第3話 何かが頭にぶつかった
「ここか・・・・・・」
そう言いながら愛梨は一年C組の教室に入った。
ここは私立青空高等学校。
有名私立なこともあってこの学校では一般庶民から誰もが知っている金持ちの子供など色んな生徒が集まる学校である。
クラスは上からA・B・C・D・E・F・G・H・Iと9クラスあり、上のA・Bクラスは古くから名の通った家しか通えず、C・DクラスはA・Bクラスまでは行かないがそこそこ名の通った家、E・Fクラスは最近有名になってきたつまり成金、G・Hクラスはそこそこ資産がある家、そして最後のIクラスは一般庶民となっている。
いろいろと(家の資産でクラスを決める辺りが)問題ありな学校だがそれでも生徒が集まるほど頭がいい。
差別などがありそうだがそんなものがあるのは上のクラスだけで下のクラスはそんなもん気にしてはいない。
私立青空高等学校とはそんな学校だ。
ザワザワ。
教室に入ってからというもの愛梨は何だか落ち着かなかった。
それというのも、さっきから同じクラスの生徒達に自分(愛梨)がジロジロと見られているような気がしてたまらないのだ。
まるで動物園にいる檻の中の動物を見ているような目で。
『昨日の入学式での新入生代表の挨拶は上手くいったと思う。
しかし、ここまで注目されるような事だっただろうか?』と愛梨は思った。
そんなことを考えている時だった。
「うわぁーっっっ」
という叫び声が後ろから聞こえてきたのは。
「えっ」
何事だと愛梨は思い声が聞こえてきた方を向こうとした。
ゴツンー。
その瞬間、愛梨の頭に何かがぶつかってきた。
クスクス。
遠くからは笑い声が聞こえる。
『一体、何が起こったのだろうか?』と愛梨は思った。
しかし、そんな愛梨にもわかることがあった。
『たぶん、頭にたんこぶが出来ただろうな』ということが。
愛梨の高校デビューは実は始めっから最悪なのかもしれない。