第12話 噂って、怖いね。
ヒソヒソヒソ、ジロジロ。
『見られてる・・・・・・すっごく、見られてる』
それはすべて隣に立っている篠色のせいで・・・・・・。
〜ある一部の女子の会話〜
「ねぇ、見た?
今日の優介様と転校生!!」
「あー、見た見た!!
優介様はメガネはずしたら美人だよねー!!
しかも、転校生もかなりカッコイイし!!!」
「じゃぁ、これは聞いた?
その転校生が優介様に向かって『女装野郎』!!って言ったらしいよ!!」
「うん、聞いた聞いた!!
ていうか、二人って知り合いぽかったみたいだよねー!!」
「二人の関係って・・・・・・」
キャー///
目くるめく、女子の妄想、爆走中。
〜ある一部の男子の会話〜
「おい、神無月のメガネ無し、見たか?」
「おう、見た見た。
なんて言うか、その、男が言うのもあれだけど・・・・・・」
「「可愛かったなぁ」」
カァァァァ///
「いやいや、俺にそんな気はないぞ!!」
「俺だって!!」
「「でも・・・・・・」」
「「女装したとこ見てみたいよなぁー」」
思春期男子のちょっとした、希望。
「いやー、ほんまにびっくりしたわー。まさか優介があないべっぴんさんやったとは」
康志が笑いながら言う。
それに対して愛梨は「ハハハ・・・・・・」と苦笑いするばかり。
「ホント、びっくりだよな〜。優介ってメガネかけるかで印象全然違うよな」
「そっ、そうかなぁ〜」
そんな感じに和む三人(やく一名は内心冷汗ダラダラ)。
そんな三人を不機嫌そうに見る奴がいた。
「あーぁ、やっと友人が学校に来たって言うのにお前らは女装野郎のことばっか。
はぁー、泣きたくなるね」
奏太郎の背中にダラーンともたれ掛かりながら芝居がかったように言った奴、篠色だ。
「ちょっ、キヨ重いって。
っていうか、お前が学校休むのよくあることじゃん」
奏太郎がムムムと篠色を背中で押し返そうとしながら言う。
「そや、そや。
お前さんが休んだくらいで誰も心配せーへんわ。
それより、お前が優介に言ってた『女装野郎』ってどういうことや?」
急にニヤニヤした顔で篠色に聞く康志。
そんな康志の言葉を聞いていっせいに耳を傾けてくるクラスメイト達。
『ちょっ、その話題!!』
焦る愛梨。
康志は愛梨が焦っているのを確認するとさっきよりも大きな声で篠色に問う。
「優介に『女装野郎』って言った理由、教えてくれてもいいんちゃう?」
「俺も聞きてぇー!!」
そこに奏太郎も乱入。
『あわわわ、どうしよう!!!』
さらに焦る愛梨。
篠色にそのことについて喋らないという保証はない。
というか、別に喋ったって、篠色が損をするわけでもない。
『ど、どうか、喋りませんように!!!!』(←本日、二度目の神頼み)
しかし、神は二度も愛梨を裏切った。
「ん?
だって、そいつ、昨日・・・「はいっ、篠色君、ちょっとお話しましょう!!」」
愛梨は話始めた篠色の手を掴み、教室から飛び出した。
ていうか、いつの間にか無意識にそうしていた。
「あーあ、行っちゃった」
二人が出て行った方を見ながら奏太郎が言う。
「ちっ、あともうちょっとやったのに」
そう言った康志の言葉に教室にいた全員が「同感だ」と思った。