかぁ、男にみえるのか、町では気にした事がなかったけど・・・
男にかぁぁ・・・・」
シャルは両手を合わせ、謝るように頭を下げ。
「ホントにゴメン、怒っていいよ、全面的に私が悪い!」
今まで、こんなに真剣に僕と向き合ってくれたのは
家族とあの人だけであったけど
人と向き合う大切さを思い出し
そんな事すら、忘れていた自分と
騎士の姿で、弱気で謝るシャルを見て
懐かしい思い出と、笑いがこみ上げてきた。
「いいよいいよ気にしてないから」
そっからは、女の子同士とわかり
シャルも先程より気を許したのか
鎧を脱ぎラフなカッコをするのだった。
僕が男だったら、鎧を着たまま寝たっていってたし
気楽なのが一番、そうして、2人で仲良く眠りにつく。
数時間近くたったのか
森で、フクロウの鳴く声が聞こえ
僕は目を覚ます。
隣には、静かに眠るシャルが居た。
今日1日の出来事が、夢で無かった事に
胸が高鳴り、心膨らませるのだった。
静かな部屋に、心が気持ちが高ぶってくる音が聞こえてくる。
こんな時こそ・・・
静かに部屋をでると
空は雲1つなく、満月に近い月の光は辺りを照らす。
静かに見晴らしの良い場所にすわると
アイテムボックスから、ゾォー3を取り出す。
あの人から、もらった僕の宝物。
あの人は、これは、エレキギターのレプリカで
【ゾォー3】って言うのって言ってたけど
詳しい事は、僕には意味が分からない
だけど、この子の名前がゾォー3だと分かった、それだけでいいと思う。
そして、3歳の頃から
僕は彼女にこのゾォー3の使い方と歌を習ったけど
13の時、彼女は、この子と、歌を綴った本を残し消えた。
そして、このゾォー3と5冊の本は、僕の宝物
そして、僕はシャルと出会った。
「そんな最高のこの夜に歌を歌わなくてどうするの?」
そんな、あの人の声が聞こえそうだと、少し笑がこぼれる。
座ったまま、ゾォー3を抱え、チューニングを行い
何個かついているツマミを回し、音を整えたら
6本ある鉄の糸を上から弾くと
静かな景色に、綺麗な音色が、あたりに響きわたる。
そして
静かに、ゆっくりと、奏でる
スローバラードと言うジャンルの歌を口ずさみ
今日の思いを胸に心を込めて歌っていく。
すこしの時が流れ
何曲か歌っただろうか
心地良い風に、身を任せ手を止め
シャルと出会えた喜びを心に刻んでいく。
パチパチパチパチ
いきなり背後から聞こえてくる、何度も手を打つ音が響いてくた。
「え?」
振り向いた先には
月明かりで煌く綺麗な髪の持ち主であるシャルの姿が・・・・・。
聞かれた、聞かれてしまった、僕の変な歌を・・・・。
あ3は、恥ずかしさのあまり、ゾォー3を抱え込むように小さくなる。
体が、震える、こ・・怖い・・変と言われるのが怖い
村の皆みたいに、シャルもきっと僕の事を嫌いになる
嫌われたくない・・・・・
やっと出来た友達・・・・
いや・・・
僕が騎士様の友達なんて・・・とんでもない
やっと、普通に会話できる相手・・・
僕を嫌わない・・・知り合いが出来たのに・・・。
あ3の小さな体は
震えるように、小さくなっていくのだった・・・・・。