冒険者
少し落ち着いた様に見えた騎士様に声をかけてみる。
それは、先ほど尋ねられた言葉の事だ。
「えっと・・・異世界の冒険者・・・・
もしかしてシャルも?」
もの珍しそうに、木の器に入れられた芋のスープを
両手で持ち上げ、話をしながら口に運んでいく。
「うん、そうなるのかな?それにも?って
あ、、、食べ物に味がある・・・」
騎士様の驚く顔と、美味しそうに食べる姿で
僕の緊張も和らいでいくのが感じる
それは、騎士様からしたら
田舎の平民が食べるような質素な食べ物だけど
美味しそうに食べてくれた事が嬉しかったのかもしれない。
「うん、噂だけど、ここ数年前から
レベル100の異世界からきた冒険者が
何人も居るって聞いた
噂なんだけど、グレープ王国が
その冒険者数人に奪われたって話もあるよ」
「グレープ王国が?
それに、誰だ?そいつらは・・・
クソ、メニュー画面が出れば、サーチもできるんだけど・・・」
「出せますよ?」
座っていた椅子から立ち上がるながら、あ3に迫るシャルロット
「えええと・・頭の中で、メニューって念じると」
食い気味に
「出来た!サーチは・・・動かないか・・ならフレリスト、イタ!!
ペンペンに、娘娘 (にゃんにゃん)に、あのラオウも、他にも、フフフフ
皆いたじゃない、そうなのね、廃人の限界を突破したバカばかりなのね」
なにやら嬉しそうに笑うシャルロット。
「メッセやチャットはムリみたいね
それならとりあえず、ミカン王都に行こうかな
テレポで、近くまで飛んでも行ってもいいけど
少しこの世界を見て回りたいし
ねぇあ3、この世界の移動って何があるの?」
「移動?この村だと、馬を買えば、乗れるけど・・
後は定期便の馬車かな?
ほかは、歩きになるのかな?」
「そう、ここから王都に行くのには、一度イヨカン(街)に寄ったほうがいい?」
「うん、あの街を経由したほうが、いいらしいよ
行ったこと無いけど、歩きや、馬車だとだいたい3日かな」
「行ったことないの?」
「うん、町を出たのも、今日が初めてで
小さい時から、知り合いに、15になったら、冒険者となって
一度は王都を見に行きなさいって、言われてたから
僕の夢は、いつしか冒険者になって、帝都に行く事だったの
そして、その第一歩が今日で、初めてモンスターと戦ってる所に
シャルが降ってきて・・・」
「そう!なら一緒に王都にいかない?」
「え?僕が?レベル1ですよ?」
「大丈夫、大丈夫!私は聖騎士レベル100だし!!
守ってあげるから、何か君の事気に入っちゃったしね
よし、行くわよ、一週間ほどかな、一緒に旅をしましょう!
あぁ、帰りはテレポートでバナナ平原まで移動出来るから
王都までの片道キップだけの、小さな冒険の始まりよ!」
小さな冒険という言葉に、僕は惹かれた。
冒険者や、勇者と言われる人達みたいに
大冒険はできないけど、一週間ほどの小さな旅行なら
ホーンラビットちゃんに勝てない
小心者の僕でも、できるかもしれないし
僕は初めて会った、シャルに
あの人と似た風を感じることができたからこそ・・・・。
「王都・・・・・か
一週間ほどなら、いいかな」
その言葉を聞くなり、シャルは立ち上がり
又も、僕を驚かす。
「決まり!今すぐ行くわよ!、その前に村で買い物しましょ
異世界の買い物!テンション上がるぅ~~~~」
用意は?準備は?
一週間も旅にでるなら、それなりの・・・
「え?・・・・い・・・今すぐ?」
シャルは嬉しそうに、頷くだけだった。