名前
僕は、何やらブツブツと言いながら
左右の手を、ひっきりなしに動かす女騎士を見守りつつも。
「あの、、、騎士様とりあえず、飲み物でも・・いかがですか?」
庭で採れたハーブを使ったお茶を差し出すと
奪うように取られると、口に運ぶ女騎士様。
「あ!」
女騎士は、木のコップを、兜にブツケ、初めて兜を付けたままだった事に気がつき
自分の間抜けさに、冷静さを撮りもどし、コップを一度置くと
両手で兜を脱ぐ、そこからは綺麗な金色の長い髪が溢れ
整った顔が現れる
そして、ゆっくりと、お茶に手を掛け飲み干すのだった
「ねぇ君、なんで私がここに居るのか説明できる?」
僕は、先ほどの出来事を伝える。
「バナナ平原?もしかして、ここは、ポンカン村?」
僕は頷く。
「そういうことは、ミカン王国領土だよね?」
僕は頷く。
女騎士は、数分考え込むと。
「君は?亜人?獣人になるのかな?」
・・・・・僕は、騎士様が、当たり前の事を聞いてくるので
一瞬、言葉に詰まったんだけど、その真剣な目をみて
獣人である自分の事をマジメに答えようと・・・。
「僕は、鳥族なんだけど、僕達鳥族は覚醒遺伝で生まれてくるので
生まれるまで、どの血族と成るか分からないんです
母は燕、一番上の兄は鷹で、姉は孔雀、父と僕は
あまり特徴の無い鳥らしく
まだ何の鳥かは分からないんです」
僕の見た目は、小さな人間ではあるが鳥族の為
人間で言う耳タブが小さく、一見では無いように見える
だから、不思議がった騎士様が亜人?と聞いたのだろう
だから僕は、着ていた長袖の袖をまくり、腕を見せる
そこには、鳥の様な小さな青い羽根が生えている、それは鳥族の証でもある
「そんな、【設定】があったのね・・
あ、ごめん、私はシャルロット
君の名前を教えて貰えるかな?」
その言葉に、僕は・・・・・
騎士様から視線を外してしまった
そして、数秒後地面を眺めながら
「あああ・・・・」
「ん?」
「僕は・・・・・あああ・・・・・」
「なに?」
「僕の名前は【あああ】です
家族からは、あが3個で、あ3と呼ばれてました」
「???」
「姉は【あ】兄は【ああ】僕は【あああ】です」
「その名前って、ウィザー・・・・リィ・・・・
いや・・ごめん・・・
えっと・・あ3て呼んでいいかな」
「はい、好きなように」
「わかったわ!あ3、私の事はシャルと呼んでくれていいよ
それで、あ3、聞きたいことが、いっぱいあるんだけど
まず異世界の冒険者って知ってる?」
「はい、あのシャルさん、もしよろしければ、家の中で話しませんか?
暖かいスープと、パンくらいしか有りませんが
誰も居ないので、中に入って、くつろいでください」
「本当に!ST減ってて、どうしようか思ってたトコ
あと、さん付けなくていいよ、友達と話すようにしてくれればいいから」
「友達・・・・・・・」・・なんて居ない・・・
ぼそっと呟くと
裏庭から、家にはいり
広間にある、テーブルに、シャルを呼び
不格好の椅子に、座ってもらう。
台所で温めていた、お芋のスープと
少し硬くなった残り物のパンをシャルに差し出し
値段が高くて普段は、チビチビ使っていた
とっておきのハチミツも添えて
僕は騎士様をもてなす。