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第15話 さて、無事に暮らしていけるのやら?

青空高等学校の敷地内。


学校のすぐ横。


同じような建物が立ち並ぶ中、学校側から四つ目の建物。


C・D組専用の寮。


那由他寮なゆたりょう”と書かれた表札がある寮。


「ここか・・・・・・」


その寮の入口に突っ立ってるのが、俺、いや、私、神無月愛梨、十六歳、女。


そして、この寮は、男子寮。


『お兄ちゃん。

ハッキリ言って、私・・・・・・今日からどうやって生きていこう(泣)。』


愛梨は、今にも泣けそうです。






男子寮のわりには、中は以外と綺麗であった。

各部屋お風呂付き、ロビーには自動販売機も置いてある。

だけれど、人っ子一人も見当たらず、寮じたい閑散としている。

「いやー、災難だったね」

そんな寮の廊下を愛梨の一歩前を歩いている人。

この人はこの寮の寮長、柚透宏人ゆすきひろと先輩である。

眼鏡をかけて、さっきから愛梨に気遣ってくれ、愛梨は「やさしそうな人だなー」と思った。

「はい、まさか俺も帰ったら家がもう住めない状態になってるなんて、思ってもみなくて」

「アハハハハ」と笑いながら言葉を返す愛梨。

そんな愛梨をさっきまで笑っていた先輩が急にまじめな顔でジーと愛梨を見た。

愛梨はそれに気づき、「何ですか?」と聞く。

そしたら、先輩はクスッと笑いながら言う。

「いや、笑った顔、カワイイなーと思って」

「はっ?」

いきなり言われて愛梨は?になった。

「いや、何でもないよ。

それより、この寮、あんまり人いないと思わない?」

愛梨は何だか流されたような気がしたが、先輩がそのまま言葉を続けるので、あまり何とも思わなかった。

「はい、思いますね。

俺の中の寮のイメージって、もっと賑やかだと思ってたので」

「うん、たぶん、G・H・I組辺りの寮はそんな感じだと思うよ。

E・F組の寮でも、ここよりは人は大勢いるだろうね。

でも、ここはお金持ちのお嬢様や坊ちゃん達のC・D組の寮だから、だいたいが家から通ってるから、わざわざ寮に通う奴なんて殆どいないんだ」

「そーですよねぇー」

それを聞いて、愛梨は少し不安になった。

昨日まで、一般家庭、いわば庶民の生活をしてきた愛梨。

双子の兄がいる、しかも女の愛梨は今まで神無月の子としては育てては貰えていなかった。

愛梨の兄、優介は神無月家、待望の長男で、愛梨は三女であった。

年のかなり離れた二人の姉たちは、愛梨とは腹違いで、姉たちの母は正妻、愛梨の母は・・・・・・愛梨の母は、愛人であった。



「愛人の・・・・・・しかも、娘などいらない」



そう四歳の愛梨に言い放った父は、愛梨とは違って神無月家で暮らしていた優介が事故にあい、意識不明になったため、それを世間に知られたくないために、十五歳(その時)になった愛梨と母を呼び戻した。

そんな庶民育ちの愛梨が果たして、この金持ちしかいない寮で暮らして、いや、生きていけるのだろうか?

「おい、神無月君。

どうしたんだ?」

「あっ、いや、なんでも。

それより、先輩。

俺、年下なんで、別に呼び捨てで構わないですよ」

「じゃあ、優介でいいかな」

「あっ、はい」

『私、てっきり苗字を呼び捨てにされるもんだと思ってたけど・・・・・・まっ、いっか』






まだ、このときの愛梨は、一応、新しく迎える寮での生活に期待を寄せていた。


そう、このときまでは。




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