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第8話 ライオンもいいけど、クマもね

ピ、ピ、ピ・・・・・・

少し消毒液臭い部屋に機械音が聞こえる。

「お兄ちゃん・・・・・・」

そう呟いた愛梨の横で優介は目をつぶって横たわっていた。






ガヤガヤと賑やかな場所。

現在、愛梨は大手家電ショップに来ていた。

今朝、自らの手で壊してしまった目覚まし時計の代わりを買いに。

「ん〜、どれにしようかな?」

そう言いながら目覚まし時計を選ぶ愛梨の目は赤く腫れている。

どうやら少し泣いたようだ。

いくら落ち着いたと言っても、優介の見舞いに行くと泣いてしまう。

まぁ、前と比べては随分落ち着けてはいるが。

愛梨はクマの形の目覚まし時計にするか、ウサギの形の目覚まし時計にするかで散々迷った末にクマの形の目覚まし時計にすることにした。(ちなみに、今朝壊した目覚まし時計はライオンの形であった。)

「やっぱり、カワイイ系を選らんじゃうのは仕方ないのかな〜。

まーいいや、学校で男らしくしとけばいいだけだし・・・・・・」

実は愛梨は優介として学校に行くと決まった時から今まで、男の仕草や口調などをドラマや映画などで学習してきた。

たまに女としての愛梨が出てくるが、今ではだいたい優介のマネは出来ている。

だが、外側だけ優介になっても内側は元のままだ。

愛梨という女のまま。

「だから、こういう物選んじゃうんだけどね」

そう言って少し悲しくなる。

もう、こんな格好(女の子の格好)して外にへは出れなくなると思うと・・・・・・

「・・・・・・。

はぁー、もう早いとこ買って家に帰ろう」

そう言って、愛梨はレジの方に歩き出した。


その時っ

「キャッ」

愛梨は誰かにぶつかってしまった。

そして、ぶつかった拍子に後ろに転んでしまった。

「イタタタ」

「おっと、悪ィ。

大丈夫か?」

そう言って手を差し延べてきたのは、ぶつかった相手であろうスーツ姿の若い男の人だった。

『うわぁ、えらいスーツが様になった人だなぁ』

そう思いながらも、

「は、はい、大丈夫です」

と言って愛梨が手を借りて立とうとした時だった。


ズルー。

「えっ!?」

愛梨の頭の上から何かが滑り落ちる。

滑り落ちたそれは・・・・・・


それは、愛梨がつけていたウィッグだった。

どうやら、さっきの転んだ時の衝撃で外れて(?)しまったらしい。


「えっ!!ウソッ!?」

愛梨は慌ててずれ落ちたウィッグをつけなおす。

しかし、時すでに遅し。

バッチリぶつかった相手に見られてしまった。


「えっ、アンタ男?」

相手は目をパチクリしながら言う。

「あ・・あの・・・えーと・・・・・・」

愛梨はしどろもどろしながらなんて言えばいいか迷っている。

もう、愛梨の頭の中は大パニック中だ。

そんな愛梨を見て何を思ったのかその男は

「ふーんあっそ、女装趣味」

と言い、さっきとは違う冷たい視線で愛梨を見ると


パシッ


いきなり愛梨の手を払いのけ、愛梨に背を向け歩き出した。

さっきまでの態度とは大違いに。

そんな相手にパニックの中、愛梨が言えたのは、というか叫べたのは

「お・・俺は・・女だぁーーーーー!!!!」

という女としてのせめてものプライドだった。



「俺」って言っちゃってるけどね。

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